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鉱物の部屋へのいざない

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能登仏石

2012-11-01 17:11:52 | 日記・エッセイ・コラム

昨日は定休日で、石川県立歴史博物館に行って参りました。そこで「能登仏石と走墨・増永広春展」を見ました。それはお客さんから教えてもらった展覧会です。大収穫でした。

能登仏石とはこのブログでも書いた事のある「こぶり石」の事です。珠洲市の山中、1500万年前の珪藻土中から出てくる二酸化珪素の一種である珪乳石(Menilite)の事です。多様な形・文様が特徴的な奇石です。

その「こぶり石」をお釈迦さまと直弟子1250人に見立て、1251石でお釈迦さまの一代記を表現された壮大な展覧会でした。「こぶり石」は「仏石」とも呼ばれる事が頷けます。

その展示の写真は撮れなかったのですが、それは下野久雄さんという方の24年の歳月をかけたコレクションで、その内容は仏石での釈尊の生涯の演出でした。

それらの仏石の中には、まさしくお坊さんがお祈りしている姿があり、仏足石もあり、もちろん十二支もありで、驚愕の世界がありました。

そこには「石が書く」や「石が描く」をさらに上回る石の表現世界がありました。ひとが石を使って物語を演出しているのです。そこには宗教的な情念があるのかも知れませんが、それを成し遂げた事そのものに感動してしまいます。

その展覧会ではその石の世界と共に「走墨」という書の世界がありました。それはひと筆でかきあげる躍動的な芸術表現です。そこには伝統的な書の意匠と絵画の融合美がありました。

この二つの展示はある意味共通したところがあります。それはひとの知覚現象のひとつパレイドリアという錯覚です。ひとつは石に特別の意味・形を読み、ひとつは書という手法で意図的に何かを表現しているのです。どちらもそれを見るこちら側の受け止め方に係っています。それは単純に錯覚という言葉では言い尽くせない高次な芸術現象だと思います。

この展覧会は11月4日(日)まで開催しております。入場無料、おすすめです。

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