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今日は「霰石5」です。
長野県下伊那郡大鹿村鹿塩 産 霰石・方解石(Aragonite/Calcite)
これは大鹿村鹿塩産の霰石と方解石の共生体です。霰石と方解石は同質異像の関係で、普通は生成条件が異なるはずですが、なぜかこの産地のものは共生しています。この標本の母岩部分は蛇紋岩です。蛇紋岩はかんらん岩が水と反応してできる変成岩なので、不思議な変成作用と縞模様ができるような二次的な成長が起きて、できてきたのだろうと思います。
方解石と同じように霰石にも様々なタイプがあって面白いと思います。特に一番下の写真のように磨かれた断面に見られる縞模様にはメノウの縞模様に似た美しさがあると感じます。縞模様には何か不思議な魅力を感じます。それには成長記録が残っており、その成長した時間と環境を物語っており、それだけにしかない独自の美しさがあります。縞模様の美も鉱物ならではの魅力のひとつだと思います。
この標本を産する大鹿村は、一時パワースポットとして有名になったゼロ磁場と言われた分杭峠の近くにあります。
また、近くには大鹿村中央構造線博物館があります。私は名古屋に住んでいた頃、朝日カルチャーでの道林先生の石の講座の一環で訪れた事があります。その博物館では中央構造線の理解を深められます。特に山波川変成帯と領家変成帯の石の違いを直に見れますし、日本の地質史を知る上で有益で貴重な展示が満載でした。オススメ博物館です。
霰石の表情の中にもダイナミックな地球の歴史が刻み込まれているような気がしました。