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選挙速報って楽しい

 総選挙が終わった。直近の世論調査では、自民党の有利が伝えられていたが、結果は、予想通り自民党の歴史的大勝利となった。観客の立場としては、もう少し波乱があったほうが、色々と面白かったかなと思わないでもないが、まあ、この結果がよくも悪くも、厳然とした現実であるから、選ばれた議員諸氏が己の良心に従って、我々日本国民のためによりよい政治を行うよう努力してくれることを願うのみである。(でも、日本国民の誇るべきバランス感覚が、今回はちょっと一方に傾きすぎたかな)
 私は、選挙戦そのもには余り興味がもてないが、投票直後から始まる開票速報をTVで見るのが何よりの楽しみである。別に特定政党を応援しているわけでもないので、どこが勝とうがあまり関心はないのだが、(と言っても、投票はしてきたので、せっかくなら名前を書いた候補者が当選してほしいと少しは思う)各選挙区で刻々発表される開票速報を見ていると、何故だかワクワクしてくる。早々と結果が決まってしまう選挙区は問題外だが、最後までデッドヒートを繰り広げ、夜中過ぎても結果が分からぬような選挙区に注目していると、楽しくてしょうがない。時折選挙事務所が中継で映し出されたりして、支援者の必死の形相を目にするのは、傍観者としては、この上なく可笑しい。真剣な人々を笑うなどと、不謹慎極まりないことは百も承知だが、そこまで候補者に肩入れする彼らの心情が不思議でもあり、ある意味可愛らしくもある。私の父は、「選挙なんてものは、他人の就職活動だ。そんなものに血道をあげる奴らの気がしれない」と嘯いているが、父は父なりに開票速報は楽しみらしく、深夜までああだ、こうだと言いながら、私と一緒にTVの前に座っている。
 父のこの言葉は、選挙の本質をついていて、言い得て妙だと、私も気に入っているが、自分の損得勘定からにせよ、或いは純粋にその候補者を推しているからにせよ、一生懸命になってくれる支援者がいてこその候補者であると、選挙のたびに思う。問題なのは、候補者が当選して議員になってしまうと、支援者のためにという初心を忘れ、己の属する政党のために活動し始めることだ。政党の論理で物を言い始める彼らを見ると、空しさを感じる支援者は少なくないだろう。
 私にも、今から20年近く前に選挙活動に加わった体験がある。市会議員を4期務めた、私の母方の伯父の、3期目と4期目の選挙戦の手伝いをしたのだ。選挙戦と言っても、当時はまだまだ、いかに地域の票をまとめ切るかに焦点が集まる、まさに地縁・血縁中心の選挙であったため、地元に張り付いて、選挙カーの運転、電話での投票依頼など、裏方の仕事を手伝った。それだけでも、なかなか貴重な体験をしたと思っている。市会議員は地域の代表であり、地域の声を市政に反映させるには地元の議員が必要だという、誰もが納得できる大義名分があるため、自然な気持ちで応援できた。それでも、選挙運動を進めるうちに、是非とも当選させたいという気持ちが募り、開票の時には、事務所でドキドキしながら結果を待っていたのを覚えている。その時に味わった高揚感が、私の開票速報好きの基になっているのかもしれない。
 私は、今回の選挙戦ではほとんど喧騒を味あわなかった。だが、厳しい選挙戦の末に議員に選ばれた人たちが、地域住民の負託に応えるため、ひいては日本国民全体の利益のために、これから一生懸命汗を流してくれるよう願っている。

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