花ごよみ

映画、本、写真など・

ベルリンは晴れているか  深緑 野分

2020-07-23 | 本 な、は行(作家)

ベルリンは晴れているか (単行本)

登場人物がカタカナなので、
名前が頭に入りにくく
何度も各人物についての説明が
書かれているページを
めくり直しながら読み進めました。


露、米、仏、英国に占領された、
敗戦直後のドイツが舞台。

ナチスドイツが滅亡。
その時ベルリンで起こっていたこと。


孤児となった17歳のドイツ人の少女と泥棒との旅。
その少女を通しての戦中戦後のドイツ。

一応ミステリー作品の形をとっていますが
あまりにも生々しい戦争の恐ろしさ、
悲惨さが描かれていて
まるで実際に起こったこと、
ノンフィクションのように感じました。

街の崩壊、裏切り、密告、
人同士の監視、人種差別、人の命の軽さ...

普通の精神では生き抜くことが、
困難な過酷な時代。

表現力と細密な描写が見事で
物語の世界に引き込まれました。
読みごたえのある作品でした。
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笑えシャイロック  中山 七里

2020-05-11 | 本 な、は行(作家)

笑え、シャイロック (角川書店単行本)

銀行の不良債権回収を
描いた金融ミステリー。

問題債権の回収をしていた上司を
なきものにされた結城が
上司の後を引き継き
不良資産貸し出しの
回収を行う。

結城の上司、伝説の債権回収マン山賀。
彼の残した仕事、
地上げ屋、新興宗教、ベンチャー企業など
焦げついた案件の着手を図る。

第一話で早速いなくなってしまった
山賀、山賀が握っていた銀行の闇。

どんでん返しの帝王 中山 七里。
その名の通り、
どんでん返しはありました。
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希望の糸  東野 圭吾

2019-10-24 | 本 な、は行(作家)

希望の糸

加賀恭一郎シリーズの11作目。

喫茶店経営の女性が殺害される。

災害によって二人の子供を
亡くしてしまった常連客の男性。
運命に流される容疑者達。
今回は加賀の従弟の松宮が事件に挑む。

松宮の亡くなったといわれていた父親の謎。

今作のテーマは親子のつながり。
血のつながりを超えた親子の愛。

犯人探しというより
人と人の、関係や絆が描かれていて
読み応えのある作品になっていました。

登場人物はそれぞれが
善良な心を持っていました。

やっぱり加賀は、阿部寛が頭に浮かび
松宮は溝端淳平が浮かんできます。

複雑に絡んだ糸がほどけていき
明らかにされた多くの真実。
希望の糸、いいタイトルです。
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絶叫 葉真中 顕

2019-04-02 | 本 な、は行(作家)

絶叫 (光文社文庫)

無残な亡くなり方で発見された女性。
そして他の場所で
遺体となって見つけれた、
NPO法人の代表者の男。
消えた通報者の女性。

二人の遺体に連続保険金殺人の疑いが‥

主人公鈴木陽子のの生き方のすさまじさ。
落ちるところまで落ちていく
陽子の壮絶な人生。

今の世の中で起こっている
不幸や、社会の醜さを
物語の中に押し込めるだけ押し込んだ
かなり陰鬱な物語です。

驚きの結末には唖然としました。
読後感は悪いですが
うまい構成に感心。

尾野真千子主演で
WOWOWで今放映されています。
録画をしていてまだ見ていませんが‥
尾野真千子がどのように陽子を
演じているのか興味あります。

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沈黙のパレード 東野圭吾

2019-02-13 | 本 な、は行(作家)

沈黙のパレード

ガリレオシリーズで長編。
久々となる草薙・内海も登場。

自供がなく証拠不十分という理由で
釈放された容疑者、蓮沼。

憎い容疑者に司法での裁きが、
期待できないのであれば、
自らの手で復讐しようとする被害者遺族。

読んでいて時々切なくなり
涙する場面も。

多くの人達が関わる今回の事件。
登場人物それぞれが心に秘めた悔しさ、
やりきれない思いが重なり、
二転三転する意外な真相に、
ラストまで読み応え十分。

謎解きを楽しめる満足の物語でした。
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ある町の高い煙突 新田次郎

2019-02-09 | 本 な、は行(作家)

ある町の高い煙突 (文春文庫)

煙害を受けた村民と企業が
解決に向けて取り組んだという、
実話をもとに書かれた小説。

時代は明治から大正時代初期。

舞台は茨城県日立市。

企業は日立製作所前身の木原製作所。

映画化されるというので読みました。
企業と村民の争いというのではなく
住民は煙害に悩まされたものの、
会社側も煙害に対し真摯に向かいあい、
世界一高い煙突を作ったという事実。
そんなことが本当にあったんだと
感銘を受けました。

村民、企業それぞれ解決に向かい
まっすぐに進む姿、
爽快感が残る小説でした。

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散り椿  葉室麟

2018-10-01 | 本 な、は行(作家)

散り椿 (角川文庫)

実写化というので原作を読みました。

主人公、瓜生新兵衛は、
不正を訴え、認められずに
藩を追われることになるが、
妻、篠の願いを叶えるため、
18年ぶりに故郷に戻り
かつての仲間だった、
源之進の家に身を寄せる。

切腹させられていた源之進、
彼の息子・藤吾は、新兵衛を警戒。

新兵衛と藤吾は、
政争の中に巻き込まれる。

篠の新兵衛を思う心、
妻の願いを果たそうとする新兵衛。
出世を望んでいた藤吾の心の変化、

新兵衛、采女、源之助、三右衛門、
道場の四天王といわれた4人。

別の道に進んでも
若き日の友情を大切に
お互いを思いやる4人の姿。
藤吾の成長していく姿もよかった。

信念を曲げない
誠実でまっすぐな武士の生き様が
切なくて、美しい物語でした。

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傍流の記者  本城 雅人

2018-08-17 | 本 な、は行(作家)

傍流の記者

全国紙、東都新聞社に入社した、
6人の同期の新聞記者、
(土肥、植島、北川、城所、図師、北川)が主人公。

彼らがそれぞれ主役となる、
連作短編です。

新聞社の内情、
人事、出世競争、新人採用、
社会部と政治部の争いなど、
章ごとに様々な事件と関連させながら、
新聞社の裏側を見せてくれます。

自分の道を信じて進む彼らの、
それぞれのドラマが描かれます。

登場人物は多いです。
展開はおとなしめで
ハラハラ感はなかったです。
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悪徳の輪舞曲  中山千里

2018-08-06 | 本 な、は行(作家)

悪徳の輪舞曲

悪辣弁護士、御子柴シリーズ。

今回の依頼者は30年ぶりに訪れた妹、梓。

引き受けたのは、
母郁美の殺人容疑の弁護。

近親者の弁護、
御子柴弁護士は、
近親者といえども
何の思い入れもないようだが…

御子柴の過去、事件後の家族の生活が
明らかに。

検察側に有利な状況を
どういう風に覆すのか。

冒頭に覚えた、
漠然とした違和感がラストに解明。

ラストには少し救いが、
そして最後にはやっぱり
「どんでん返し」も。
加えて、心の「どんでん返し」も。

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護られなかった者たちへ  中山七里

2018-08-02 | 本 な、は行(作家)

護られなかった者たちへ

善人と周囲から評価されていた人物二人が、
続けて事件死。

生活保護の申請、職員とのあつれき。
生活保護の現状の問題点を提起。
社会福祉制度がテーマのミステリー。

大事な人を護りたかった後悔、
その怒りの先は?

本当の悪人はだれなのか。
保護制度で救われない人、
救われる人。
護られるべきなのに行政から見放され
「護られなかった者」の悲惨な現実。

切なくなる物語でした。
そして最後の最後に涙です。

やっぱり中山七里、
どんでん返しはありました。

コメント (2)
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