ようこそ石の華へ

鉱物の部屋へのいざない

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うれしいお客さん6

2013-10-24 13:10:12 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「うれしいお客さん6」です。

一昨日の夕方、若い背広姿の男性がいらっしゃいました。その男性は興味深げにショーケースの中の標本を見つめていましたので、すぐに石好きなのだと分かりました。それも正真正銘の鉱物標本好きだと思いました。キタ━(゜∀゜)━ッ!!!  ここ金沢では少数派です。

「石の華」のお客さんは大きく分けると2種類のお客さんに分類できます。ひとつは店の正面に置いてあるブレスレット等のアクセサリーに興味を示すお客さんで、もうひとつは店の大半のスペースを使って置いてある鉱物標本に興味を示すお客さんです。他にはアクセサリーと標本との両方に興味を示すお客さんや両方の割合が少しづつ違うお客さんが入り乱れているのが現実です。それはなんだか、かんらん石のような鉄とマグネシウムの分量が連続的に変化している固溶体に似ているような気がします。

一昨日のお客さんと少し話をしてみると、どうも東北大学で鉱物を勉強されていたそうで、面白いお話をいくつも聞く事ができました。そのお話の中で私が特に興味深く思った事は、スピネル固溶体の話で鉄やマンガンやクロム等の元素の割合を調べる事で、鉱物が結晶化した温度等の環境を推定する事が可能だ、という話です。そして、その事は色にも関係しているそうです。

そのような話を店にあったスピネルの結晶を見ながら話しました。

Photo
Photo_2
スリランカ・オッカムピティヤ産 スピネル(Spinel)

私はジルコンで年代測定が可能だという話を思い出しました。そのお客さんの話ではスピネルでその結晶の生成温度が測定可能だという事になります。

やはり、鉱物結晶はちゃんとその生い立ちを記録しているのです。

鉱物から生成年代や生成環境が分かれば、いつかは生成場所が測定可能という研究が現れても不思議ではありません。ただ、場所の問題はプレート移動に伴う大陸移動がありますので、それほど簡単な問題ではありません。

お客さんとそのようなお話ができるのはうれしい事です。そのお客さんからは初めて見るような標本が多い、と言われました。うれしいお言葉です。そのお客さんとは閉店間際まで色々なお話をしました。

今日の話題は久しぶりに「うれしいお客さん」になりました。

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ボックスアート

2013-10-21 12:56:07 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「ボックスアート」です。

「ボックスアート」と言っても、箱絵(プラモデルなどの箱に描かれるパッケージアート)の事ではなく、芸術家ジョセフ・コーネルのアッサンブラージュの箱のような立体的な箱型アートの事です。

昨日、常連客のKさんが面白いものを持ってきました。それは「石の華」で購入されたブルーレースアゲートのスライスを厚みのある箱型の額縁に入れたもので、それをお店で飾りたい、というお話でした。私的にはこの種の話は大歓迎で、早速、目立つ場所に飾りました。

Photo
南アフリカ産 ブルーレースアゲート

これがそれです。
Kさんはこれまでにも「石の華」で購入された天川村産レインボーガーネットの原石やミスティックトパーズのルース等を自ら加工してオリジナル・アクセサリーを作られており、私はそれらの趣味を超えた芸術的作品の数々を見せてもらいました。そして今回は「ボックスアート」のような作品です。

この「ボックスアート」にはフジイキョウコさんの「鉱物アソビ」や「鉱物見タテ図鑑」に相通じる感性が感じられます。この種の新しい鉱物趣味は新しいタイプの鉱物愛だと思いますし、そこには古典的な鉱物趣味よりももっと自由な感性があり、芸術の世界と同じような現代的な現象のひとつのようにも思えます。

「ボックスアート」はシュルレアリスムの影響を受けた現代芸術の新しいジャンルのひとつです。アメリカのジョセフ・コーネル以外にも複数の有名・無名の作家達がいらっしゃいます。思いつくままに挙げれば、マルセル・デュシャンや野中ユリや合田佐和子の作品がありますし、映像作家の山田勇男や作家名は忘れましたが、何年か前のアートインナガハマで見た宮沢賢治・稲垣足穂的な作品世界をボックスアートにしていた方、等々、他にも大勢の方々がいらっしゃると思います。

そのような「ボックスアート」はある意味、箱庭的なミクロコスモスとも言え、その閉ざされた空間の中に独自の芸術空間と物語性を閉じ込めていると言えます。それはその作者によって選ばれた日常的な好物としてのオブジェから構成されています。それらのオブジェの中で鉱物も重要な意味を持ちます。ボックスアートの中の鉱物結晶は物質的な存在から芸術的な存在へと飛躍します。

「ボックスアート」の中の鉱物、何か新しい価値を持つもののように感じます。単なる物質が何かしらの芸術的な意味を持つのです。それはパワーストーンの持つ意味とはまた別の意味です。

それは純粋芸術なのだと思います。

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グリーン魚眼石

2013-10-19 17:31:06 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「グリーン魚眼石」です。

Photo
Poona,India産? グリーン魚眼石(GreenApophylite)

上の写真は先日の京都ショーで入手したグリーン魚眼石です。先日、鉱物の世界ではまだまだ新しいものが出てくると書いたのですが、私はこのような色の魚眼石も初めて見ました。これはどうもつい最近出て来たものらしく、以前からあったグリーン魚眼石とは全く違うタイプです。いくつかあった中から結晶がしっかりとした、しかも左右に双晶になっているものを入手しました。

Greenapophylite
インド産 グリーン魚眼石(GreenApophylite)

こちらは以前から流通していたグリーン魚眼石です。その透明感のある緑色と魚眼石らしい結晶の美しさで人気があります。

グリーン魚眼石には鉱物結晶ならではの美しさがあり、その美しさには鉱物好きの初心者からベテランコレクターまで誰もが魅了されるような力が備わっていると思います。それは万人が好む透明な緑色の結晶なのです。

ところが今回出てきたグリーン魚眼石はこれまでのグリーン魚眼石とは何か?違った魅力があります。それは一見、エメラルド(ちょっと質の悪い)のようにも見えます。これはどうしてでしょうか?

Web検索でちょっと調べてみましたが、新しいタイプのグリーン魚眼石というせいか?なかなか探せませんでした。ただ、少数でしたが、それとよく似たものを見つける事ができました。ただし、産地名が違っておりました。もしかすると産地名の違いはどちらかの間違いでそれらは同じ産地の可能性もあります。

その辺の情報から察するに、どうもそのグリーン魚眼石の発色は魚眼石の中に入っているセラドン石の色から来ているようです。セラドン石は恋路の霰石と一緒に産出するあの緑色の部分です。そう言われてみれば、確かにそれと良く似た色をしております。

上の魚眼石の母岩部分にも確かにセラドン石のようなものが付いております。それは恋路のセラドン石にも良く似ています。それを見ているとセラドン石が魚眼石の中に入り込んでいても不思議ではありません。

そう言えば、緑色の輝沸石は以前から良く知られていますし、その色も今回のグリーン魚眼石の色によく似ています。

鉱物の発色には様々なタイプがありますが、今回のグリーン魚眼石の色はどうもインクルージョンとしてのセラドン石の色に起因しているようです。

どうもセラドン石と魚眼石や霰石や沸石には何か特別な関係がありそうです。

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ブログ

2013-10-17 17:38:49 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「ブログ」です。

今日は接客の時間が多かったので、ブログをお休みにしようと思っていました。ところが、先ほど気づいてしまったのですが、実は今日はこのブログを初めて丸2年になります。ブログ更新回数は今日が557回目になります。当初は毎日更新を目指していましたが、確かパソコンの故障で途切れてしまった事があり、それがきっかけで徐々にペースが遅くなり、最近では書かない日が多くなりつつあります。ブログの寿命はどの位なのでしょうか?そろそろペースダウンする時期に来ているのかも知れません。

他のブログでは何年も毎日更新しているものがありますが、そのような驚異的なブログには到底及ばず、今後は書きたい時に書いていこうと思っています。

ブログはその日に書きたい話題がないと書く気がしません。ネタ的にはまだまだ枯渇した訳ではありませんので、これで終わった訳ではないのですが、そろそろスローダウンして行こうと思います。

最近はブログよりもFacebookのようなSNSが主流になりつつあるようです。ただ、私はそのようなビジネスモデルには抵抗があり、SNSのような濃いコミュニケーションは苦手なところがあります。そういう意味でブログ的な情報発信の方が向いているような気がします。

今後も適度にブログを続けて行こうと思っております。

今後とも宜しくお願い申し上げます。

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京都ショー

2013-10-15 18:15:15 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「京都ショー」です。

一昨日、「石ふしぎ大発見展」(第25回京都ショー)に行ってきました。私は鉱物コレクターになってから「京都ショー」には過去10回以上は行ったと思います。これまでは鉱物コレクションの為の購入がメインでした。今回の主な目的は特別展示「京大110年の秘蔵コレクション」見学と講演会「大学博物館の鉱物コレクション」(講師:豊 遙秋さん)の聴講です。

早朝に金沢を出てると、ちょうど開場の時間に到着します。会場に入るなり、すぐに特別展示「京大110年の秘蔵コレクション」のコーナーに向かいました。入口に「鉱物趣味の博物館」のSさんがいらっしゃって、ご挨拶をしました。Sさんが「凄いですよー」とおっしゃいましたので、期待感が膨らみました。

入って見ると、本当に凄かったです。何が凄かったかと言うと、何と言っても市之川鉱山産の輝安鉱です。中でも幅約60cmの輝安鉱の群晶には驚きました。市之川鉱山産の輝安鉱は世界的にも有名で日本産の古典的鉱物標本の代表です。かつてはそんなトンデモナイものが産出したのです。それらの多くは海外に流出したと思っていましたが、京大にも残っていたのです。それと長さ30cmの輝安鉱にも驚きました。こちらはそのサイズは然る事ながら、その保存状態が良かった事です。今でもキラキラしており、鮮度抜群でした。これらは国宝級と言って良いものだと思います。それとやはり乙女鉱山産の水晶の日本式双晶です。そのサイズは大きいものの、私はもっと大きいものを見た事があります。ただ、その形は左右のバランスが非常に良く、世界のトップレベルのものだと思いました。他にも非常にレベルの高い標本が複数ありました。さすが!京大です。

そのような特別展示を見た後、講演会場に移りました。

豊遙秋さんの「大学博物館の鉱物コレクションー京都大学、東京大学、秋田大学の例」というタイトルのお話も興味深く聴講しました。実際にそれぞれの大学の博物館の鉱物コレクションを整理されたご本人の生のお話だけに面白い裏話満載で興味深かったです。そのお話に一貫していた事は豊遙秋さんの鉱物標本への「愛」でした。これまでなさってこられた豊遙秋さんのお仕事は鉱物好きでなければ出来ないお仕事だと思いました。そのようなお仕事をされてこられた事を羨ましく思いました。毎日、鉱物標本と向き合う人生!何とすばらしい事でしょうか!思わず「天職」という言葉が思い浮かびました。それは選ばれた人のみが実現可能な事です。

他にも大学の所蔵している鉱物コレクションはあるはずです。特に旧帝国大学には眠っている国宝クラスがあるはずです。それらを発掘・整理して公開展示される事を願わざるを得ません。

身近な所には金沢大学もあります。そこにはどんなものが眠っているか分かりません。それらは日本、否、世界のお宝になるはずです。

第二の豊遙秋さんの出現を願いたいものです。

その講演会の後は、昼食抜きで、展示即売会の会場を見て回りました。その率直な印象は、パワーストーン系のアクセサリーの出店が多くなってきたような気がしました。それが今の現実なのでしょうか?これまでの私は初日に来ていましたから、二日目に来るのは初めてです。会場が広くなってきたせいなのか、他のミネラルショーよりもゆったり見て回れました。

今回もいろいろ買いました(仕入れました)。それらは「石の華」に並びます。

今回は入手できませんでしたが、会場で、アメリカのニューメキシコ、サンタフェ、サンペドロ鉱山産のレインボーガーネットのルースと中国産のレインボーガーネットの原石を見ました。それらの存在を知った事は収穫だったと思います。

鉱物の世界ではまだまだ新しいものが出てくると思いました。

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