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花ごよみ

映画、本、写真など・

ぱいかじ南海作戦  椎名 誠

2012-07-13 | 本 さ、た行(作家)


ぱいかじ南海作戦 (新潮文庫)

阿部サダヲ主演で
映画化ということに興味を
持って原作を読んでみました。

離婚と失業を同時に迎えることになった中年男。

ぱいかじ(沖縄の方言で南の風)が吹く
のどかな南の島が舞台。

この島にやって来た3人の若者との、
結構楽しい共同生活を、
佐々木という主人公が、
おれという一人称で語っていきます。

最初は先住の5人組と生活をしていましたが
宴会の後、5人組は消えてしいます。
そしておれの全財産と荷物も消滅。
なんと彼らは盗賊団でした。

その後1人になってしまうが、
しばらくして島にやってきたのは3人の若者。

失業した男と2人の大阪のギャル2人、
オッコチ君と、関西弁の女の子、
アパとキミとの生活が始まります。

この3人若者たちは、
それぞれが各自の才能、役割を発揮して、
おれと共に力を合わせて
海浜生活を進めて行きます。

まさにサバイバル、
イノシシ、ヘビ、海の生物等を捕って、
生き延びる自由で愉快な
狩猟キャンプ生活。

ラストはおいおいそこで終わるの?
という終わり方。
これでいいのでしょうか。
この南海作戦は完結しませんでした。




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黄金を抱いて翔べ 高村 薫

2012-04-27 | 本 さ、た行(作家)

黄金を抱いて翔べ (新潮文庫)

大阪の街を舞台に6人の男達が、
銀行本店の地下にある、
6トンの金塊強奪を企てる。

映画化されると知って読みました。
キャスティングは、
幸田 ‥ 妻夫木聡
北川‥浅野忠信
野田 ‥ 桐谷健太
北川春樹‥溝端淳平
モモ ‥ チャンミン(東方神起)
ジイちゃん ‥ 西田敏行です。

豪華な俳優陣!!
期待でワクワクします。

監督は井筒和幸
映画は11月公開予定

舞台は大阪、
吹田、中之島など
知っている場所が多いので
風景を想像しながら読み進めることが
できました。

登場人物も割り当てられた、
俳優を想像しながら読みました。
なので映画はまだ上映されていないのに
もう見てしまったような…

チームのメンバー達、
それぞれが暗いものを抱え、
悪いことを計画しているのに
もの哀しくて、
心優しいいい人。
愛すべき人達なんです。

スピード感、臨場感、
計画実行中の、
緊迫感あふれる時間の経過。
引き込まれる物語でした。




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所轄魂  笹本稜平

2012-04-06 | 本 さ、た行(作家)


所轄魂

息子はキャリア管理官、
父親は所轄刑事。
その父と子はいっしょに
犯人を追うことになる。


捜査一課から自ら望んで、
所轄の強行犯係長になった葛木。

息子は警視庁捜査一課のキャリア管理官。

ある事件の捜査本部に
葛木とその息子俊史、
そして強引で何かにつけて衝突する
捜査十三係の警部の鬼係長、山岡が加わる。

この親子に反目する山岡。
犯人逮捕に向けての捜査方針を定める過程での
葛木父子と山岡との避けられない対立。

葛木父は親馬鹿を自覚。
息子が管理官として
着任したとういうことで意識過剰に
なってしまったという面も…

…とはいってもほほえましい親馬鹿で
憎めない自意識過剰です。

父の背を見て警官という職業を選んだ俊史。 
この二人の親子関係はというと理想的な関係。
二人ともとてもいい人なんです。

それに対し山岡は悪役を
一手に引き受けています。

山岡率いる一課十三係対この父子+所轄
帳場内での激しい攻防。

犯人検挙に至るまでの
刑事達の火花散る魂のぶつかり合い。

縦横、上下、複雑な人間関係。

所轄刑事の犯人追及の心意気と熱い信念。

割と単調に物語が展開していくので
中盤まではまぶたが重くなる時も…

事件解決へと辿り着くラストは
思わずじんとくる場面もありました。


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チーム (堂場 瞬一)

2011-07-17 | 本 さ、た行(作家)

第一部 敗れし者
第二部 敗れざる者
の二部構成。

東京~箱根間往復を走り抜ける
箱根駅伝を描いています。

箱根駅伝出場を逃したチームのなかで、
予選でのタイムで選ばれた混成のチーム
「学連選抜」。

駅伝はチームスポーツ、
でもこのチームは寄せ集めのメンバーが
襷をつなぐのです。

敗者寄せ集めのチームが一つになって、
襷をつなぎ走り抜くことができるのか?

能力が他の選手と比較して一段高く、
自分だけのために走るという山城をはじめとして
混成チームであるが故の、
ランナー達の心の揺れ。

最高のチームを任せてもらったという
キャプテン浦の言葉。
メンバーそれぞれが、
色々な紆余曲折を経て、
浦という人物を通して、
チームが一つになり、
ゴールに向かって進み出す。

レースのシーンは読み応えがありました。
ゴールの瞬間までハラハラ、
ランナーの心の動揺、
交錯する不安と喜び。
ランナーの目に入る風景
一緒に走っているような気分。
臨場感いっぱい、
緊張しながらも楽しめました。







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東京公園 (小路 幸也 )

2011-02-25 | 本 さ、た行(作家)

主人公は写真家をめざしている、
圭司という名の大学生。

彼は公園で遭遇した男性から依頼を受ける。

用件は都内の公園巡りをしている女性を、
尾行して写真を撮り続けるというもの。
女性は依頼者の妻で、
彼女の名は百合香。

写真を撮るのが好きな大学生。
その彼が依頼されたアルバイトが
主軸となる物語。

小さな子供を連れ、
都内の公園に出没する百合香、
その女性をカメラを通して見続ける圭司、
知らず知らずいつの間にか、
彼女に惹かれていく。

舞台となる8つの東京公園。
水元公園、日比谷公園、砧公園、
洗足池公園、世田谷公園、
和田堀公園、行船公園。井の頭公園、

小説に登場する公園を、
すでに知っていたら
きっとこの小説に、
もっと親しみが湧くでしょうね。

物語はというとほんわか暖かい感じ。
日々の中で恋して悩み、
登場人物達の切なくて、
もどかしい心の動きが愛しいです。

誰かを探すのはそこに幸せがあるから
それは生きていく上での本能、
みんな愛すべき人達です。
幸せな方向に進んで欲しい。

圭司の幼なじみの富永とうい女の子も
ちょっと変だけど好感が持てます。
同居者の少し大人びたイケメンのヒロ、
圭司を見守る姉の咲実。
そして百合香。
悪い人は、誰一人出てきません。
いい人ばかり。

たまには誰もあやめたり、
傷つけたり、裏切ったりすることのない
小説もいいものです。

公園って噴水、緑の木々、
お花畑、池に浮かぶ水鳥など、
都会の中にあって、
ちょっぴり非日常的で、
明るく爽やかな空間のイメージ。

読後感も心地よい余韻が残りました。
百合香の行動については
不思議さが残ったままですが…








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制服捜査 (佐々木譲)

2010-07-15 | 本 さ、た行(作家)

主人公は川久保篤という名前の
新任駐在警官。

札幌ではベテラン刑事だったのに
かつての道警不祥事による大異動の結果、
十勝平野にある志茂別という、
田舎の駐在所に、
初めて単身赴任する。

表面的には犯罪など、
起こりえないはずの農村、
でも、川久保はそれが、
間違いであったことを
実感していく。

駐在警官として色々な
障害にあいながらも、
因習にとらわれた、
田舎の濃い人間関係の中に
入っていって事件を、
地道に捜査していく物語です。

「逸脱」
「遺恨」
「割れガラス」
「感知器」
「仮装祭」
5つの短編からなる、
連作小説になっています。

強引な飲酒の強要の後悔から
最初の事件が始まります。

淡々とした静かな、
ストーリーの進行に対し、
解決に至る間際は、
物語の高まりを感じます。

ラストの「仮装祭」、
十三年前の夏祭の夜の、
少女失踪事件は
静かで乾いた語り口から徐々に
不安感が高まる展開になっていき
読み応えのあるものでした。



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アマルフィ (真保 裕一)

2009-07-25 | 本 さ、た行(作家)

ローマで日本人少女が誘拐、
外交官、黒田が大活躍。

オールイタリアロケの 映画「アマルフィ」の
構想を基に仕上げた、
エンターテイメントサスペンス小説。

真保 裕一氏が映画のプロット造りに参加。

事件に操られた紗江子の、
イメージは天海祐希と全く同じ。

黒田はどうしても織田裕二が
目の前に浮かんできます。

映画を先に見ているので
これは仕方ないです。

誘拐事件を端緒にして、
大きな政治的事件に発展、

世界遺産指定の美しい街アマルフィ、
アマルフィとは計画名。

この街に恥じないような、
命をかけるにふさわしい
用意周到に計算された計画。

映画と小説は別の作品。
内容が違う点が多々あります。

ラストに近づき、
真相が徐々に解明されるにつれ、
スピード感、
緊迫感が出てきます。

チェチェン問題。
政治的テロ。

単にミステリーだけではなく、
スケールの大きな作品になっています。 

いつもは本を先に読んでから、
映画を観ることが多いです。

この本もかなり前に、
図書館で予約していたのに、
間に合いませんでした。

映画を観てしまった後では、
ストーリー、結末も分かってしまい 、
本の面白さが半減するのではと
懸念していました。
 
でも、この作品は映画とは、
違っていたので
結構楽しむことができました。



映画については→こちらです。







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悼む人 (天童 荒太)

2009-07-17 | 本 さ、た行(作家)
ずっと読みたかった本。

図書館でいつ予約したのか、
忘れてしまうほど
月日が経ってから、
やっと手にすることが出来ました。

「どういった人を愛したか、
誰かに愛されたか、
どんなことで人に感謝されたか」、
亡くなった人に関して、
何か知っている人達に尋ねながら
死者を悼むために放浪する旅人、
坂築静人。

彼を中心軸として、
それぞれ深い事情を持った、
3人の人達の心の逡巡と救い。

精神を病んでいるかのような奇異な動作に
なにか違和感を覚える人々、
本人にも説明出来ない心の動き。

悼むとは亡くなったその場所で
その人が確かに生きたことを
心の中に刻むこと、
覚えておくこと、
愛と感謝に関する思い出とともに
その人の生きていた時間を
忘れずに生きていく。

精神的な領域に入ってしまいそうな行為に、
宗教的なものを感じてしまい
登場人物と同じように初めは、
なかなかついていけない。

でも読後感は、
柔らかで優しい気持ち。
心が動かされた。
涙する場面も度々…
じわ~っと心にしみいる物語でした。






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犯罪小説家 (雫井 脩介)

2009-02-28 | 本 さ、た行(作家)

新進作家、待居の作品「凍て鶴」を、
映画化しようとする話がもちあがる。

監督として手をあげたのは、
人気脚本家の小野川。

独特の自分の世界を持ち、
相手を自分の思いこみの中に、
追い込む強引さを感じさせる…。
この小野川に、
待居は気味悪さと、
相容れなさを感じ始める。

あまり内容に変化がないのと、
全編に漂う重苦しい雰囲気の中、
暗い底に沈んで行きそうな気がする
不気味な湿った空気感があって
読み進めるのがつらかったです。

このまま最後までこの調子で行くのは、
とても精神力が持たないなと
感じ始めていましたが…。

本の半分ぐらい読み進めたところ、
そこで表れた「落花の会」の、
ハンドルネームに関する情報。

待居のスランプ時代の「落花の会」の
サイトとのつながり。

俄然面白くなってきました。

小野川と待居、そして今泉
作家と映画監督、ライター。
同じ物書きとしての感性。

この世からフェード・アウトしそうな
感じのあぶない人達。

フィクションとは大いなる嘘。

信じ得る登場人物は一体誰なのか?

ハンドルネームがたどり着く真相。

面白い構成だと思います。

でも暗いストーリー。

今回は我慢して気になるラストを
かいま見ることなく読み終えました。
先に読んでいたら面白さが
半減するところでした。










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天国はまだ遠く (瀬尾まいこ )

2008-11-14 | 本 さ、た行(作家)

23歳の主人公、
都会での生活に疲弊して
自己喪失。

たどり着いた未知の地。

思いついた自殺の実行に失敗。

傷ついた心が、
日本海地方の大きな自然の中で、
少しずつ癒される様子が、
淡々と描かれています。

疲れた都会の生活とは対局をなす、
田舎でののんびりとした日々。

うらやましく感じる、
束縛されない人生、
そんな民宿の主人、
田村さんとの出会い。

民宿での心地いい、
ゆる~い生活。

癒しのプロセスが自然に中で
ゆったりとしたタッチで描かれ
読むものの心にも共感とともに、
優しく心に響きます。

日常にいらだった心が
優しい方向へと変化されるよう。

ラストもいい感じです。

映画化されています。
ヒロインを演じるのは、
可愛い加藤ローサさん。

ついミステリー小説に、
いつも目がいってしまうのですが、
こういうジャンルの小説も、
またほんわかとした気分になれて、
いいなと思いました。



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