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デモ参加のアメリカの学生たちが「怒っている事」 ガザ攻撃はあらゆる不正義の象徴だ

2024-05-11 | 先住民族関連

The New York Times2024/05/10 10:00

学生たちを抗議運動に駆り立てるのは、ガザ紛争に反対していることだけが理由ではない(写真:Nicole Craine/The New York Times)

アメリカ全土に広がる学生デモの参加者に話を聞けば、彼らの怒りは明らかだ。ガザ地区での死者数と破壊の規模にショックを受け、逮捕される危険を冒してまでパレスチナのために戦おうとしている。

学生デモ参加者の大部分にとって、この戦争は彼らが一度も足を踏み入れたことのない場所で行われている。現地保健当局の発表によると、ガザではこれまでに3万4000人の死者が出ているが、その死者について学生たちはネットで読んだり見たりした情報で知っているにすぎない。

1960年代の公民権運動と重ねる学生

だが、多くのデモ参加者にとって、これは身近な問題であると同時に、はるかに広くて大きな問題でもある。彼らの見方では、ガザの紛争は正義を求める闘いであり、ガザの問題とは大きくかけ離れているように見える問題と結びついている。警察活動、先住民族やアメリカの黒人に対する差別、地球温暖化の影響といったものが抗議活動を行う動機になっていると学生たちは話す。

この1週間、アメリカ各地で数十人の学生に話を聞いたところ、ガザ紛争を驚くほど幅広い視点で見ていることがわかった。この点は、彼らの執拗さと強情さを理解するのに役立つ。

アトランタにあるエモリー大学の1年生、イフェ・ジョーンズは、自身の現在の抗議活動を、1960年代に家族が参加した公民権運動と結びつけている。

現在の抗議活動に対する取り締まりについてジョーンズは次のように語った。「警察犬と高圧ホースの水が使われていないだけで、同じことだ」。

多くの抗議活動参加者は大学管理者の嘆願をはねつけ、自らを鎖でベンチに縛りつけ、建物を占拠した。デモ参加者は今、厳しい取り締まりに直面しており、コロンビア大学を含む多くの大学でこの24時間に数百人が逮捕された。

多くのキャンパスでは親イスラエル派の学生が親パレスチナのデモに対抗する反対運動(カウンタープロテスト)を強めてきており、今後数日で情勢は一段と緊迫する可能性がある。

デモ学生が語る環境保護と反帝国主義

取材では、多くの抗議参加者が特徴的な言葉を使っていた。学生たちは自分たちの説明に、インターセクショナリティー(交差性)、植民地主義、帝国主義といった学術用語を大量にちりばめ、パレスチナ人の苦境は偏見と抑圧の上に成り立つグローバルな権力構造の結果であると主張した。

「環境活動家として、私たちはインターセクショナリティーのレンズを通して世界を見ることに誇りを持っている」。コーネル大学1年生のケイティ・ルエフは「気候正義は全人類共通の問題だ」と語った。

「その根っこは帝国主義や資本主義とか、そういったものとの闘いと同じところにあるため、アイデンティティーのあらゆる側面に影響する。それはこの紛争、パレスチナでの大量虐殺にとても当てはまると思う」

コーネル大学で細胞分子生物学を専攻する27歳の博士候補生、ジャウアンナ・マカリスターは、所属する学生団体の名前「The Coalition for Mutual Liberation(相互解放連合)」に話題を向けた。

「私たちの団体名にある相互解放が目的だ」とマカリスターは言った。「つまり私たちは、人種差別、帝国主義、植民地主義に反対する組織だということだ。すべての人が自由にならない限り、誰も自由にはなれず、当然の敬意と尊厳は得られないと私たちは考えている」。

ほとんどすべての抗議団体は即時停戦に加え、イスラエルやイスラエル軍と利害関係のある企業に何らかの資金・資産の引き揚げを求めている。とはいえ、あらゆることがつながっているため、デモ参加者の中には別の目的を持つ人もいる。

パレスチナ人を支援する学生運動は、数十年にわたり別の問題と結びつくことで築き上げられてきた。1990年代初頭にカリフォルニア大学バークレー校で結成された「パレスチナの正義を求める学生の会(SJP)」は、環境活動家や、ラテンアメリカに対するアメリカの介入に反対する勢力、湾岸戦争を批判する勢力など、意識的にパレスチナ関連以外の活動家を招き入れ、団体の裾野を広げてきた。

現在、同団体の全国運営委員会は、アメリカ国内を中心に200以上の自治支部が存在すると主張している。また、ほかの学生団体と協力することも多い。

連合体の形成は強さと誇りの源となっており、デモ参加者に世の中の多くの人々が味方だという感覚を与えている。

ベトナム反戦デモとの明らかな違い

しかし、親イスラエル派の学生や卒業生を激怒させている現在の運動は、南アフリカのアパルトヘイトやベトナム戦争に対するかつての抗議運動とは明らかに異なると学者たちは指摘する。

コロンビア大学で公共政策を教えるティモシー・ナフタリは、1960年代のベトナム反戦デモでは、民族として攻撃されていると感じるような層は存在しなかった、と述べた。

「現在のデモは、ベトナム戦争時の反戦デモよりもはるかに大きな形で不安感を生み出しているのではないだろうか」とナフタリは話した。

現在の分断の中心となっているのは、ハマスと反ユダヤ主義だ。

取材の中で、昨年10月7日にイスラエルを奇襲し、約1200人を殺害した過激派組織ハマスについて質問すると、多くの学生は口を閉ざすか、あの攻撃はひどかったと答えるにとどまった。

しかし、セントルイスにあるワシントン大学の4年生、ライラ・スタインバックは、あの奇襲で複雑な感情が湧き起こったことを認めた。スタインバックは、奇襲で殺されたり人質になったりした人々を知っている。多くの抗議活動参加者と同じく、彼女もユダヤ人として育った。

「10月7日に起こったことは、解放と脱植民地化(デコロナイゼーション)にコミットする者として、自身の政治姿勢が試されるものだった」とスタインバックは述べ、こう続けた。「ハマスが行った暴力を非難しないのは難しい」。

それでもスタインバックは、「イスラエル人の暴力とアメリカ帝国主義の暴力、そしてイスラエルとアメリカがもたらした状況が、テロの温床になっていることも知っている」と話した。「天井のない監獄で育ち、孤児になり、悪いのはイスラエル人だと言われたら、信じてしまうと思う」。

学生デモ参加者のほぼ全員が、反ユダヤ主義を心から懸念していると述べた。

「反ユダヤ主義」の批判はお門違い

だがデモ参加者たちは、自分たちの周囲では反ユダヤ主義は目につかないと話した。野営地にも、ほかの抗議活動参加者の間にも、「川から海まで」というシュプレヒコールの中にも、反ユダヤ主義は見当たらないという(彼らの見解では、「川から海まで」はイスラエル国家を一掃せよという呼びかけではなく、平和と平等を求める呼びかけだ)。

4月28日、ピッツバーグ大学の野営地周辺に数十人の抗議参加者が集まっていた。同大学の数学科教員、アレクサンドラ・ワイナー(25)は、2018年に白人ナショナリストが銃乱射事件を起こし、礼拝者11人を銃殺したシナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)「ツリー・オブ・ライフ」に通って育ったと語った。

一部のカウンタープロテスト参加者は野営地を反ユダヤ主義的だと非難していたが、ワイナーは「反ユダヤ主義な感情や考え方は経験したことも耳にしたこともない」と話した。

その日、数百人の抗議参加者が停戦を求めてキャンパスをデモ行進した。警察との短いにらみ合いの後、2人が逮捕された。野営地は30日には消えていた。

https://toyokeizai.net/articles/-/753325

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