先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

北海道150年音楽祭 キタラで12月26日 500組を招待

2018-11-05 | アイヌ民族関連
北海道新 11/04 20:33
 北海道150年事業実行委員会は12月26日、札幌市中央区の札幌コンサートホールKitaraで「北海道150年音楽祭」を開き、ペア500組を無料招待する。北海道の次の50年を担う若い世代を中心としたイベントで、北海道にゆかりのあるアーティストが音楽ライブやパフォーマンスを披露する。
 実行委は道や経済団体などで構成し、8月の記念式典など北海道150年関連行事を開いてきた。音楽祭が最後の主催行事となる。
 札幌出身の人気バンド「TRIPLANE(トライプレイン)」や、歌手の野宮真貴さん=釧路管内白糠町出身=、いずれもシンガー・ソングライターの児玉梨奈さん=旭川市出身=、瀬川あやかさん=富良野市出身=、Chimaさん=札幌市在住=のほか、アイヌ民族の弦楽器トンコリ奏者のOKIさんら9組が出演。札幌・琴似中合唱部も登場する。サンドアーティストの伊藤花りんさんによる砂絵のパフォーマンスもある。
 午後6時開演。申し込みは12月6日までに、AIR―G’ホームページ(https://www.air-g.co.jp/)内の特設ページから。12月中旬に当選者に招待状を送る。問い合わせはAIR―G’(電)011・241・0857へ。(中村征太郎)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/244930

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

この本が江戸時代に出版できなかった理由とは?

2018-11-05 | アイヌ民族関連
ブックウオッチ2018/11/ 4日曜J-CAST書評

書名 アイヌ人物誌
監修・編集・著者名
松浦 武四郎 著、更科 源蔵 翻訳、吉田 豊 翻訳
出版社名 青土社
出版年月日2018年9月26日
定価1800円+税
判型・ページ数 四六判・365ページ
ISBN 9784791770960
BOOKウォッチ編集部コメント
 このところ幕末の探検家、松浦武四郎(1818~88)の名前をよく見るような気がする。なぜかと思ったら生誕200年だという。歴史の教科書では、幕末に蝦夷地を何度も探検した人物として登場するのでおなじみだ。NHKは来春、ドラマにして放送するそうだ。
6回にわたり蝦夷地など探検
 本書『アイヌ人物誌』(青土社)は、その松浦が生前書き残していた「近世蝦夷人物誌」をもとにしている。アイヌ文化研究科の更科源蔵さんらが訳している。1981年に農山漁村文化協会から出版され、その後絶版となっていたものを2002年、平凡社から平凡社ライブラリーとして復刊。再び絶版になっていたが、生誕200年、北海道という名を命名されて150年ということで、このほど青土社から新版として再刊された。
 何度も復刊されるのは、それだけ歴史的史料として価値の高い書物だということがわかる。アイヌの人たちの誠実にして剛毅な生き方が丹念に記録されている。
 松浦武四郎は伊勢国の庄屋の4男として生まれた。幼少時からお伊勢参りの人たちに触れて諸国への関心を高め、16歳のころ江戸に出る。その後も全国あちこちを旅した。1845年から58年にかけて6回にわたり、東西蝦夷地(北海道)、北蝦夷地(サハリン)、国後、択捉を探検したことで知られる。
 69年(明治2年)に開拓判官となり、「北海道」という名づけや、道内の地域名等の選定に関わったが、新政府のアイヌ政策を批判して翌年辞任した。北海道出版企画センターからその足跡をまとめた『松浦武四郎選集』が刊行されている。
松本潤が主演
 本書がユニークなのは「人物誌」ということだ。それも「アイヌ」。幕末のころに蝦夷地に暮らしていた多数のアイヌ人たちの素顔や生き方が、松浦の筆と挿絵で浮かび上がる。「副酋長リクニンリキ」「オノワンク老人」「烈婦モレワシ」「豪傑カニクシアイノ」「正義の人ヤエケシユク」「孝子コトン」「義民レイシヤク」などといった形で、一人一人に小見出しが付いている。本書では99人が登場する。
 当時、蝦夷地を支配していた松前藩などの役人や和人に騙されたアイヌも多い。「憤死したトンクル」「縊死したフツチウ」など、そうした悲劇もきちんと記されている。
 松浦は本書の原本「近世蝦夷人物誌」を幕末に出版しようとした。しかし、函館の奉行所が許さなかったそうだ。幕府や和人の行動を批判する内容が多かったためだ。松浦の死後20年以上たった明治45(1912)年になってようやく、雑誌「世界」に全容が連載された。
 「解説」で、松浦武四郎記念館の主任学芸員・山本命さんは、「各地で暮らすアイヌの人々が置かれている状況に心を痛め、涙を流し・・・自分ではどうすることもできない無念さをにじませながら、どうすればこの状況を改善できるか・・・悩みながら筆をとる姿が浮かび上がってくる」と書いている。
 来春のNHKのドラマは松本潤、深田恭子のコンビで放送されるそうだ。松浦のイメージとちょっと違うような気もするが、期待することにしよう。
 BOOKウォッチではアイヌ関連で、『アイヌ語地名と日本列島人が来た道』(河出書房新社)、『つくられたエミシ』(同成社)などを、北海道開拓関係では、『鎖塚――自由民権と囚人労働の記録』(岩波現代文庫)などを紹介している。(BOOKウォッチ編集部)
https://www.j-cast.com/bookwatch/2018/11/04008176.html

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

厚真に戻ってきた守り神 エゾフクロウのつがい

2018-11-05 | アイヌ民族関連
毎日新聞2018年11月4日 20時56分(最終更新 11月4日 21時05分)

 9月発生の北海道胆振(いぶり)東部地震で、最大震度7を観測した厚真町の厚真神社では、エゾフクロウのつがいが例年より約1カ月早く境内に姿を見せた。宮司の黒沢寿紀さん(75)によると、夏場は別の場所で過ごし、通常は9月末~10月に戻るが、今年は地震直後に帰還したという。地震発生から6日で2カ月を迎える中、地域の励ましとなっている。
 エゾフクロウはアイヌ語で「クンネレッカムイ」(夜鳴く神)と呼ばれ、かつて守り神としてあがめられてきた。黒沢さんによると、9年前から境内にすみつき、今のつがいは3代目。今年6月にヒナ3羽を育てて離れ、地震直後に戻った。黒沢さんは「こんなに早く戻るのは初めて。心配してくれているのだろうか」と話す。
 町では36人が犠牲となり、入植と共に建立され、118年の歴史を刻んできた神社も社殿が傾き、三つの鳥居すべてが倒れた。厳しい状況の中でも、樹齢150年のアカマツの上で愛くるしい様子で町を見守るつがいに、地元の人たちは「福を呼び寄せ、復興を応援してくれる」と励まされている。【福島英博】
https://mainichi.jp/articles/20181105/k00/00m/040/082000c

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マリモが生育する阿寒湖のほとりで 温泉に浸かりアイヌ文化に親しむ

2018-11-05 | アイヌ民族関連
インフォシーク 2018/11/04 12:00
 野生動物が生きる深い森、複雑に入り組んだ湖岸、ダイナミックなカルデラ、特別天然記念物のマリモが生育する自然環境……。北海道東部に位置する阿寒湖は、特有の景観を持つ場所だ。
 美しい景観とともに楽しめるのが、効能あらたかな温泉。湖底からミネラル豊富な温泉が滾々と沸き、周辺には温泉街が広がっている。
 温泉街の一角には、北海道最大のアイヌの集落、アイヌコタンがある。連綿と受け継がれる文化やアートは、自然に負けないほど美しい。
 ここは道内でも人気の紅葉スポットだ。秋には森の木々が湖面を鮮やかに染め、一帯はどこを切り取ってもフォトジェニックに。
 紅葉が終わると、やがて長い冬が訪れる。静まり返った森には雪がキラキラと輝き、広葉樹も白く縁どられ、いっそう神秘的な表情を見せる。
文=芹澤和美
https://woman.infoseek.co.jp/news/trend/creabunshun_21103

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

地球温暖化対策 なぜ1.5℃未満を目指すのか -IPCC特別報告書を読む

2018-11-05 | 先住民族関連
ヤフーニュース個人 11/4(日) 8:00
10月8日に、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による、「1.5℃目標」に関する特別報告書が発表された。新聞やニュースで報じられたのをご覧になった方も多いかと思う(報告書はこちら、環境省による概要の仮訳はこちら)。この報告書の受け止めが欧米では盛んに議論されているが、例によって日本国内での反応は薄い。
経緯を簡単に述べると、2015年に国連で採択された気候変動対策の国際枠組である「パリ協定」において、「世界平均気温の上昇を産業化以前と比較して2℃より十分低く抑え、さらに1.5℃未満に抑える努力を追求する」という長期目標が合意された。「1.5℃」の言及には特に発展途上国の意向が反映されたと聞く。しかし、1.5℃でどれくらいの影響が出るのか、1.5℃で温暖化を止めるためにはどれだけ対策が必要なのかについて知見が不足していたため、その評価がIPCCに依頼され、今回の報告書が作成された。
報告書に書かれている「1.5℃目標」の評価はごく簡単には以下のとおりだ。
世界平均気温は産業化以前に比べて現時点で1.0℃上昇しており、このままのペースで気温上昇が続けば、2040年前後には1.5℃に達してしまう。
気候変動による悪影響のリスクは、1.5℃温暖化した世界では現時点よりも顕著に大きくなり、2℃温暖化すればさらに大きくなる。
温暖化を1.5℃で止めるには、2050年前後には世界全体のCO2排出量を正味でゼロにし、メタンなどCO2以外の温室効果ガスの排出も大幅に削減する必要がある。
しかし、これだけを聞いても、多くの人は「温暖化を1.5℃で止めないと何が本当にまずいのか」がよくわからないだろうし、「2050年前後に世界のCO2排出量をゼロにするなんて、もちろん無理でしょ」というところで思考が止まるのではないだろうか。
そこで本稿では、この報告書をどう受け止めたらよいのかについて、筆者なりの考えを書いてみる。筆者はこの報告書の執筆に参加していないし、仮に執筆者であってもIPCCの見解を代表することはできない。本稿はあくまで一専門家の立場からの解説である。
1.5℃を超えると何がまずいのか
報告書には、異常気象、海面上昇、生態系、健康、食料、水資源といった各側面において、1.5℃温暖化すれば今よりリスクが大きくなり、2℃温暖化すればさらに大きくなることが包括的に述べられている。しかし、それだけならば「そりゃそうでしょ」と思うだけであり、問題はそのリスクをどの時点で受け入れられなくなるか(How dangerous is too dangerous?)だろう。
ここで注目してほしいのは、仮にあなたが平気だったとしても、現時点の(1℃の)温暖化でも、既に受け入れられない悪影響が出ていると感じている人がいるであろうことだ。つまり、1.5℃なら平気で2℃だとたいへんだということではなく、現時点で既にたいへんで、1.5℃だともっと、2℃だともっともっとたいへんなので、せめて1.5℃で止めてほしい、という願いがあるということだ。
日本国内においても、この夏に豪雨による被害や熱波による健康被害に見舞われた方は、このような状況がさらに悪化するのは勘弁してほしいと願っていることだろう。
さらに深刻な悪影響を被るのは、発展途上国の貧しい人々である。干ばつの増加、生態系変化、海面上昇、嵐の激化などで生活基盤を失い、生命の危機に直面する、乾燥地域、北極域、沿岸域、小さい島国などに住む貧しい人々や先住民族などだ(しかも彼らは問題の原因である温室効果ガスを先進国の人々に比べてほんの少ししか排出していない)。そのような被害は彼らの貧困をさらに悪化させる。報告書によれば、温暖化を1.5℃で止めれば、2℃の場合と比べて、そのような影響に直面する人口を2050年時点で数億人減らすことができる。
海面上昇は、2℃に比べて1.5℃だと2100年時点で10cmほど抑えられると評価されている。たった10cmという気もするが、危機に直面している人たちにとっては、少しでも猶予があることで、危機に対処する時間が生まれる。
また、1.5℃温暖化すれば、グリーンランドの氷床が不安定化する臨界点を超える可能性があり、2℃ならばその可能性はさらに高くなる。これが起きると数百年~数千年かけて、海面は数m上昇する。(直近の研究なので報告書の評価には含まれていないが、同様な臨界点現象の連鎖によって気温上昇が4~5℃上昇する引き金を引いてしまう「ホットハウス・アース」の可能性も、2℃に近づくほど高まる)
他にも、生態系の一部にはすでに大きな被害が出ており、1.5℃、2℃と行くにつれてさらに深刻化する。温水域のサンゴ礁は、1.5℃で今よりさらに70~90%が失われ、2℃で99%以上が失われると評価されている。一度失ってしまうと元に戻せないような生態系の損失が温暖化により進行し、生態系の恩恵が失われることで、人間社会にも予期せぬ影響が跳ね返ってくるかもしれない。
このように見ていくと、「そりゃあ、できることなら、なるべく低いところで温暖化を止められるに越したことはないだろう」と思う方は多いのではないか。
2050年にCO2排出ゼロは可能か
すると、次に問題になるのは、2050年ごろまでに世界のCO2排出量をゼロまで減らし、1.5℃で温暖化を止めるなんていうことが、本当にあり得るのか、また、そのために深刻な経済的な損失や副作用は発生しないのか、ということである。
報告書には、1.5℃未満を実現するためのシナリオが複数描かれている。シナリオが描けるということは、それは「原理的には」可能ということだ。「絵に描いた餅」という言葉があるが、いってみれば「餅の絵」を描くことは少なくとも可能なのである。
シナリオによれば、今後10年程度が勝負だ。2030年までに世界のCO2排出量を2010年に比べて45%前後減らす必要がある。広く認識されているように、パリ協定で各国が宣言している排出削減目標ではまったく足りていない(すべて達成できても3℃程度温暖化するペースである)。
一番大きいのはエネルギーシステムの転換だ。省エネ技術やシェアリングエコノミー等でエネルギー需要を抑え、電化率を上げるとともに、2050年には電力における再生可能エネルギーの割合を70-85%に増やし、石炭火力はほぼゼロまで減らすといったシナリオである。
そのようなエネルギーシステムの転換に必要な投資は、年間2.4兆ドル程度とされ、世界のGDPの約2.5%である。膨大な額に聞こえるが、1.5℃を目指さずに現状ペースで投資した場合に比べて、2割程度の増加でしかない。再生可能エネルギーへの投資が増加する一方で、化石燃料への投資が減少するためだ。
また、大気からCO2を吸収する技術を多かれ少なかれ使う必要があると書いてある。大規模に行うには、BECCS(Bio-Energy with CO2 Capture and Storage)とよばれる、バイオ燃料を使って出てきたCO2を地中に封じ込める技術を大量に使う手があるが、これにはエネルギー作物の栽培用地が大量に必要で、食料生産や生態系保全と競合するため、おいそれとはできない。しかし、小規模であれば、植林や農地の炭素管理などの穏当な方法でなんとかなるかもしれない。
エネルギーの他にも、土地利用、都市、インフラ、産業等の分野でシステムの急速な大転換が同様に必要とされている。
持続可能性とのシナジーとトレードオフ
さて、パリ協定と同じ2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)をご存じの方は多いだろう。気候変動は17の目標のうちの一つ(目標13)だが、もしもそれだけが追求されて、貧困・飢餓の撲滅などSDGsの他の目標に悪影響が出たのでは本末転倒である。そこで、「1.5℃目標」とSDGsの関係がどうなるかを見てみよう。
報告書によれば、「1.5℃目標」を追求するための温室効果ガスの排出削減の徹底は、下手をすると他のSDGs目標とのトレードオフ(二律背反)がある。いわば対策の悪い副作用だ。たとえば、エネルギーシステムへの投資のために社会保障が削減されたり、バイオ燃料の生産のために食料生産が減少したりすれば、貧困や飢餓の撲滅にはマイナスである。このようなトレードオフは、再配分政策などをうまく使って緩和する必要がある。
また、化石燃料産業はそのままでは存続できないので、総合エネルギー産業などの形に移行する必要がある(ちょうど、「デジカメ革命」に伴って写真フィルム産業が総合精密化学産業などに移行し、移行に失敗した企業は退場したのと同様だ)。また、化石燃料資源の輸出に歳入を依存している国は、より多角的な経済に移行する必要がある。こういった移行に伴って失業や貧困が生じることも重要なトレードオフだ。この点に配慮して、国や国際社会が移行を支援する必要があるだろう。
一方で、「1.5℃目標」が達成されれば、2℃やそれ以上に温暖化が進んだ場合と比較して、貧困・飢餓の撲滅、健康、生態系、産業活動や経済成長などの様々な面において、温暖化の悪影響が緩和されることによるSDGsへのプラスの効果があることは自明だ。つまり、この側面においては、1.5℃未満を目指すこととSDGsを目指すことはシナジー(相乗効果)があるといえる。
さらに、「1.5℃目標」を追求するのは、社会が持続可能であった方がやりやすい。たとえば、大量生産・大量消費・大量廃棄が前提で、格差が大きく、国家間がいがみ合ったような状態でCO2の排出を削減するのに比べれば、シェアリングや資源循環で経済がまわり、格差が小さく、国際協調がうまくいった状態で削減する方が、ずっとやりやすいのである。したがって、「1.5℃目標」を目指すためには、単にCO2排出削減技術をたくさん導入するだけでなく、社会全体を持続可能な方向に導くような(SDGsを多く達成するような)政策を追求した方がよい。この側面でも「1.5℃目標」とSDGsはシナジーの関係にある。
以上から、持続可能性とのトレードオフをうまく緩和する政策をとることができれば(この条件は極めて重要だが)、「1.5℃目標」を目指すことと、SDGsを目指すこととは、Win-Winの関係にあるといえるだろう。
ではどうしたらよいのか
報告書では、「1.5℃目標」を実現するために必要なこととして、投資の増加、政策、イノベーションの加速、行動変容、すべてのアクター(自治体、ビジネス、市民社会など)の参加、国際協力等を挙げている。現状の世界にはこれらが足りていないが、これらを追求することにより、1.5℃のシナリオという「餅の絵」を「食える餅」にすることは可能かもしれない。
ここからは完全に筆者個人の意見になるが、どうせならこの報告書のメッセージを前向きにとらえた方がよいと思う。つまり、「1.5℃を超えたらひどいことになるらしい」「いろいろ犠牲を払って温暖化を止めなくてはならないらしい」「何を我慢させられるのだろう、いくら支払わせられるのだろう」「どうせもうだめだ」という感じで、後ろ向きにこの問題を捉えても、何もいいことは起きないと思うのである。
そうではなくて、どのみち世界はSDGsの達成を目指しているのだから(平たくいえば、どのみちみんな「社会を良くする」ことを目指しているのだから)、「1.5℃目標」は世界の持続可能性に向けた取り組みを加速する「機会(opportunity)」だと思ったらよいのではないだろうか。
その取り組みを具体的に論じることは筆者の能力を超えるが、たとえばビジネスであれば、持続可能な社会に寄与するシステムの構築やサービスの提供が、投資家から評価され、顧客からも喜ばれ、利益も生む、といった方向性が主流になり、そういうビジネスが競争すればするほど社会が良くなり、同時に「1.5℃目標」の達成にも近づいていく、ということが起こればよいと思っている。
個人レベルでは、「行動変容」という項目があるように、ライフスタイルの変化ということがよく言われるが、これも、不便で面倒で質素な生活を強要されていると捉えるべきではないだろう。例えば、肉ばかり大量に食べて、しかも大量に捨てて、車だけで移動し、運動不足で病気になるようなライフスタイルよりも、バランスの良い適量の食事をとり、適度に歩いて健康に過ごした方が、自分にとっても社会にとっても良いというのだから、それを目指して損はないのではないか。
最後に、仮にも専門家が書いた解説にしてはあまりにも能天気な結論になったと思われているかもしれないので、筆者の学術的な問題意識を簡単に書いておく。実は、気候変動とその影響の科学的な予測には未だ大きな不確実性があり、それによって生じる予測の幅は、1.5℃と2℃の違いよりも大きい場合もある(たとえば、2100年までの海面上昇は1.5℃温暖化の場合で26~77cmと予測されており、1.5℃と2℃の違いが10cm程度なのに比べてずっと幅が大きい)。したがって、この不確かさを狭める研究と同時に、不確かさに対処する方法の検討が必要である(たとえば、予測の上振れが現実化してしまったときに何がなしうるか)。
しかし、これを考慮したとしても、本稿の結論は変わらない。1.5℃を全力で目指しても大きな影響が出てしまう場合にどうするかといったことは、走りながら考えることにして、差し当たって、社会は「1.5℃目標」を全力で、前向きに、かつ賢明に(つまり持続可能性とのトレードオフをうまく制御しながら)目指せばよいのではないか。
なにせ、温暖化を1.5℃未満に抑える「努力を追求する」ことに、国際社会はすでに合意しているのだから。
江守正多 国立環境研究所 地球環境研究センター 副センター長
1970年神奈川県生まれ。1997年に東京大学大学院 総合文化研究科 博士課程にて博士号(学術)を取得後、国立環境研究所に入所。2018年より地球環境研究センター 副センター長。社会対話・協働推進オフィス(Twitter @taiwa_kankyo)代表。専門は地球温暖化の将来予測とリスク論。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第5次および第6次評価報告書 主執筆者。著書に「異常気象と人類の選択」「地球温暖化の予測は『正しい』か?-不確かな未来に科学が挑む」、共著書に「地球温暖化はどれくらい『怖い』か?温暖化リスクの全体像を探る」「温暖化論のホンネ -『脅威論』と『懐疑論』を超えて」等。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

心に残る無償の愛 フォックスさん出国

2018-11-05 | 先住民族関連
マニラ新聞 2018.11.4
 英国の有名バンド、ビートルズがフィリピンを去る時のことを覚えている人もいるだろう。彼らは当時のマルコス大統領夫妻から夕食の誘いを受けたが、すげなく断ったため、空港に押し寄せたマルコス支持者から暴言を吐かれるなど忘れられない見送りを受けたのだ。
 今回、オーストラリア人修道女のパトリシア・フォックスさん(71)との別れでは、そのようなことは起こらないだろう。しかし彼女は、ドゥテルテ大統領が入国管理局に捜査を命じた際、当局から圧力を受けた。見た目に傷はなくとも、彼女の心には深い傷が残っているだろう。
 フォックスさんは27年前、比で最も貧しく、地位が低く、弱い人々のために働くという理念を持って、比をすみかと決めた。彼女は貧しく辛い生活に身を置き、時に権力者との対立を強いられた。
 特に大統領は「くさい口で政府をののしり、比の独立性を脅かしている」と激しく批判し、「逮捕してやる」などと脅した。彼女がそこまで責められるのは、貧困層や先住民族に苦難を強いる強権的な政府に勇敢にも疑問を突きつけたからかもしれない。
 フォックスさんは「状況が変われば戻ってきたい」と話していたが、高齢のため難しいだろう。けれども政府によって虫のように追い払われる彼女に、ぜひ受け取ってほしいものがある。それは彼女の奉仕と無償の愛に感銘を受けた比人の心からの感謝だ。彼女の姿は、苦しむ隣人に助けの手を伸ばすときの手本となって、比人の良心と記憶に残り続けるだろう。(3日、インクワイアラー)
http://www.manila-shimbun.com/column/opinions/series241106.html

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

仏領ニューカレドニアで住民投票、残留支持が独立賛成を上回る

2018-11-05 | 先住民族関連
AFPBB News 11/4(日) 20:34配信
【AFP=時事】(更新)南太平洋のフランス特別自治体ニューカレドニア(New Caledonia)で4日に行われた仏からの独立の是非を問う住民投票は、速報によると、フランスへの残留を支持する票が多数を占めたことが判明した。
 地元の選挙当局によると、開票率70%の時点で、独立の提案を拒否する人々の票が59.5%に達した。
 有権者数は約17万5000人という今回の投票に先駆けて行われた世論調査でも、フランスへの残留を支持する票が大多数を占めるとみられていた。
 その一方で、独立の是非を問う住民投票を機に、独立支持の傾向が強いメラネシア系先住民カナク(Kanak)と、1853年のフランス併合後に渡ってきた白人との間で対立が再燃するのではとの懸念が出ている。
 フランス本土から約1万8000キロ離れたニューカレドニアは、電子機器産業に不可欠なニッケル鉱の世界有数の生産地で、太平洋におけるフランスの戦略的要衝でもある。【翻訳編集】
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181104-00000034-jij_afp-int

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「競争型教育、いじめに拍車」 帯広で教研全道集会始まる

2018-11-05 | アイヌ民族関連
北海道新聞 11/03 05:00
 【帯広】北教組と北海道私立学校教職員組合協議会が主催する合同教育研究全道集会が2日、帯広市で始まった。
 帯広市総合体育館で行われた全体会には約千人が参加。北教組の信岡聡委員長は開会あいさつで「(学力テストなど)政府主導で進められる管理、競争型の教育は、子供の孤立化やいじめなどを深刻化させる」と指摘。
 また、「多忙な教職員の負担の解消は待ったなしの課題」と強調し、時間外手当は支給せず、基本給に一律4%を上乗せすると定めた教職員給与特別措置法の見直しを訴えた。
 その後、小学校での英語教育の拡充が組み込まれた新学習指導要領やアイヌ民族教育などに関するセミナーが開かれた。集会は4日まで。(石田礼)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/244542

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする