経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

アベノミクス・止まらない景気の悪化

2019年08月04日 | 経済(主なもの)
 増税まで、あと2か月を切ったのに、景気の悪化が止まらない。6月の鉱工業指数は、ネガティブ・サプライズだったが、かなり深刻だ。生産の101.1という水準は、3年前の2016年10月以来の低さである。やはり、4,5月の上昇は季節調整のいたずらだったようで、原数値で読み取れるように、むしろ、景気の悪化は加速している。英国でのハードブレグジット政権の発足、米国の利下げによる円高に、対中関税引上げ第4弾と、外需にリスクが押し寄せる中、何があっても財政再建で、消費の圧殺に挑む日本である。

………
 鉱工業指数は季節調整値で見るのが普通だが、4-6月期は休日増の攪乱があったので、出荷の原指数を12か月後方移動平均で眺めると、下がり続けであることが分かる。特に、景気の先導役である設備投資の動向を表す資本財(除く輸送機械)の落ち方は急である。それでも、全般的に設備投資が底堅いとされるのは、輸送用については4-6月期が逆向きに動いたことと、建設財が安定していたことがある。

 ところが、この6月は、輸送用が大勢に順応して下がり、建設財がジリ貧になってしまった。つまり、投資全般が崩れ始めたという意味で、相当に深刻である。そして、昨年までの景気拡大局面においてさえ、上下を繰り返すだけで、まったくもって弱々しかった消費財に対して、増税攻撃を仕掛けようというわけである。4,5月の休日増で、旅行などのサービスは盛り上がったかもしれないが、一過性のものには頼れない。

 実は、6月指標が出たところで、4-6月期GDPを予測してみたが、いつものやり方だと高めに出る。鉱工業指数の季節調整値が影響して設備投資が高くなるだけでなく、消費総合指数や消費活動指数も妙に高い。コンセンサスは、内需は高めという予想になっているけれども、実勢には疑わしい部分があり、1次速報はまだしも、2次速報でかなり低めにフレる可能性があると警戒している。

(図)


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 景気が下がり続けである点に関しては、7月の消費者態度指数も同様である。「雇用環境」は3か月連続での低下になり、2014年の消費増税以降で最悪の水準に、あとわずかのところとなった。消費者態度指数は、前回の増税前後でV字型の下降と上昇を見せたが、「雇用環境」については2か月前からで、3か月前の7月は少し早い。むろん、これまでの低下は、消費増税に対する不安感ではなく、景気の悪化に関するものである。

 実際、水曜のコラムでも書いたように、製造業を中心に新規求人の増加数が減っているわけだから、消費者態度の悪化は、感覚的なものではなく、実態に根差したものである。増税に対する漠然とした不安は、まさに、これから出てくるわけで、消費者態度は、8,9月と更に悪化するだろう。加えて、外需の悪いニュースが入ってくるのも確実だ。結局、2014年の時より悪い状態で、10月の増税に臨むことになる。

 6月の鉱工業指数が下ブレしたことで、いったんは「悪化」を脱した景気動向指数も、再び下方修正の危機を迎える。そもそも、つかの間の小康は、休日増に伴う特殊要因だったと言うべきかもしれない。1-3月期のGDPが輸入減で見かけの上だけで高成長になり、消費増税の延期とはならなかったように、景気の基調を惑わすようなことが続く。今度の消費増税は、前回より規模は小さいにせよ、外需が不調という悪条件が加わる。打撃の段差は小さくとも、尾を引きそうな気がする。


(今日までの日経)
 対中関税「第4弾」しびれ切らす米。FRBはや追加緩和圧力 政権・市場が包囲網。財政黒字化 一段と遅れ 「27年度に」見通し後退。


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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2019-08-04 18:57:49
何を今さら……
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