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鉱物の部屋へのいざない

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マグネサイト

2013-03-20 11:54:39 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「マグネサイト」です。

マグネサイトはその名の通り、マグネシウムを主成分とする鉱物です。和名は菱苦土石、マグネシウムは苦土と呼称され(苦い味に由来する)、名前のイメージはあまり良くありません。昨日の苦灰石(ドロマイト)と同じく名前のイメージのせいか、あまり好まれません。

実際、マグネサイトのほとんどは白い塊状で産出し、結晶好きにとっては全く面白みがありません。マグネサイトはハウライトと雰囲気が似ているせいで、全く別の鉱物であるにも係らず、混同されて流通しているようです。ハウライトは青く染められトルコ石のイミテーションの素材とされた嫌われ者ですが、そのハウライトのさらなる偽物として流通しているようです。

ただし、偽物としているのは人間の方で、鉱物そのものには本物も偽物もありません。その鉱物ならではの在り方をしているだけです。むしろ、マグネサイトはマグネシウムの含有率が高いことから今後は重要なマグネシウム資源に位置づけられるでしょう。

そのようなマグネサイトの中には非常に稀に魅力的な結晶をするものもあります。

Dscf3854
Dscf3857
Brumado,Bahia Brasil 菱苦土石(Magnesite)

これはオプティカル・カルサイトのようのな透明感のある平行六面体の結晶がふたつ貫入し合って接合しています。私は黄鉄鉱のキューブ状結晶がふたつ貫入し合って接合したものが好きなのですが、このマグネサイトはそのような黄鉄鉱にも似た雰囲気で菱形の面が重なっています。このような結晶形態には無条件で魅かれてしまいます。

また、次のような標本もあります。

Dscf3859
Dscf3868
Brumado,Bahia Brasil 菱苦土石(Magnesite)

この標本も上の標本に似た雰囲気のマグネサイトです。上のものよりも少し濁りがあるせいか価格は半値以下になっています。

このふたつの標本は全く別々の場所で別々の時期に入手しました。今回、初めて気づいたのですが、このふたつの標本は同じ産地のものでした。さらに調べてみると、どうもマグネサイトで美しく大きな結晶をするものは、このブラジルのバイア州のブルマード鉱山産のものだけのようです。

マグネサイトは世界中で大量に産出する鉱物ですが、美しい結晶が稀であるという事は不思議な事です。そんな中で、ブルマード鉱山産のものだけが美しく結晶するのには、そこだけにしかない理由があるはずです。その事を詳しく調べれば、結晶世界の謎の解明に繋がるはずです。

鉱物結晶はただ単に美しいだけではなく、そこに隠された謎を解く鍵でもあります。自然は神秘のベールを脱ぎ、その美しさの秘密を見せてくれるはずです。

コメント
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