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慶大元教授、アイヌ遺骨無断保管し「全て返却」

2018-11-24 | アイヌ民族関連
読売新聞 2018年11月23日 19時55分
 北海道釧路市が保管するアイヌ民族の遺骨を研究目的で預かった慶応大教授(昨年3月に定年退職)が、2016年以降の市からの再三にわたる返却要請に応じず、今年2月まで無断で保管していたことがわかった。元教授はこの間、同大の調査にも事実と異なる説明をしていたという。
 市や同大によると、元教授は文学部人類学研究室に所属していた。市は1992~96年、遺骨の特徴についての分析などを依頼し、計6体を預けたという。
 市は2016年3月に返却を求め、元教授は同年12月に5体を返す一方、1体については「歯の状態を詳細に調べるため1か月ほど待ってほしい」と拒否。ところが1か月が経過した後も、市からの要請に応じず、慶応大の調査にも「全て返却した」と事実と異なる報告を行っていた。
 今年2月、アイヌ関係者からの相談が北海道大を通じて慶応大にあり、元教授が自宅で遺骨を保管していたことが判明。その後、市に返却されたという。
 元教授の一連の行動について、文部科学省学術機関課の担当者は取材に「アイヌ民族の人たちの信頼を損ねる研究者としてあるまじき行為だ」と批判した。
https://www.yomiuri.co.jp/culture/20181123-OYT1T50096.html

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アイヌ文化 自然体で伝える 白老の山道さん 「まず身近に感じて」

2018-11-24 | アイヌ民族関連
北海道新聞 11/23 05:00
 2020年、胆振管内白老町にアイヌ文化の復興拠点「民族共生象徴空間」がオープンします。準備を進める公益財団法人アイヌ民族文化財団(札幌)の職員で「週刊じぶん」紙面サポーターの山道陽輪(ようまる)さん(29)=同町=は、アイヌ民族の家庭に育ちました。文化を継ぐ仕事に誇りを持ちつつも、長女(9)と長男(2)には「教えてと言われたら、伝えよう」と自然体です。子育て世代は差別や偏見の実感があまりなく、アイヌ文化に興味を持つ人も多いよう。家族で北海道の貴重な財産について学び、子どもたちへ伝える機会かもしれません。
 山道さんは日高管内平取町出身。22歳から3年間、同財団の前身のアイヌ文化振興・研究推進機構が白老町内で行った「伝承者育成事業」の2期生として、アイヌ語などを学びました。その後は白老のアイヌ民族博物館(今年3月閉館)に勤務。今は財団の白老事務所で「象徴空間」の体験プログラム作りをしています。
 9人のきょうだいとともに親からアイヌの言葉や作法を教わり、カムイノミなどの儀式にも参加してきました。「他の家と違う」とは感じましたが「差別などの経験がなかったので、アイヌ文化と距離を置くこともなかった」と振り返ります。
 子どもたちと妻亜耶乃(あやの)さん(33)と住んで8年目になる白老は、若いアイヌ民族も多い土地。10月には、町内で家族とアイヌ文化体験イベントへ参加しました。
 昼食はサケを使った伝統食。「いただきます」と言った後、山道さんだけが箸を両手で数回、顔の前でささげ持つ作法をしました。亜耶乃さんは「子どもにやりなさいとは言っていませんが、時々まねしますよ」と言い、会話には「みそ汁」と「オハウ(汁物)」という言葉が交じります。
 山道さんは家でアイヌ料理に腕を振るい、イベントなどで一緒にアイヌ舞踊を鑑賞した子どもたちから「ユーチューブでも見たい」とせがまれるそうですが、何が何でも文化を継承させようとは思いません。「いい思い出があれば、いずれもっと知ろうと思うはずです」
 他のサポーターからは「アイヌ文化に興味はあるけれど、接する機会が少ない」という声が数多く寄せられました。ある女性は「道民だから知る必要はあると思うけれど、日頃意識することがなく、関心を持ちにくい」と本音を明かします。
 山道さんは「機会が少なければ、親しみが薄いのは当然。それでも知りたいという気持ちはうれしいし、そんな場をつくっていきたい」と力を込めます。「特別視せず、まずは身近なものだと感じてほしい。悲しい歴史や文化が衰退しかけたことを知るのは、それからでいい」と話しています。
 <記者のひとこと>函館で過ごした子ども時代、「うちの学校にはアイヌ民族が何人もいる」と人づてに聞きました。でも漠然と「話題にするのは気の毒」だと感じていました。その対応が正しいのか、周りの人はどう思っていたのかを深く考えないまま育った私は、紙面サポーターの皆さん以上に接する機会も、関心も持たずに来たのだと反省しています。アイヌ民族の存在を、他の道民も意識の中に根付かせなくてはならない。取材を通し、強く思っています。(大野日出明)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/250921

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(社説)タトゥーと社会 多様な視点を大切に

2018-11-24 | アイヌ民族関連
朝日新聞 2018年11月24日05時00分
 文化や風習への評価は時代や場所によって移ろう。同じ時期、地域に暮らす人々の間でも好き嫌いは分かれる。
 タトゥー(刺青〈いれずみ〉)は、そんな例のひとつと言えるだろう。
 ニュージーランドのマオリをはじめ、伝統文化として受け継ぐ先住民族が世界各地にいる。日本でも古代に慣行があったとみられ、近世まで北海道のアイヌ民族や琉球(沖縄)などの女性の儀礼だった。半面、江戸時代には罪人の目印ともなり、明治期に入って取り締まりが強化され、戦後は映画などを通じて暴力団を連想させる否定的な印象が定着した。
 そのタトゥーについて考えるきっかけとなる判決が今月、大阪高裁であった。医師免許がないのに客にタトゥーを施したとして医師法違反の罪に問われた30歳の男性に、逆転無罪が言い渡された。
 タトゥーは装飾的、美術的な意義がある社会的な習俗という実態があり、医療を目的とする行為ではない――。判決はこう述べ、「タトゥー施術業は正当な職業活動」と指摘した。
 兵庫県警が10年に彫り師を初めて医師法違反で逮捕して以来、警察は暴力団摘発に同法を適用。彫り師は暴力団関係者以外も含めて罰金を命じられてきた。今回の初の高裁判断はその流れに待ったをかけ、芸術性にひかれて彫り師になった男性の主張を認めた。
 公衆浴場などでは「入れ墨」のある人の入場を断る掲示が広く見られる。暴力団関係者を受け入れないという、社会の決意を示す取り組みの一つだ。
 一方、外国人との間でトラブルが起きている。先住民族のほか、ファッションなどの理由で施す人が多いためだ。
 観光庁の3年前の調査では、約600の宿泊施設のうち「入れ墨」のある人の入浴を断る所が過半数だったが、断らない施設も約3割あり、条件つきで認める施設は1割強だった。
 大分県別府市の温泉施設を紹介するパンフレットは、家族風呂など個室なら受け入れる所を含め、入浴の可否を「○」「×」「△」で示す。訪日客が急増するなか、誤解や摩擦を防ごうと各地で試行錯誤が続く。
 自己表現としてタトゥーを楽しむ人は日本人でも増えているようだ。ただ、タトゥーには感染症や健康被害の恐れがある。その周知や予防のための態勢づくりも急がねばならない。
 入れ墨、刺青、タトゥー。どう向き合っていくか、多様な視点を大切にしながら議論を重ねていきたい。
https://www.asahi.com/articles/DA3S13782909.html

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