今日いつものように母を見舞った。看護婦の詰所に行くとその一人が私の顔を見つけて「チエちゃん元気ですよ、何も悪い所ないですよ」と聞く前に教えてくれた。看護婦さん達ともすっかり顔馴染みになって、お互い母のことは「チエちゃん」呼ばわりになった。職員や看護婦、介護士の人達と軽口を叩いて笑わせ母の様子を聞くと、それだけで大体母の調子が分かる。何でも言ってくれる関係になったと思う。
車椅子で広間のテーブルに向かって座った母は、言われた通りいつもよりしっかりした顔に見えた。最近買ったというシックな花柄のカットソーを着ていた。母は黒かグレーの服ばかりなのに珍しい。似合うよと言ったが反応なしだった。庭の皐月やシャクナゲ、薔薇、水仙などが咲きはじめたと報告すると、花が好きな母はわずかに表情が和んだ。いつもの無関心な表情とは微妙に違っていた気がする。
先日市役所で農地バンクによる田んぼの貸借関係の継続の届けをしたKさんが、その田んぼで作ったお米を食べてくれと白米15kg、玄米15kg届けてくれた。無農薬で作ったあきたこまちだという。私にとっては1年分にもなりそうな量で困ったが、ありがとうと言うしかない。まだ食べてもないのに買った方が美味しい、とついいつもの軽口が滑った。
散歩の途中、薬剤師を早期退職したSさんが何か農作業をやっていた。見るとしなだれて苗床に寝た苗が一列に並んでいた。イモですかと聞くと、サツマイモだという。サツマイモの苗は一旦ストレスを与えた後植えると強く育つから、わざとしおらせているのだという。じゃがいもは冷蔵すると甘みが増すけど、サツマイモは風邪をひくから常温で保存しろという。ムツカシイ。
ローカルニュースによると愛媛県東部に発生したキューイ・フルーツ・かいよう病がここ大洲にも伝染したらしい。効き目のある薬がなく周りの畑を含め総て焼却するしかないのだという。キューイ農家にとっては大変な損失だろう。農協の保険に入ってるのかもしれないが。こういう話を聞くと安易に農業をやるとかいえないと思った。
このところ昼間は暑い日が続き東屋を活用する気候になった。だが、それは蚊が活躍する時でもある。東屋で新聞を読み始めると数分で餌食を求めて蚊が足元に飛んできた。何度か手を打った後、東屋を諦めた。初夏の爽やかな風は捨てがたいが今日のところは蚊の勝ち。サンルームに向かったが、午前中でも直射日光がやたら暑い。事前に買っておいた銀色の遮熱カーテンをサンルーム内の机の上の部分だけ覆うと思いの外涼しくなった。暫くこれで行こうと思う。■