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今時の若者

2007-09-02 10:59:10 | 社会・経済

時の若い者はと言うのは有史以来の言い草だろう。我々団塊の世代はずっと言われてきたし、その後も新人類とか団塊ジュニア、バブル世代と続いた。そして今時の若者、20代の世代は新たな価値観を持っているようだ。

「今時の若者」の言葉の後には通常否定的な言葉が続くが、この20代の人達は概して評判がいい。しかし、その評価を聞くと我々オジサンの価値観とそっくりで、まるで先祖帰りをしたかのようだ。彼ら世代の特徴はこうだという定番はまだない。まだ考えが纏まっていないのだが現時点での私なりの解釈を紹介したい。

お気楽OLは絶滅種、新種は仕事中毒の堅実派

7月末に20代女性の意識がそれ以前の世代から著しく変わっているという興味深い記事(「最近、働きすぎじゃありません?」 日経BP725日)を読んで、関連する情報を検索し、色々な人の意見を聞いてみた。それまでは20代と30代は一括りで語られる事が多かった。

記事の要点は、20代女性は堅実で現実的に地に足を付け精一杯生きている、仕事に高いモチベーションを持ち家庭と美容を大事にする一方で、人との付き合いや家庭内の服装には構わないというメリハリ生活を送っている。かつてのお気楽OLはもう絶滅種だと。

20代はバブル崩壊後の失われた10年に人格形成された世代であり、30代はバブル時代に育った世代であったことが背景にある。例えて言うなら陰と陽の全く違った時代に育った結果、同じ若い世代でも20代と30代では極めて異なった価値観を持つようになったというものである。

私の娘は20代後半でこの記事にぴったり当てはまることに気付いた。深夜まで辛い仕事をやり、時に家に持ち帰ってでも黙々とやりこなし、浪費せず堅実な生活を送っているが、時々休みをとって夫婦で海外旅行をする、旅慣れた上手な息抜きをする。

他の人たちはどう思っているのか、かつて一緒に働き今も懇意にして頂いている30代の元女性同僚の意見を聞いてみた。一人は正にその通りでしっかりしているが付き合いは悪いと言い、もう一人は仕事で疲れ気味でもしっかり飲み会には行っていると返事があった。

話を聞くうちに記事の見方は全ての20代女性というより、都市部の女性ワーカーという限定された集団の意識であることを思い出した。日本の20代がどういう世代なのかもう少し掘り下げた調査が無いか調べていると、タイムリーに大前研一氏のメルマガが届いた。

意外に堅実で慎ましい暮らしぶり

日本経済新聞が実施した首都圏の若者消費者調査では、20代・30代の若者は車を買わず、酒も飲まない、休日は自宅で過ごし、無駄な支出を嫌い、貯蓄意欲が高い、という予想外に堅実で慎ましい暮らしぶりが浮き彫りになった。母数は1000以上なので明らかなトレンドとみてよい。

記事によると2000年調査に比べ20代の若者は車の所有率(23.6%→13.0%)も所有欲(48.2%→25.3%)も半減したという驚くべき結果がでたそうだ。10代の多感な時代に育った社会背景を原因の一つに指摘し、所有欲の減退は日本特有の現象といい、何故10年で劇的な意識の変化が起きたか突き詰めて研究すべきと大前氏は指摘している。

バブル時代は大企業が見境無く新人の採用をした。バブルが弾け長い不況で右肩上がりのビジネスが期待できず、企業は固定費削減しない限り生き残れないと見切りをつけた。採用を絞り自然減だけでなく構造改革で血を流して社員を減らし始めたのは90年代後半だった。

構造改革でターゲットになったのは中高年だけでなくバブル時代に採用された人達もふるいにかけられ、子会社や関係会社に移動するか退職して行った、これが隠れたテーマであったと聞いたことがある。そういう就職冬の時代に現在の20代は厳しい競争をくぐり抜けてきた。

実は負担を避けたい?

この調査結果は上記の20代女性の意識変化と共通するところが多い。しかし、もう少し底流に流れるものが何か深層に切り込む必要があるようにも感じる。大前氏は所有欲の無さは実は「所有する負担を避ける傾向」と分析している。結婚して家庭を築く事や、家を買うという言わば社会的負担から逃げていると。これは国内消費の停滞に即繋がる。

当然経済的な理由が背景にあるはずだ。親より高学歴で高収入の時代から、今時の若者は親より収入が少なく親と同居する独身、所謂パラサイト・シングル、が増えたということも関係しているように私には思える。社会的負担をすると生活を今より落とさなければなくなるのだ。

私にはそれを確かめ実感する機会は無かった。田舎でも都会でも30代の独身がいるが、直接話を聞く機会はなかった。ある雑誌の独身女性座談会の記事を見ると30代になって結婚相手を見つける為の努力をする気が失せてきたという本音が多く聞かれる。20代女性はそれほど枯れていないだろうが。

そういえば前出の元同僚は、「ホタルノヒカリ」に出て来る主人公「干物女」は、仕事は頑張るけどオフの時はデートもせず家でゴロゴロ、口癖は「めんどくさい」、「テキトーに」だと説明してくれた。職場で20代と接する機会の多い別の元同僚は、自分たちの世代に比べしっかりしているが本音は別のところにあるという思いもあるようだった。

多分それは両方とも真実で、この世代が使い分けている二面性を見ているのかもしれないと思う。それをメリハリが利いているというか、面従腹背というか、小さくも纏まっていて元気が無いというか、それは彼等が今後社会的政治的影響力を強めて行くこれからはっきりしてくるだろう。

注目すべきは若者の多数派

私には自分の子供以外に20代と接点が殆ど無いので彼等がどういう意識を持っているのか是非知りたかった。日本のメディアはニートとかフリーターとか周辺領域の人達ばかりに焦点を当て報じるが、20代の全体像こそしっかり理解して彼等がどうなっていくか未来を予測すべき対象とすべきなのだ。

20代もいつか日本の将来を担う。彼等がいつか経済活動の主役になり政治を動かしていくのである。彼らは既に税金を払い年金を負担している。そして子供を育て次の世代につないでくれる人達である。健全で豊かな世代に育ってくれることこそ最も注目すべきことだ。

既に彼らの世代の中から従来日本人が通用しなかったスポーツや芸術の領域で世界に出て行き一流になる人が出てきた。特徴は団体で無く個人の力で実現した事だ。覇気が無いとか元気が無いとか言う人達の世代が出来なかったことをやってのけた。

彼らがこれからの政治経済、文化や消費を担っていく時代がもう直ぐ来る。ビジネスで言えば彼等の消費動向を把握し新製品を開発しマーケティングすべきなのだ。既にその影響は出始めている。日本の自動車市場が停滞しているのはこれら若者の意識の変化が大きく影響しているという。

人口が多く金持ちで存在感のある団塊世代を追いかけるのも良いが、人口が少なく財力も無い、しかし堅実な20代をしっかりウォッチして新市場開拓していくことにも意味がある。彼らは少なくとも30-40年は長生きしトレンドセッターになるのは時間の問題なのだから。■

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