ようこそ石の華へ

鉱物の部屋へのいざない

              【お知らせ】

【定休日は毎週水曜日です。】【7月も毎週日曜日は休業します。】

粒2

2013-03-05 11:36:41 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「粒2」です。

ずいぶん前に一度「粒」というタイトルで書いております。その時は能登鉱山産の粒状方解石について書いたと思います。

先日、方解石の標本を整理していると何種類かの粒状方解石が出てきました。

Dscf3641
Langban,Sweden 豆石(Tegengrenite)

これは豆粒ほどの大きさの豆石(Pisolite)の一種で炭酸カルシウムからできています。鉱物種としては方解石の場合もありますが、むしろ霰石である事が多いらしいです。方解石と霰石は同質異像の関係にあり、それは生成温度に関係しているそうです。この標本の粒をよく見るとそれらの中心部に核のようなものがあり、卵細胞の卵割のように見えてしまいます。無機物と生物の類似性、それは恐らく、それらの成因に関係しているものと考えられます。

Dscf3637
長野県大町市湯俣温泉 産 魚卵状方解石(Oolitic Calcite)

これは魚卵状珪石(Siliceous Oolite)に似ていますが、成分は珪酸(オパール)ではなく炭酸カルシウムです。その成因は温泉に由来し、砂粒を核にして周囲を炭酸カルシウムが巻いています。魚卵石(Oolite)は粟粒大のものをいいます。

上の豆石(Pisolite)は豆粒大、魚卵石(Oolite)は粟粒大、粒の大きさで名前が変化します。

そもそも、岩石はそのサイズの違いで名前が変わります。岩や石や砂や泥の違いはそのサイズです。粒と言ってもそのサイズで呼び名が変わってしまいます。

Dscf3634
長野県長野市松代温泉 産 霰石(Aragonite)

この標本のラベル原本には霰石とだけ書いてありました。これらの粒のサイズは上の湯俣温泉の粒よりも小さく、直径1mmくらいです。何と呼べばいいのでしょうか?

粒の呼び名は詳しく細分化されているようですが、私の関心事はそれらの名前よりも、それらの形の方にあります。それらに共通していることはそれらの形が球状になっている事です。それらには完全な球体は少ないものの、それらの多くは丸みを帯びていています。サイズの違いこそあれ、粒には球状の形態のものが多いという事です。

このことは自然の摂理を物語っているような気がします。自然界にはミクロ的な粒の世界だけではなく惑星や恒星や球状星団に至るマクロの世界まで、サイズを問わず、球状形態が存在します。

粒状の鉱物標本を見ていると、またもや自然の神秘を感じてしまいました。






コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする