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米バス横転事故とサブプライム

2010-08-13 11:35:06 | 社会・経済

米ユタ州の高速道路で日本人観光客を乗せた小型バスが横転し、多数の死傷者が出たという傷ましいニュースが10日報じられた。その後バスの運転手は日本人留学生で、居眠り運転の疑いが濃い、現地バス運行会社は違法運営をしていた、など事故原因究明の捜査が続いている。

このツアーは日本の4大手旅行会社が企画し、現地バス運行会社の現地ツアーに相乗りしたものだという。海外旅行すると相乗りツアーは極めて多い。現地ツアー会社が運営する日帰りツアーに、異なった旅行会社の複数のパッケージツアーのメンバーがオプションで参加するものだ。

今回の事故は日本人旅行客だけが参加したバスツアーだが、例えばホテルがアレンジするツアーには、色々な国の旅行者が参加するほうが寧ろ普通だといってよい。私も日本からお客が来た時は日帰りツアーを何度か便利に利用したことがある。

バスの中は色々な言葉が飛び交い、おとなしい日本人は押し黙るという風景を見かけた。そういうこともあって日本人だけを対象として日本語が分かるツアーが開発されたのだろう。だが、もしかしたらそれが資格が曖昧な留学生の無理な運転(居眠り)を誘ったのかもしれない。

私の経験では、日本発のパッケージツアーといっても、利用する航空機、送迎車、ホテル、ローカルツアーなど殆どすべて別会社の責任で運営されており、これらを繋ぎ合わせて一つのツアーが構成されている。従って、事故などこれら別会社の不具合が起こるとややこしい問題になる。

旅行会社はサポートするが損害補償などは旅行者が現地と行うのが普通のようだ。旅行会社が人命を預かって全ての責任を負うわけではない。今回はパッケージツアーの契約内容がどうなっているか分からないが、事故を起した現地会社が第一次の責任を負うのではないだろうか。

数年前に起こった中国製毒餃子事件の場合は、最終的に消費者に売った販売会社に責任があり対応をした。誰の責任などと言ってられない緊急事態だから当然のことだが。もちろんその後販売会社と中国の製造会社の原因究明や、刑事事件扱いとしての捜査は別に進行した訳だが。

私は、パッケージツアーの責任のあり方が、2年前のリーマンショックの発端となったサブプライムの資金の流れ(フードチェーン[1])を思い出した。サブプライム住宅ローンの借り手は、レンダー(若しくはブローカー)から借りるが、レンダーは大手にローンを売りそれを元手に次の借り手を捜す。

大手レンダーはローンを証券化(MBS住宅担保証券)し投資銀行(或いは住宅公社)に売り、そこから再度証券化されてヘッジファンド(HF)や年金組合に売られる。住宅ローンの借り手は、証券化という魔法を使って最終的にヘッジファンドや年金組合の積立金から借用したことになる。

借り手 →レンダー →大手レンダー →投資銀行 →金融機関

住宅ローン ローンを売る  証券化 (格付) NAMBS (HF・年金)

  /-→ ブローカー ---―――/  住宅公社 AMBS 

住宅バブルが弾けサブプライムの焦げ付きが起こった時、誰もが被害者になりサブプライムマーケットが崩壊、多くの参加者はマーケットから去っていった。貸し手も借り手も、間にいたブローカーや投資銀行も、大損害を被ったから責任をとったといえるだろうか。英語風に言うと参加者は皆クソだったが、誰も責任をとらないシステムもクソだった。

バスの横転事故は同じではない。最終販売者が全責任を負って対処する食品と、システムが機能しないと結果的に全員罰を受けるサブプライム・ローンの中間に、旅行会社がいる。消費者の命を預かるという視点からいうと、海外の多くの会社が関るパッケージツアーの場合、旅行会社はもっと安全運行の責任の一旦を負ってもいいのではないかと思う。■


[1] 参照 サブプライムを売った男の告白 Rビトナー 2008 ダイヤモンド社

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