「ミネラ No.20」を見ました。その表紙の写真が印象的でした。
その写真はピンク色のキノコのような形をしたマッシュルーム トルマリンです。私は初めて見ました。そのキノコ雲のような形の存在感は抜群です。近年、ミャンマーから産出したもののようですが、鉱物の世界では、まだまだ未知のものが登場して来るでしょう。鉱物の世界は新しい刺激に満ちています。
今日は「キノコのような鉱物」です。
「キノコのような鉱物」はそれほど珍しくはありません。卑近な水晶にも松茸水晶(Scepter Quartz)があります。
ミャンマー モゴック 産 松茸水晶(Scepter Quartz)
松茸水晶はキノコの松茸に似ているからその名前になったのですが、英語名はセプタークォーツです。セプターは王笏の事で、それにも似ているからです。
松茸水晶は既に一度「東京スカイツリー」の話題の時に書いております。それも平行連晶の一種です。
ブラジル リオグランデ・ド・スル 産 水晶(Quartz)
これも水晶です。六角柱の群晶だったものが何かで表面を溶かされて、このように丸みを帯びた形に変容したものだと思われます。これも一見キノコのように見えてしまいます。これも水晶の変種のひとつです。水晶もヴァリエーションに富んでいると思います。
中国産 蛍石(Fluorite)
これは蛍石の結晶です。キノコではありません。蛍石の結晶形には丸まった半球状のものがあります。この蛍石もそれらの変種の一種なのかも知れませんが、この蛍石は完全にキノコになりきっています。どのような産状で産出したのでしょうか?これを初めて見つけた人は恐らくキノコだと思ったに違いないと思います。
キノコは菌類です。鉱物は無機質結晶質物質です。菌類という生物と無機質物質の鉱物が似ているという事はどういう事なのでしょうか?生物の世界では擬態という不思議な現象があり、それは環境適応や生存の為の特殊な現象なのですが、無機質である鉱物が何かに似ているという事には何か特別の意味があるのでしょうか?
それは分かりません。それはただ単に形の多様性の中の特殊なケースが起きているだけで、それを見る人の側の勝手な思い込みに過ぎないのかも知れません。
ただ、誰もがそれを見て、そのように思ってしまう事が実際にある事自体が、非常に面白い現象だと思います。