経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

年のはじめに・経済はこうすれば

2021年01月03日 | 本コラムについて
 なんで、日本は成長しないかって? そりゃ、経済の過半を占める消費が増えないからだよ。消費が増えない理由? あのね、消費税を倍にして、社会保険料を上げて、円安で輸入物価を高くして、これだけ家計をいじめ抜いたら、増える方がおかしいだろう。将来への不安で財布の紐が固いなんて心理学を持ち出すまでもない。

 だいたい、そんな緊縮財政を、年にGDPの1%を超えるハイペースでしてきたことすら、分かっていないんじゃないか。当局は、緊縮してますなんて、宣伝しないからね。もし、緊縮をしていなければ、成長率は5割増しになっていたよ。まあ、財政再建も大事だから、まったくしないのもマズいけど、半分にしておけば、随分と経済は明るくなったはずだ。

 少子化だって、克服してたと思うな。緊縮を半分にするということは、毎年、2.5兆円の財源が生まれるということ。待機児童をなくして、非正規に育児休業給付を出して、低所得層の社会保険料を軽減してと、次々に実現できるということさ。逆に、このあたりを放置したままで、結婚や出産が増えるわけもない。

 衰退は運命だと、勘違いしちゃいないか? 緊縮で消費が増えなきゃ、企業も国内に投資なんかできやしない。なのに、金融緩和に、法人減税、規制改革と、甘くしたら成長できるというナイーブさもひどい。他方で、批判者は全否定ばかりで、ろくな代案がない。可能性は、思い込みや思い付きじゃ見つからない。もっとリアリティを持とうよ。

………
 本コラムは、月次の経済レポート「~ノミクス」を軸にしているけど、まあ、これは客寄せだ。本当は、社会保障の改善提案が本題なんだが、普通の人には縁遠いからね。他方で、景気がどうなっているかは、割と関心を持たれるので、これを入口にしてもらえたら良い。それに、意外なほど社会保障は巨大で、景気に大きな影響を及ぼしているんだ。

 日本の経済運営の最大の問題は、景気「回復」期に緊縮の度が過ぎるところ。その実態は、「緊縮速報」でお知らせしている。認識しておきたいのは、大して成長していなくても、自然体でGDP比1%の緊縮になっていたことだ。つまり、相当の意思を持って財政を出していかなければ、緊縮を緩めることさえできない。

 そこで必要となるのが社会保障だ。兆円単位になると単純なバラマキは無理で、きちんとした制度がいる。とりわけ、少子化に充てることが戦略上の要だ。社会を持続可能にするという国の存亡に関わるし、ひいては、次世代への投資が成長を向上させ、財政負担を軽くし、上手くすれば、使う以上の見返りが期待できるわけさ。

 少子化は、低所得でも結婚や子育てができるようにしなければ、克服できない。それには、非正規の女性にも育児休業給付を拡大し、乳幼児期の生活を保障する必要がある。具体策は、『財源なしで大規模な乳幼児給付を行う方法』に記してある。財源を投入すれば話は簡単だが、公的年金を活用するという技巧を凝らせば、財源なしだってできるよ。

………
 少子化には、低所得層の社会保険料の軽減も重要だ。具体策は、『ニッポンの理想・2兆円でできる社会』のとおりだ。これで働くことを制約する「130万円の壁」も崩せる。その社会的インパクトは『非正規の解放、経済の覚醒』で感じてもらえたらと思う。この国に足りないのは、財源ではなく、理想なんだよ。

 緊縮の権化のような財政当局も、「給付つき税額控除」には肯定的である。所得税には控除があるのに、消費税や社会保険料は低所得層も一律で、たび重なる引き上げで負担が過重になっているためだ。給付の際、社会保険料の支払い拒否者にするのは矛盾するから、実質的には、社会保険料の定額控除制度と同じものになる。

 そして、こうした方策が必要となった理由、すなわち、日本がデフレに嵌り込んだ緊縮の経緯については、『壮大なる愚行』で知っていただきたい。他方、そうは言っても財政破綻が心配なら、『金融資産課税と国債利払いの均衡管理』を読むのが処方箋になる。さらに、『日本よ、雪白の翼を再び』を読めば、経済政策と社会保障の統合戦略の存在が明かされる。

 正直、日本の経済と社会を立て直すのに、どうすれば良いかの方策はあるし、その実施には、痛みもリスクもない。それでも変われないのは、「緊縮はやるほど良い、企業を助成すれば成長する」という、一部にとって都合の良い経済思想に取り憑かれたためだ。1997年以来、同じ失敗を繰り返してきたのは、理想も現実も見失ったからにほかならない。


(今日までの日経)
 1都3県、緊急事態宣言を要請 経財相「発令視野」。東京、新たに1337人感染 新型コロナ、国内4500人超す。世界の株式時価総額、今年15兆ドル増 中銀資産10兆ドル増が支え。日経平均、30年ぶり高値 終値2万7568円。


※コロナ後の景気はどうなるって? 2010年に民主党政権は、リーマンショックからの回復に気を良くして、対策を一気に10兆円も切ってしまい、内需が弱い中で円高に襲われて景気が失速、5兆円の補正予算に追い込まれた。初めから再分配をやっておけば良いのに、消費増税の抱きつきまでやり、選挙にも敗けた。また、似たような展開じゃないかな。そもそも、「マスクで会食」なんて緩いことをしたために、いまだコロナ後にはなっていない。若者に限らず、とにかく会食を減らさないと。同居者外との会食、マスクなしの会話、マスクでも45分超の会合の「3会やめて」を励行したい。

(図)




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