経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

円高の要因とその活用

2011年09月08日 | 経済
 いやはや、読者の目はごまかせないね。確かに、このところ疲れ気味で、やや文章が荒れていたかもしれないな。なにしろ、日本は「重不況」にあるのでね、疲れが出るのも致し方なしというところだ。まあ、日本経済とともに、元気は取り戻せると思っている。

 さて、今日の経済教室は、竹中正治さんだ。久々に、読ませる経済教室だったように思う。為替相場の理論とデータをコンパクトに解説し、現状についての分析も端的にまとめられていて、非常に有益だ。読みながら、自分の見解を確認し、インプリケーションについて思いをはせることができた。

 内容的には、実質金利差に注目するもので、筆者も同様の見解にある。そのことは、8/21や8/4で書いてきているので、読者には、おなじみだろう。竹中さんと同様ということで、見解に自信もついたし、「円が割高な状態が今後1~2年続きそうな状況にある」と明快に示してもらえたのもありがたい。

 それで、今後の経済運営をどうするかだが、竹中さんは、金融緩和を求め、海外投資をするチャンスとする。これらは、理にかなったものだ。加えて、本コラムの主張は、これも読者には繰り返しになってしまうが、適切な需要管理をするということになる。低金利と円高というのは、財政を拡大するのには順風とも言えるわけで、復興に役立てることができるはずのものである。

 海外から見れば、円高によって資源高が相殺され、消費が保たれていることは、うらやましく映る。米国の悩みは、ここにあるからだ。また、日本の財政赤字は大きいと言っても、超低金利で調達できる。金利高騰は中期的な不安であって、目の前の不安に怯える欧州とは異なる。財政状況は、8/4に指摘したように、一般政府ベースでは、米英より良いのだから、これは不自然なことではない。

 日本では「六重苦」などという言葉が流行し、自らが置かれた状況を活かそうという志向がないように思う。財政再建に至上価値を置き、デフレでも、円高でも、遮二無二に押し進めるだけだから、攻めが単調と言うか、戦略がないと言うか、本当に、つける薬がない。どうして、財政による需要の加減を把握し、安定的に管理するという、平凡なことができないのか、不思議にすら思えてくる。

 本コラムでは、これからも、財政当局が決して説明しようとしない、財政需要の実際の状況を解説していきたいと思うし、安定的な需要の管理が、どんな「成長戦略」にも増して、設備投資の促進に重要であることを強調し続けたいと考えている。

 おそらく、これらによって経済が回復したとき、日本人は、「なぜ、今まで、そうしていなかったんだ」という感慨を持つのではないか。それはドグマから解き放たれて自由を得たという証拠になろう。そういう爽快さをね、皆さんに与えたいと思うし、そうなれば、筆者の疲れも癒されるというものだ。

(今日の日経)
 復興増税、圧縮を検討、郵政株の売却で。3次補正、雇用創出3000億円。欧州債務、大きなリスク。空手形外交をやめよう・秋田浩之。社説・欧州発の危機回避。韓国、大企業優遇見直し。
被災地漁業へ全額助成、高台移転に4000億円・国交省。節電ポイント検討・経産省。景気一致指数4か月ぶり悪化。欧州、増税相次ぐ、市場にアピール。米景気対策23兆円超、反発必至。燃料電池、停電でも稼動。ベトナム国営造船、日本企業に支援要請。経済教室・超円高・中期の継続前提に対応を・竹中正治。

※三次補正の中身が出始めている。被災地とは直接関係のないものも含めて。※ハシモトデフレは、緊縮財政の発表で株価が下落して、銀行の体力を奪い、実体経済の悪化が不良債権を増やして、とどめを刺した。財政当局が決して認めない「黒歴史」だが、欧州は似た展開になっている。※秋田さんも久しぶりだ。管政権では日米関係どころでなかったからね。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 使った分だけ払う増税 | トップ | 日本にウルフはいない »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

経済」カテゴリの最新記事