kanekoの陸上日記

毎日更新予定の陸上日記です。陸上競技の指導で感じたことやkanekoが考えていることなどをひたすら書きます。

評価されることの怖さ

2010-07-04 | 陸上競技
サッカーのワールドカップが開催されています。これだけマスメディアが騒げば開催されていることを知らない人はほとんどいないと思います。興味がある、無しは別にして世界的にかなりの注目を集めているスポーツイベントです。

今回、日本代表はテストマッチといわれる本大会の前の試合で全く形が作れませんでした。得点が獲れず守ることも出来ない。様々な条件が重なる部分があって常にベストパフォーマンスが発揮できるとは思いませんが、本大会開催前に日本が決勝トーナメントに進めると本気で考えていたファンは少なかったのではないかと思います。そこまでの試合展開などを見たら当然だと思います。

この時の監督バッシングや選手批判はかなりのものでした。最後の国内試合を終えて監督が「続けてもいいんですか?」と口にしたという情報が流れ、「無責任な発言をする監督は解任するべきだ」という論調が強くなりました。監督に辞める意志はなく「私がやっていたら周りも非難されますよ。それでも本当に良いんですか?」という感じが本当のところだったようですが、マスコミが言葉の一部分だけを抜き出し、叩ける所を叩くという雰囲気を作り出しました。本当に怖いことだと思います。メディアを利用したイジメに近いと感じていました。応援しようという感じはありませんでした。

私は常に「勝ってくれたらいいな」て思ってみています。日本代表ですから純粋に応援したいと。この時期には「税金を使っているのだから勝って当たり前」みたいな考えをしている人もいました。日本人は「権利の主張」が多く、自分が全てにおいて貢献しているという思いがあります。偏見かもしれませんが…。選手は自分達のためにやっています。ここには目を向けず「俺が応援しているんだから勝たないのはおかしい」という感覚が強くあるのかもしれません。だから勝てないと激しいバッシングを浴びせる。批判的な意見を一人がネット上で書くと爆発的に広がっていきどうにもならなくなります。今回はかなり酷かったと思います。確かに勝てないから何を言われても仕方ない部分があるとは思いますが、「日本中を敵に回している」という雰囲気があり、監督も選手も競技とは違う部分でストレスを感じていたと思います。

が、南アフリカに入って様々な事があり、次第にチームがまとまっていき初戦であるカメルーン戦に1―0で勝利しました。これから日本代表に対する評価が180度変わりました。違和感を感じるくらいの変化です。関係のない私が感じるくらいですから、代表や監督はもっと感じていたはずです。

決勝トーナメント進出が決まってから監督が「これだけ変わるということは、また変わる。一喜一憂していられない。バッシングを受けても進むべき道を進む。褒められても進むべき道を進む」とコメントを残しました。私はこの言葉に非常に共感を得ました。岡田監督は最初から目標を持ってそれに向けてやってきたのだろうなと感じました。周りから非難されてもそれを怖れず自分が信じた道を進んできたのだと思います。周りから評価されるためにやってきたわけではありません。だからどれだけ厳しい状況におかれても変わらない。変わるのは周りの評価だけなのです。自分自身の立ち位置は変わらないのに周りが異なる評価をする。ここで自分の立ち位置、居場所を見失う人も多いのではないでしょうか。本当に怖いことです。

今回の日本代表はマイナスからのスタートでしたが、これが最初がプラス評価だったらどうなっていたのでしょうか。決勝トーナメントに進めず3連敗をしていたら、今頃大バッシングだったと思います。マスメディアがそれをあおり、過激な批判で日常生活に支障を来す可能性があったはずです。立ち位置が変わらなくても周りの評価が劇的に変わってしまう。ブラス評価の時には過剰な持ち上げ方をして上手くいかなかったら考えられないくらいのマイナス評価。怖いですね。

周りからの評価を受けるためにやっているわけではありません。選手は自分の目標に向かって最大限の努力をしています。監督はその選手達の方向性を統一し、目標に近づけるためにまとめていく。このためだけにやっていると考えています。フランスは監督に対する不信任からチームが崩壊しました。日本代表とは逆のパターンです。こういう勝負のかかった場面ではチームとしての団結力がプラスアルファの力が考えられない結果を産み出します。これが「勝ったら自分の評価が上がる」と考えていたら良いチームは作れないと思います。選手も周りからの評価を気にするようになるでしょうし本来の立ち位置を見失うからです。

評価を受けて、勘違いしていたら次の段階で大失敗する危険性がある。だからきちんと自分の立ち位置をきちんと把握して見失わないようにしなければいけません。

「これだけ変わるということは、また変わる。一喜一憂していられない。バッシングを受けても進むべき道を進む。褒められても進むべき道を進む」


この言葉を胸に刻み全力で取り組んでいきたいと考えています。自分が信じた道をまっすぐに進みたい。周りからの評価に一喜一憂せずに進む。そう強く感じました。
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