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変温動物

 昨日は雛祭り。つめたい雨の降る一日だったが、月詣りにお稲荷さんへ出かけた。目前に迫った公立高校入試で塾生が全員合格できるよう、さらには新学期での生徒募集がうまくいくよう心を込めて祈願してきた。
 その帰り道、ショッピングセンターに立ち寄ったところ、いつもは気にならないペットコーナーが目に付いた。大きな水槽が並んでいるから、ついつい引き寄せられてしまった、金魚はいるかな?1週間前から飼い始めた金魚は3匹とも立派な名前を頂いて(ビーバーさん・ゴジ健さん・リュウハハさん)、毎日元気に泳いでいる。その姿を見るのが楽しみになっているが、見るたびに「これじゃあちょっと寂しいなあ・・。もうちょっと金魚がいてもいいなあ・・」と思うようになった。かと言って、3匹を買った農協までわざわざ行くのも面倒だし、しばらくはこのままで我慢しようと思っていたところ、お稲荷さんのお導きか、金魚売場を見つけたからには、やっぱり寄ってみなくちゃいけない。妻も同じことを感じていたのか、珍しく何も言わず付いてきた。
 「何あれ?金色の金魚?」
 「おお、派手でいいねえ」
 「鯉って書いてあるよ」
 「確かにひげが生えてる、鯉だ」
 「小さいねえ。大きくなるのかなあ」
店員さんに聞いたら、うまく育てば大きくなると言う。まあ、どうせ私が育てたらそんなに大きくなることもないだろうけど・・。今は5cm位で金魚と同じくらいの大きさだ。赤の斑の錦鯉も売っていたから、金色のと一緒に買ってみた。

 

 家に戻ってすぐに、水槽の中に買って来た鯉を入れてみた。1時間くらい狭い袋の中で窮屈な思いをしていたから、広い水槽に移れば、さぞや嬉しそうに泳ぎまくるだろう、そう思いながら妻と二人で眺めていた。すると・・・
 入れてすぐは水槽を右から左へすすっと泳いだが、次の瞬間、錦鯉がぴたっと動きを止めて、上下逆さまになって水面に浮かび上がってきた。
 「どうしたの?」
妻が不思議そうに言ったが、金色の鯉もすぐその後水槽の底で横倒しになってまったく動かなくなってしまった・・。
 「何だよ、もう死んじゃうのかよ」
私は訳が分からず呆然としてしまったが、
 「水が冷たいんじゃないの?すぐに入れるんじゃなくて、袋ごと浮かばせておいて水温に馴染ませたほうがよかったんじゃないの?」
という妻の言葉に「なるほど!」と思って、指を水槽の中に入れてみた。冷たい!!ショッピングセンターの水槽にはきっとヒーターが付いていて、水温がもっと高いのだろう。袋の中の水も同じくらいの温度だったため、急に冷たい水の中に放り込まれた鯉たちは、体温が急激に下がって、体が動かなくなってしまったに違いない。これはヤバイ!!
 私は急いで近くにあったバケツの中にぬるま湯を入れて、そこに鯉を移してみた。どうだ、間に合ったか?
 じっと見守っていたら、最初に錦鯉、次に金色の鯉がゆっくりと動き始めた。
 「よかった、助かったみたい!」
妻も嬉しそうに声を上げたが、まさに九死に一生を得た思いだった・・。
 
 先日、公立高校入試の理科の過去問を解いていた中3生が、「外界の温度が低下したときのホニュウ類とハチュウ類の体温の変化について述べよ」という問いに対して「ホニュウ類もハチュウ類も変温動物なので体温が下がる」と答えていたのを見つけた私は、「お前は変温動物か?寒くなったら動けなくなるのか?」と注意したばかりだというのに、舌の根も乾かぬうちに魚が変温動物だということを、完全に失念していたとは・・。トホホホ・・、恥ずかしい・・。

  
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