経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

消費が不安なGDP速報の結果

2011年08月16日 | 経済
 4-6月期のGDP速報が出された。3期連続のマイナスではあったが、内需がプラスに転じたことをもって、安心感が広がったようだ。マイナスの原因になった外需は、輸出企業の震災からの急速な立ち直りが見られるから、解消されるのが確実だからである。しかし、内需の中身が良くない。

 今回の実質1.3%減という結果は、事前の予測より良い数字だった。その理由は、消費がもっと悪いのではないかという見方があったからだ。これは6月までの家計調査の結果からすれば、無理のないところだった。ところが、開けて見れば、民間消費は、実質の季節調整系列で-0.1にとどまり、1-3月期の-0.6から0.5の改善を見せたのである。

 しかし、同じ家計消費について、実質の原系列を見てみると、これが-0.6である。前期の-1.0からは、0.4の改善に縮んでしまう。つまり、季節調整の影響によって、若干、押し上げられているということだ。

 しかも、名目値を見てると、季節調整系列では-0.6であり、前期の-0.6と変わりがないことが分かる。これは原系列でも同じで、今期が-2.1、前期も-2.1となっている。すなわち、名目値では、前期と同じ消費の減少が続いているということである。改善は、物価の下落による実質値への調整によって出てきているものなのだ。

 おそらく、次の7-8月期は、輸出の回復によって、外需の大きなマイナス要因が消え、全体としてプラス成長に戻る可能性は高いだろう。ただし、消費の動向は楽観できず、物価の動き次第では、足を引っ張ることにもなりかねない。

 消費は、震災前から非常に弱かった。駆け込みで盛り上がっても、その後の回復が鈍く、景気対策の打ち切りの悪影響がもろに出ていたのである。震災前への復帰といっても、所詮、その程度である。景気の先行きについては、欧米の景気低迷や円高による輸出の停滞が心配されているが、決して内需も安心できないのである。
 
(今日の日経)
 預金保険料が初の下げ。ECBが国債2.4兆円購入。原子力安全庁の来春発足に壁。GDPプラス転換も懸念多く。国内勢、欧米国債売り加速、下落懸念。欧州財政の非常手段探る。米消費者態度指数が31年ぶり低水準。世界電力事情・発送電分離。一目均衡・日本明るく、中国不振・西條都夫。経済教室・国民貯蓄減で生産縮小も・小黒一正。

※貯蓄減はイコール投資減ではないのかい。ならば、内需を抜いて設備投資をできなくしたのは誰なのか、財務省出身の小黒先生なら、分かりそうなものだが。財政再建は必要だが、不安な将来ばかり見て、足元の需要状況を見ないと、穴に落ちる。経済は、政府が赤字を減らしたら、代わって企業が投資を始めるというような単純なものではないよ。高橋財政が必要になったのは、井上準之助の無謀な緊縮財政の後始末だったことも忘れないことだね。
コメント
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