経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

アベノミクス・底打ちのち崩壊

2020年04月05日 | 経済(主なもの)
 4/4の東京の感染確認数は118人となり、10日足らずで3倍になった。大阪や愛知でも最多を記録している。指数関数的に増加し、NYよりペースがやや鈍いものの、感染爆発が目前に迫る極めて憂慮される事態である。東京も、集団感染が見つかった繁華街の閉鎖にとどまらず、NYのような外出禁止による全面的な業務停止までいくかもしれない。それでも、病床があふれるほどの大量感染は覚悟が必要だ。もはや、景気がどうのと言っている場合ではないところまで来た。

………
 2月の商業動態・小売業は、前月比+0.6と上昇した。学校閉鎖は3月になってからであり、コロナ禍は浅く、百貨店などの各種商品小売業は減ったものの、飲食料品小売業は伸びたといった具合である。仮に、3月が平常なら、1-3月期の消費は前期比+0.8くらいになり、駆込み前の4-6月期より-1.6だけ低い水準で済んでいただろう。ここが消費増税後における底打ちということになり、本来なら、回復の出発点になっていた。

 むろん、3月の消費は、コロナ対策の外出自粛によって、大崩れになっているはずで、この水準は、コロナ禍による更なる低下後の復元に向けた道標になる。復元は、自粛の行動規制が緩和されて行けば、放っておいても自然に戻る。そのスピードは、経済対策の大きさより、緩和の程度で決まる。対策で本当に重要なのは、V字回復を唱えるだけでなく、消費税後の水準を超え、消費増税前の回復を目標に据えることである。

 2月における底打ちは、鉱工業指数にも見受けられる。コロナ禍をよそに、鉱工業出荷は、3か月連続の増加となった。2月は資本財(除く輸送機械)、建設財が増加し、消費財は2か月連続で伸びている。むろん、水準はかなり低いけれども、底打ちはした。もちろん、コロナ禍によって、3月の鉱工業生産の予測指数は前月比-5.3にもなっており、崩壊は目に見えているわけだが、まずは、今の水準への復元が道標になる。

(図)


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 日経によれば、政府は収入が減った世帯に30万円の現金給付をするようだ。これは、何か月分の生活支援なのだろう。月に10万円なら3か月分、それでコロナ禍は終わっているのか。もし、半年に長引いたら、再度、兆円単位の補正予算を組み、市町村を動員して、繰り返して給付を行わざるを得ないと思われる。当たり前だが、雇用保険なら3か月で終わりではない。その時限りのバラマキは、見た目が派手で人気を得ても、継続は大変である。

 危機に遭っては、その国の弱点が露呈する。個人請負を雇用保険や労災保険の外に置いたことが問題を顕在化させており、消費増税の際に、軽減税率を選び、給付付き税額控除制度を導入しなかったことが、速やかな所得保障のルートを塞いでいる。成長戦略と財政再建に熱心で、所得比例の負担ばかりを強め、再分配の社会的インフラの整備を怠ってきたことが政策的な苦境の背景である。

 社会保障を拡充すると、後々、財政負担の問題になるから、その時限りのバラマキが選ばれる。大規模な経済対策も喉元を過ぎれば、後が続かずに剥落し、成長にブレーキをかけるようになる。成長がなければ、危機の間に溜まった債務が重荷になって、企業は、思うような投資もままならず、これまた低迷の元となる。もっとも、戦争の最中、戦後処理まで見通したところで、この国では聞く人も無いのだけど。


(今日までの日経)
 東京118人が感染 新型コロナ 1日で最多、病床が逼迫。トヨタ・ホンダ、期間工の新規募集停止 日鉄は一時帰休。新型コロナ、迫る食料危機 労働者不足で米欧警戒。中小支援、永久劣後ローンで5兆円・高橋温。中国、店舗再開も客足遠く。

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