右傾化する世界

急増するシリア等からの難民受け入れとパリ・テロ事件やカリフォルニア州・銃乱射事件等で、欧米諸国で世論の一部が極端に右傾化し深刻な対立が起きている。フランスでは難民受け入れに反対する極右政党の支持が広がり、米国ではイスラム教徒等への人種差別発言を繰り返すトランプ大統領候補の支持が最新の世論調査で次点を大きく引き離す指示を得たとCNNが報じた。

米仏だけではない、東欧諸国（ハンガリーとポーランド等）では保守強硬派政党が政権を握り、ドイツでは盤石と言われたメルケル政権が高まる難民受け入れ反対に苦悩している。欧米の伝統的リベラルの流れをくむ各国の政権が右傾化する世論の声に直面していると１２月１日のファイナンシャルタイムズ（FT）は伝えている。

当初は泡沫候補だと見られていた不動産王トランプ米大統領候補の支持率は４６％、次点のテッド・クルーズ氏は１５％だというから私からみると最早異常だ。私が有力候補だと思っていたジェブ・ブッシュは低支持率にあえぎギブアップ寸前だ。大雑把に言うと米国選挙民の４０％が民主党支持、３０%が共和党、３０％が無党派だというが、ここに来てトランプ氏がヒラリー氏に勝つ予測もあるそうだ。

上記FTの記事によれば右傾化は経済不安の高まり、移民に対する反発、テロへの恐怖、そして従来型メディアの衰退の４つの要因があるという。最初の３つは理解できるが、最後の要因はポピュリストやナショナリストがSNS等の新しい手段を利用して既存メディアの影響力を抑制しているからだという。結果として、政治のポピュリズム化或いは劣化が生じている様に私は感じる。

私はそれだけ既存メディア、ひいては現政権が代表するエリート層への信頼が劣化（政治不信）していると理解する。同記事は２０１７年にトランプ米大統領、ルペン仏大統領、プーチン大統領がいる事態を「悪夢」と呼ぶ。しかし悪夢と言いながら、現実に彼等は少なくとも現在有利な戦いを進めていると憂慮している。

更に、ここから私流の皮肉な見方を紹介する。欧米のメディアの中には安倍首相を右傾化とか国粋主義者とか報じた記事があった。私から見ればチャンチャラ可笑しい、もっと足元を見ろと言いたい。安保法制等を「戦争法案」とか「徴兵制度の復活」とか言って反対した人達の主張を反映しているようだが非現実な妄想に近い。寧ろ欧米各国を代表する有力大統領候補の愛国的な主張に比べれば可愛いものだ。

日本と違い欧米各国の政治システムにおける政権の寿命は長い。その時々の世論調査で政策を左右されることが起こりにくいのは日本より優れる。とは言っても、何れ大統領や政権は選挙の洗礼を受ける。それが２０１６－２０１７年に起こるのだ。ロシアはさておき、極右政権の成立を欧米のメディアは夫々の信念に従って阻止すべきだと思うがどうだろうか。■

原宿の先端ファッション

先週土曜日に明治神宮に行き、孫の七五三のお祓いに付き添った。その日は１１月初めに明治神宮で娘の安産祈願をして貰った時より参拝客が多かった。今回は日本人参拝客の方が多く、七五三のお祓いを受けに来た家族も沢山いた。外国人参拝客も前回同様に沢山いたが、日本人参拝客が倍増したというのが正しいかも。

お祓いが終り駅に向かって玉砂利の参道を戻っていくと、羽織はかま姿の孫に興味を持った３人の若い女性が写真ととらせてくれと寄って来た。彼は慣れた様子で彼女達と一緒に写真に納まった。聞くと彼女達はフィリピンからの観光客でキャッキャ言いながら何枚も写真を撮った。

余程羽織はかまが珍しかったのだろうが、孫が可愛いかったのだと思う。他の七五三の子供と写真を撮る観光客の姿は見かけなかった。暫く歩くと別の海外からの若い女性観光客が孫の写真を撮りたいと近寄って来た。羽織はかまにグレーの中折れ帽を被り、灰色に細い黒の縞が入ったマフラーを被った孫の姿は、他の子供達より目立って格好良かった。

「親の欲目」というが、私の場合「祖父の欲目」というか「身内の欲目」だ。長男夫婦も我子が可愛いと口に出して言った。表参道沿いのお店で家族揃って食事を済ませ、そこで孫はジーンズに濃紺のセーターに同じ帽子とマフラー姿になった。それが羽織はかま姿より一段と格好良かった。

イルミネーション輝く表参道を歩く孫の姿はたった５歳なのに、最先端のファッションを着こなしている様に見えた。歩道一杯になって表参道を歩く最新のファッション姿の若者達の中でも、小さな子供なのに孫は光り輝いていた。田舎育ちの私から３代目になると何でこんなに格好良いんだろう。家内は明らかに私の血筋じゃない、嫁さんの血をひいたのだという。多分その通りだろう。

その後彼女はもっと冷酷なことを言った。心配することはない、下の孫は明らかに私の血をひいてると言う。つまり、下の孫はそれ程格好良くない、一方年長の孫は生まれた時から可愛いかったという。下の孫は可愛いというより強そうで将来バンカラっぽくなりそうだ。全ては身内の勝手な思い込みだが、その中でも差があるということだ。

家内によると生まれた時の娘はお世辞にも美形とは言えなかった。だが、成長するにつれ十人並に可愛いと言われるようになった。大学生の頃は学園の美人に数えられたそうだ。心配することはない、下の息子もいつか格好良いと言われる日が来る、私の血が薄ければ。■