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本製造業の停滞と復活について何度かコメントしてきた。私の視点は縮小する国内市場にフォーカスし、グローバル化出来なかった企業が国内市場でも苦境に陥っているというものだった。一旦は世界トップグループにたったハイテック産業の凋落は目を覆うばかりだとも。
日本製造業復活を提案する記事を何度も見てきた。硬派のテレビ番組でも扱われた。提案の多くが得意の摺り合わせ型生産の追及であり、国際水平分業の中でマザー工場を国内に取り戻し技術優位を維持するものであった。その後もハイテク製品の「ローエンド破壊」が起こり、代表的な例として携帯電話ビジネスは軒並み海外から撤退する悲惨な事態となった。
グローバル企業の海外投資ラッシュ
一方、国内市場の停滞にもかかわらずトヨタやホンダなど自動車メーカーは極めて好調、円安効果とあわせ史上最高益を計上した。しかし、海外市場のお陰で稼いだ利益は日本よりも現地に投資、最近の海外工場建設ラッシュは目を見張るものがある。理由は簡単、そうしないと負けるからだ。
結果として日本にある工場の生産設備は更新されず1,2世代古い機械で生産する事態が起こっている。どう考えてもそれは仕方が無い。前年比1割近く売り上げが減少する市場に何故投資する必要があるのか考えるまでも無い。
賃金上昇が止まり円安になったとはいえ日本の労働賃金は依然非常に高いレベルにある。鎖国して国内市場だけで売らない限り、人件費の安い海外生産の商品には太刀打ちできないのだ。人口減少が続く限り現状のままではこの構造は変えることは極めて困難だ。
景気を実感できない、企業の利益が従業員に還元されてないというのは筋違いであると今まで何度も言ってきた。誰もが高度の教育を受け給料の好いマネージャにはなれない。世界市場の労働者として生きていくには、今の収入でも過不足なく誇りを持って生きていけるようにすべきだ。
賃上げより生活費下落の優先を
現実は依然として無駄な公共工事をし、談合が蔓延り、天下りで膨大な退職金を手にする官僚などなど無駄が山ほどある。経済効果が見込めない新幹線、道路、飛行場の建設は続き、全国には過剰な地方公務員・議員が連なる。これは全て国民(消費者)のコスト(税金・物価)になる。
こういう無駄に目をつぶり格差の解消を求めても無理というものである。日本にはもうそんな余裕は無い。政府の借金は800兆円を超えるというのにまだ金を出せと言うべきでない。もっと安上がりに生きて行けるようにせよと言うべきだ。
この国全体としての効率の悪さは官僚とそれを正せなかった政治であり、それを許した我々選挙民だ。今からでも変えることが出来る。滋賀県民の選択は選挙であり方を変えることが出来ることを証明した。
例によって誤解を恐れず大胆に仮説を申し上げると、多くのグローバル企業は日本より世界市場で生き残るほうに優先順位を与え長期戦略を立てているはずだ。国ごとの売上高からみれば当然であり、本社が日本を離れた方が都合よければ躊躇うことなく移転する日が来るだろう。
グローバル企業の国境は殆どなくなっている。国境を低くして資本を呼び込む競争は、何時か企業ごと取り込む競争に転換する可能性がある。この競争を弱めているのが何か、取り残されるのは誰か、次の参院選を機会に足元から少し視線を上げて投票するのも悪くないと思う。■
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