経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

金融緩和と消費拡大

2010年10月13日 | 経済
 やはり、気になる。FOMCを前にして、金融緩和観測が流れているのだから、ドル安が進み、株価などの資産価格が上がるのは当然のことではあるが、米国の内需が不安視される中で、株価が1.1万ドル台というのは、不自然さを拭えない。 

 ダウ平均株価の1.1万ドルは、2000年までの株価急騰期の到達点であり、いったん崩れたと思われたものが2005年前後に戻し、最高値の1.4万ドルへの起点になった水準である。リーマンショック後に0.8万ドルまで落ちていたものが、ここまで回復してきたことになる。

 これが実体経済が上向きというのなら、まだ分かるが、ショックを抜け出しただけであり、二番底が懸念されている中でのことである。これを正当化できるような企業収益が確保されるのは先のことだろから、危ういものだ。また、今日の日経にあるように、あふれたマネーは、穀物や原油などにも流入しており、バブルの様相を呈している。新興国の通貨や東南アジアなどの株価もしかりだ。

 FRBが金融緩和を行っても、米国内の設備投資は進まず、雇用が低迷を続ける一方、資産価格が上昇する弊害が目立っている。金融緩和が設備投資に効かない理由は、本コラムでは何度も説明してきたから省くが、一般には「ヒモでは押せない」という現象である。

 以前、日本が量的緩和を行っていたときも、設備投資は刺激されず、円キャリートレードによって米国にバブルが発生し、過剰消費を作り出すことになった。今回は、米国が量的緩和を行い、新興国などにバブルを作らせ、消費をさせるという構図になっている。

 今回の消費の主役は、中国になるはずだが、抵抗を続けている。消費を拡大させれば、副作用として物価上昇は避けられず、貧困層の不満による政治不安を恐れて踏み切れずにいる。本当は、物価上昇率3%などという低レベルではなく、高圧経済によって底上げを図らなければ、格差の是正もままならないはずなのだが。

 結局、FRBが緩和すればするほど、中国の外貨準備が積み上がるだけで、中国の消費も、米国の輸出も増えずじまいである。このゲームには終わりが見えない。そのとばっちりが、日本に円高という形で及んでいる。日本としては、着実に内需を拡大し、国内で問題を解決するしかない。都合よく、新たな「埋蔵金」も見つかったわけであるし。

(今日の日経)
 エルピーダとシャープ次世代メモリー共同開発。鉄建機構の剰余金1.5兆円を一般会計に転用。ものづくり、円高に脅えない日。ASEAN拡大国防相会議・米がけん制呼びかけ。ドル独歩安の様相、実質レート2年2か月ぶり低水準。税会長、消費税は高齢者の増加分。インド携帯市場、現地勢など躍進。中国、車販売に支援策効果、インフレ懸念で準備率上げ。学習時間に応じアフリカに寄付。スマートソーラー高効率の太陽光発電。国際商品価格、軒並み上昇。経済教室・APEC・Gアルドナス。

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1 コメント

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Unknown (会沢正志斉)
2012-03-31 23:24:02
ほぼ正解だとおもうが、一部分間違っている。
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