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鉱物の部屋へのいざない

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かぶりもの

2012-11-12 11:48:06 | 日記・エッセイ・コラム

今日はちょっと気分を変えて「かぶりもの」です。

「かぶりもの」と言ってもパーティー・グッズの覆面や顔出し着ぐるみの事ではありません。

今日の「かぶりもの」はひとつの鉱物結晶に別の鉱物結晶が被っている標本の事です。

現在、お店にはオープンした頃と比べると石の数は相当増えていると思います。これまでに売れてしまった石の数も多いのですが、それ以上に追加している石の数の方が多いからです。そろそろ店のスペースの限界に近いほどになって来ました。追加している石達には新たに仕入れた石達もあるのですが、それよりも別の所に置いてあるものを定期的にお店に運んでいるので、順次増えていっているのが現状です。

先日、新たに運んで来た石を見ていると、偶然に良く似た雰囲気のある二つの石を見つけました。その二つは鉱物種も違いますし、産地も違うし、私が入手した時も全く違った時期だったと思います。これまでそのまま忘れてしまっていたのですが、運び出す時期が同じになり、その二つの相似性に気付きました。

Dscf2463

中国産 蛍石(Fluorite)・方解石(Calcite)

Dscf2465

ペルー産 黄鉄鉱(Pyrite)・水晶(Rock crystal)

上の二つの写真が私が似ていると思ったものです。

上はキューブ状の蛍石の周りに方解石が包み込むように被っています。蛍石も美しく、それに被っている白い方解石も美しいと思います。蛍石の顔の出し方も何となくかわいらしい感じがします。二つの鉱物のバランスが愛らしい標本だと思います。偶然とはいえ、自然は妙なものを造ってくれます。

下はキューブ状の黄鉄鉱に水晶が被っています。こちらも絶妙なバランスで黄鉄鉱が顔を出していると思います。

この二つは何となく雰囲気が似ていると思いませんか?

鉱物標本にはある鉱物に別の鉱物が被ってしまっているものがあります。それらが出来る時期が違い、環境変化があったからだと思います。それらの中には最初に出来た鉱物を後から出来た鉱物が完全に包み込み、さらに元の鉱物と後から被った鉱物が置換してしまう事もあります。いわゆる仮晶です。

仮晶も鉱物標本では非常に面白い現象です。ある鉱物が本来あり得ない外形をとっている場合は仮晶のケースが多いと思います。

そういえば、先日も重晶石らしい鉱物を包み込んでいる玉髄の標本を見掛けました。重晶石の結晶形が保たれたままになっており、非常に興味深くそれを見ました。

鉱物の世界の「かぶりもの」は鉱物の面白さを増してくれるものだと思います。


コメント
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