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花ごよみ

映画、本、写真など・

笑う警官 (佐々木 譲)

2008-06-04 | 本 さ、た行(作家)

「うたう警官」から、
文庫化に際して、
「笑う警官」というタイトルに、
変更したということです。

うたうというのは警察組織をうる、
内部告発という意味です。

本のあとがきに、
映画化に向けてのタイトル変更とも
書いてありました。

この作品の実写化が見られるなら、
とてもうれしいことです。

配役がとても楽しみです。

主人公の警官、佐伯、
犯人にされた、
イケメンの巡査部長、津久見の役の、
キャスティングは一体、
誰になるのかな。

北海道警の暗い部分に、
スポットを当てて
それに対抗する警官達の物語。

タイムリミットは16時間。
元同僚の無実を信じて、
裏捜査本部を設置。

主人公佐伯宏一の正義感。
佐伯のかっこよさ。
登場する人物設定も秀逸

警官達の会話を繋ぎ、
ストーリーは進行していきます。

終盤に至るスピード感。

緊迫感いっぱいのラスト。

読後感のよさを、
感じられる作品でした。


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ミッドナイトイーグル  (高嶋 哲夫 )

2007-10-06 | 本 さ、た行(作家)

報道カメラマンの夫、西崎勇次と、
離婚を望む妻、週刊誌記者の松永慶子。

二人の物語が平行して、
書き進められていきます。

主人公西崎は、
体力の限界と戦いながら、
度々、凍死寸前の状態に陥りながらも、
生き延びる強靱な体力の持ち主。

東京にいる妻は、
アメリカ基地を襲った、
北朝鮮の工作員をかくまい、
夫はその男の策略で墜落した、
ステルスを追うため、
登山仲間の秋山記者と北アルプスへ。


暗号名がこの小説のタイトルになっている
ミッドナイトイーグル…真夜中の鷲。

このミッドナイトイーグルは、
核爆弾を搭載した最新鋭の
ステルス爆撃機。


緊張感のある展開、
真保裕一のホワイトアウト
彷彿させます。

でも食料、薬品の調達過程など
都合よく、うまい具合に展開もしていきます。
不自然な感じもしますが、
でもこの展開がなければ
この人達は、生存不可能になるので、
まあ、仕方のないところだと思います。
話の進行上やむを得ない所でしょう。

横田基地の事件、
天狗原の墜落事故、
Bー3Aとその積み荷、
放射能の恐怖、
政府の動揺、
そして隠蔽。

このストーリーの決着はいずこに?

伍島、落合、西崎ら山に残る3人の運命。

爆撃機の周囲の状況描写は、
凄惨さを極め、
想像力を停止したくなります。
映画ならきっと目を伏せるシーン。

放射能汚染による、
首都壊滅までの残された時間。

阻止するための方法は?

家族愛も描かれていて
胸がじーんと来るシーンもあり、
降りるべき駅を乗り過ごしそうになりました。
結構、没頭出来ます。

詳しいことは書けないのですが、
自分のかすかな願い、希望は
かなえられませんでした。
この場合は仕方のないことなんでしょうね。

映画の公開も待ち遠しいです。





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時の渚 (笹本 稜平 )

2007-09-02 | 本 さ、た行(作家)
第18回サントリーミステリー大賞受賞
&読者賞ダブル受賞。

元刑事で、今は私立探偵の茜沢圭は、
死を目前に控えた老人から、
生き別れになった息子の
捜査依頼を引き受ける。

この捜査の進行中に、
自分の家族を失い、
刑事を辞職することになった
ひき逃げ事件との関係も表出してくる。

探偵、茜沢圭が人捜しの捜査を
進めていく過程で遭遇する出来事。

捜査と、茜沢圭本人の過去に関する事項が
平行、交差を繰り返し、
目が離せない面白い物語になっています。

推理あり、アクションあり、
人情ものもあり、
一つの小説に、
許容量から溢れ出すぐらいの話が
サービスたっぷり詰め込まれていて、
そして、それぞれの話が、
うまく均衡を保ちながら
進められていきます。

てんこ盛りで、
得したような、気分になる小説です。

最後にはちょっぴり、
感動が残されています。
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幸福な食卓 (瀬尾 まいこ )

2007-03-06 | 本 さ、た行(作家)
映画を見て、本を読みたくなりました。 

読みやすくて そして心が  
和む、温かみのある文章。

おかしくなった「家族」のあり方。

“父さんは今日で父さんを辞めようと思う”
父さんをやめる宣言。 
冒頭の一行、インパクト強いです。。

父親の自殺未遂。 
これは本を読んでも、
理由はやはり、分かりづらかったです。

母親の精神的苦悩。
母親の家出、
こうするほかは自分を 
保てなかったんでしょう。 

兄は、大学へ進学しないで農業。 

いずれも個性豊かな人物設定ですが、
特に直ちゃんは魅力ありました。 


映画を先に見ていてどういう風に、
進行していくのか分かるのに、
クライマックスに近づくにつれ、
ドキドキが…
映画もでしたがラストを変えたい。

なぜ…という気持ちがあります。
このままでは、当然のことながら
泣けるけれど…。 

兄、妹、父親、母親、
根本ではこの家族は
お互いがしっかりと結びついている。

ひとりぼっちで生きているのではない。
きっと自分のことを見ている人、
思ってくれている人がいる。

重苦しさを感じさせることなく、
優しさ、心の柔軟さを 
思い起こさせてくれる作品でした。




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脳男 (首藤 瓜於)

2007-01-31 | 本 さ、た行(作家)

脳男 (講談社文庫)

連続爆弾犯のアジトにいた、
鈴木一郎(鈴木イチローって…)。

それにこのタイトル。

なんとインパクトの強いタイトル!
 
解剖図の様な、
脳みそ丸見えの不気味な男の
イメージを抱いていて、 
どんなに気味が悪い、
怪奇話なのかなと思いましたが、
いい意味で裏切られました。

この男は心を持たない。
感情のない男、
でも知識はある男。 

逮捕後に警察に
爆弾の在処を告げる。
精神鑑定を担当する医師・鷲谷真梨子。
彼の心、体の謎を見極めようとするが…。 

男が入院している病院にも 
爆弾が仕掛けられる。

江戸川乱歩賞受賞作。

謎に包まれた男と、
彼の本当の心を
探ろうとする女性精神科医が
主人公の小説です。
 
彼の精神分析を依頼された
女性精神科医。
鈴木一郎の本性がこの医師によって
少しずつ明かされていく。
この過程は興味をそそられます。

結構、この男は正義の味方なのかな。 

以前読んだ無痛という小説に出てくる 
痛みを感じることの出来ない男にも 
似ているところがあるけど
無痛の様に気持ち悪いと 
いうことはありませんでした。

人間らしい感情を持つことはなく
学習をすることだけによって
今までどうして生きてきたのか?

爆弾魔と脳男が対決するシーンなど
スリルのある展開でそれなりに
楽しめました。


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夜市 (恒川 光太郎)

2006-09-09 | 本 さ、た行(作家)


妖怪たちがさまざまな品物を売り、 
望むものが何でも手に入る夜市 
小学生のころに夜市に迷い込んだ裕司、
自分の幼い弟と引き換えに「野球の才能」を買った。 
野球部のヒーローとして成長し、
甲子園にも出場した裕司だが、 
弟を売ったことに罪悪感を抱いていた。 
そして今夜、弟を買い戻すために
また夜市を訪れる。……内容は帯に書かれています。
 
第12回日本ホラー小説大賞受賞作。
全選考委員激賞!の文字。

今宵は夜市が…………そう告げたのは学校蝙蝠だった。
学校蝙蝠って!!??
冒頭の期待を抱かせる文章。 
ワクワクします。 
帯に書かれている内容を知ってても
知らずに読んでも
これはあまり関係ないようです。
内容だけでは感じ取れない 
あざやかな心象風景があります。

怖さまでは到達はしないけれども 
なぜか冷ややかな湿度感のある感触。
幻想的な世界。

兄と弟がどう決着をつけるのか、
興味を持って読んでいました。 
 
余り感じたことのない様な
独特の悲しみ、孤独感。 

しつこさはなくてさらりとした
不思議な感覚の読後感でした。



「風の古道」 

「夜市」と似た感覚を持つ物語。
この世、あの世の境目の世界。 
 
「古道」が目に浮かんでくるような風景描写。
ホラーという感じはしなくて
日本の地方に伝わる 
昔話のような気がしました。 
 
悲しみを漂わせながら
静かにストーリーは進行していきます。

なつかしい匂いのする物語でした。




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砂漠の薔薇 (新堂 冬樹 )

2006-08-11 | 本 さ、た行(作家)
最初から失う光などなかった。

実体のない人間、人間でない人間。

憎悪より深いものを心の奥に、
刻みつけている、のぶ子。 
彼女は怖すぎる。

彼女の行動を束縛していた過去が、
おぞましい狂気を、
次第に大きくふくらませてていく。 

理解の範疇を超える行為。 

まあ小説だから…。 
小説の中で起きることだけにして欲しい。 

いくらお受験でも、
実際にここまでしてしまう人は、
いるのでしょうか?
 
エスカレートしすぎ。 
もし、実在している、
過去に実在していた、
とすれば悲しいことです。

この物語の様な受験の世界はないことを
願っていますが…。 
 
うわべだけのつきあい。
この本の中の受験ママたち。
誰もが自分以外のものの消去を願っている。
 
主人公の憎しみの対象は、
受験ママたちの中でも 
いつも、一人光っている、
幼なじみの親友十和子。

善意を伴っている彼女の行為に
向けられていく。 

自分が救われたい、トラウマ、そのためだけに…。
かわいい子供、家族を顧みず…。
全く、共感、同情の余地はありません。 

何事も子供のためだといいながらも、 
全て自分の優越感、虚栄心を満たすため。 
その結果の最悪の結末。
 
病んだ心を描いた、救いのない物語で、
スッキリしない読後感がありました。


 
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灰色の北壁 (真保 裕一 )

2005-12-25 | 本 さ、た行(作家)

  すべての謎は、あの山が知っている!
  三編からなる山岳ミステリー。
……………………………………………………………   
 「黒部の羆(ヒグマ)」

  ライバル同士の醜い意地の張り合いが
  引き起こす過酷な試練。 
  見せかけの信頼。 
  二人の道化が繰り成す、死の危険をはらむ踏破。 
  心理状態の変化していく様子が面白い。
  受け継がれていく、山を愛する志がさわやか。

表題作「灰色の北壁」 

標高7000mの北壁
1人のクライマーに対する疑惑。 
濃い霧に包まれた登攀の真実。
ゆきえという女性を巡る話。
意外な展開のおもしろさ。

「雪の慰霊碑」  

 亡き息子の眺めた景色を追って
 尾根をたどる父親。
 残された婚約者、彼女を見守る男。 
 いかにして正直な自分を取り戻すのか。 
 三者三様の心の動きが興味深い。
 しっかり読んでいなかったのか、
 最後は??でしたが… 

  同じく雪山が舞台の【ホワイトアウト】のような 
  スケールの大きさはなくても、 
  険しい冬山を背景に人間の弱さ、
  小ささがあぶり出され、
  人間味のある深い物語の様に思います。
  短編なのが惜しい位。。。。

 三作品とも、丁寧に描かれていて 
 読み応えのあるストーリーです。
 登場人物の心理状態も細微で、
  性格描写などもうまく描写され、 
 【ホワイトアウト】の後は、あまり印象に残る様な 
 作品に出会えなかったのだが、
(自分が読んでいなかっただけかも知れませんが) 
 やっと巡り会えた感じです。


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犯人に告ぐ (雫井 脩介 )

2005-07-14 | 本 さ、た行(作家)
 
姿見えぬ犯人に警察はテレビ局と手を組んだ。 

史上初の劇場型捜査が始まる!  

前半では記者との会見シーン、 
映像を見るような臨場感があって
引き込まれてしまいました。

テレビを媒介にした劇場型捜査、
マスメディアの問題点が露出してくる。

真ん中をすぎた頃から俄然 面白くなってきて、
後半は一気に読んでしまいました。 

私情にからんで捜査状況をリークする
腹立たしい植草の行動。 

「……今夜は震えて眠れ」の科白かっこいい!! 
巻島を応援してしまいます。
 
ラストの犯人の扱いの小ささは不満は感じません。 
それよりも巻島、植草、曽根の人物描写に重点を置いた 
この作品の描き方が正解だったと思います。 
描きたいのはこちらの方向だという気がしました。
 
分厚くって2段組、 
読むのがつらいなと思っていたけど、 
魅力的な主人公、優れた構成力で
満足のいく作品でした。 
 
きっと映像化するんでしょうね。
巻島役は誰がするのか・・・
興味あります。



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死亡推定時刻 (朔 立木 )

2005-06-11 | 本 さ、た行(作家)

死亡推定時刻

犯罪発生から、犯人逮捕、
裁判までの実態。 

警察と裁判による冤罪発生までの 
内幕が描かれている。 

冤罪が成立するまでの細かい過程を
読むものに納得のできる
描写によって進行していく。 
 
ひとりひとりは職務に対して 
少しの間違いも許さないような刑事達が 
思いこみや無意識の保身等により
こんなにも容易に犯人に
仕立て上げることができるのか…
  
現実に起こり得そうで怖い話です。 

精神的、物理的に追いつめられ
ジワリ、ジワリと犯罪者へ
誘導されていく様子が 
ありありと描かれていて 
一気に読ませてくれます。

重く読み応えのある本です。




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