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SEVENTEEN

 先日、中学生の女の子のカバンから、「SEVENTEEN」という雑誌がはみ出ていたのを何気なく見つけて、まだこの本はあったんだ、と懐かしくなって見せてもらった。表紙からパラパラと見ていくうちに、中に写っているモデルの女の娘たちが、みんな同じに見えて、全く区別が付かないことに気が付いた。栗色のセミロングの髪をして、目元がパッチリした小顔で微笑んでいる姿は、全員文句なく可愛らしい。しかし、特徴がなく、みんな同じに見えてしまう。私が思わず、『みんな同じ顔をしてるね、区別が付かないや』と言ったところ、『えーっ、何でえ、みんな違うじゃん』と女子中学生に大笑いされてしまった。まあ、女子中学生というのは、やたらキャッキャと笑う存在だから、慣れっこになってはいるが、ちょっとムキになって、『この娘とこの娘なんか、よく似てるだろ、そっくりだ』と反論したところ、『当たり前じゃん、同じ娘だもん』と、さらに大爆笑されてしまった。くそっ、と思ったが、子供相手にムキになった自分が悪いと、反省して雑誌を返した。
 TVを見ていても、若い女の子はまるで区別が付かない。みな同じ髪型をし、同じメイクで、同じようなしゃべり方をする。私が年をとったせいなのかもしれないが、それだけではないようだ。雑誌やTVの中だけでなく、街を歩いている女子高生たちの何と同じような格好をしていることか。よくもまあ、あんなステレオタイプな格好が平気でできるものだと、その鈍感さには感心してしまうほどだ。
 そんな女子高生の典型とでも言うべき女の子が、一人塾生にいる。髪の毛は栗色というより金色に近く、一見したところでは、その辺にたむろしているバカ女子高生だが、県内でも上位にランクされる公立校に通っている、まあ優秀なお嬢さんだ。塾には中学から通っているが、高校合格とともに、一気にはじけてしまい、今風の女子高生に変身してしまった。私の県内の公立高校は、私立高校よりも校則がゆるく、さらに偏差値の高い学校ほど、自由度(自主性という名の放任)が高くなっている。従って、彼女が時々学校の制服のまま塾に来たりすると、本当にぎょっとする。目の周りはアイラインで黒くしてしまい、まるで炭団を塗ったようだし、何もこれほどまでにしなくてもと思うほどスカートは短く、ブラウスのボタンは2つも3つも開けたままで、正直目のやり場に困ってしまうほどだ。
 『なんだい、その顔は。可愛い顔が台無しだよ』と諭しても、『みんなこんな感じですよ』と、少しも臆さない。『先生は何も言わないの』『言いませんよ』『じゃあ、親は?怒られないの』『特に怒りませんよ』とすらすら答える。さすがに受け答えはしっかりしているが、外見がそれではなあ、と私がいくら嘆息しても馬耳東風、平気な顔をしている。
 少し前なら、みんなと違うことをしたいと思って髪に色をつけたり化粧をしてみたりしたのが、今の高校生を見ていると、みんなと同じじゃなければ取り残されるとばかりに必死になって流行を追っているような気がしてならない。個性的になろうとして、かえって没個性になってしまう愚を彼女たちはいつになったら気付くのだろうか。
 まあ、『そんなこと知っててやってるからいいじゃん』、などと言われるならば、『ご自由に』と言うしかないのだろうが。
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