8月初旬に東京に戻った。 東京は田舎(愛媛県)より暑かった。 異常に暑い毎日で仕事を探す気にもなれずアテネ五輪中継を見、残りの時間を読書に当てているうちに涼しくなってきた。 何を読んだか紹介すると私が如何にポリシーなく本を選んでいるかのように見えるかもしれないが、 選択のルールがないわけでもない。 ノンフィクションが好きである。 若いころは漱石や鴎外、海外作家の小説もよく読んだが、何時のころかフィクションは作り物で役に立たないと言う多分功利主義的な発想で読まなくなった。 多分、仕事特に経営管理が主要な仕事になってからだと思う。 今は安く手に入る中古本や図書館を活用している。 これは収入が激減した身ではやむを得ない。 しかしそれでも読む本は大体手に入る。 全く不満はない。 能書きはそれまでとし夏休み読書結果を紹介する。
1.世界の中心で、愛を叫ぶ 片山恭一著 2001 小学館
家内が買ってきたべストセラー本を読ませてもらった。 まるで少女漫画を見るようなノリで読む小説で、「Notebook」とか「マディソン郡の橋」よりも更に軽い、しかし読後不思議と気持ちがきれいになった気がした。 ミントチョコレートみたいなもんか?
2.気骨 呉士宏著 2002 日経BP
3.ラッキーマン マイケル・J・フォックス著 2003 ソフトバンクパブリッシング
4.フィラデルフィアの野口英世 浅倉俊生著 1989 三修社
この3冊には共通点がある。 何れも普通の人から成功の道を辿り始めたところが、さわりで面白いところである。 「気骨」では大病を患い教育もない看護婦が85年頃中国進出していたIBMに採用されて女性経営者として成功の階段を上り始めるあたり、「ラッキーマン」ではカナダの田舎の青年がハリウッドに来て待ちに待った役をとり人気俳優になるキッカケを掴むあたり、野口英世がフィラデルフィア大学に押しかけ研究者としての道を始めるところである。 特にマイケルが父親とバンクーバからLAまで国道5号線を往復するくだりは98年にシアトルからサクラメントまで同じ道を通って家族で引越し旅行した事が思い出され懐かしく思った。 多分テーマはパーキンソン病にかかったマイケルが病気を公表し財団を作って同じ病気にかかっている人達の為活動をするところである。 当時ずいぶん話題になったそうで、米国に住んでいた私は知らなかったが、99年にLAに行った時家内は彼の病気のことを知っていたの思いだした。 しかし、本としての面白さは別の所にある。 そういうもんだ。
5.悪名高き皇帝たち(ローマ人の物語Ⅶ) 塩野七生著 1998 新潮社
6.機器と克服(ローマ人の物語Ⅷ) 塩野七生著 1999 新潮社
塩野さんは私が最も好きな歴史小説家である。 彼女の歴史小説は司馬遼太郎と同じく歴史を解釈するが、解釈した部分を明示しながらその時代を生き生きと描き出す。 歴史上の人物の心理にまで迫りながら大局を失わない。 昨夏シーザが考えアウグストが実現したローマ帝政が確立したⅥ巻でこのシリーズの読書を中断していたが、夏休み読書が進むにつれ続きが読みたくなった。 Ⅶ巻はを、皇帝世襲制の混乱の中から定着する仕掛けが作られるまでの紀元1世紀である。 Ⅷ巻で初めて著者が著名な歴史学者タキトゥスが好きでないことが判った。 ネロなど悪名高い皇帝たちの業績は業績で認めようじゃないかというのが彼女の基本的な捕らえ方で面白いし納得できる。 血塗られた時代でも基本に戻るべきところのある帝国の偉大さは変わらず以後も数百年帝国は続く。 大英帝国も200年とは続かなかった。 関連した書物を読みもっと咀嚼してから続きを読もうと思っている。
7.ロンドン・ペストの恐怖 D.デフォー著 1994 小学館
1995年ロンドン50万人の6分の1の命を奪ったペストが始まり翌年収束するまでを市内に住んでいた「ロビンクルーソー」の著者のデフォーが書いた記録である。 防疫体制がないに等しかった当時のロンドン市等当局の冷静な対応には感心する。 当時の伝染病に対する恐れが理解できる。 若いときパリで起こったペスト(カミュ著)を読んだのを思い出した。 伝染病でバタバタ人が死んでいくときの恐ろしさは、昨年の中国政府のSARS対応の混乱を見ても今も変わらない。
今回のお薦めは「気骨」と塩野さんの著作である。 「気骨」は文化大革命後の生活や、鄧小平後中国共産の中に企業家精神が育っていく様子が生き生きと描写されており興味深い。 同時に中国の中での企業家としての限界(もしくは建前かもしれないが)も見えてくる。 私のハイテックの世界での経験では既にこのような企業家がドンドン輩出してきており中国経済成長を支えており、次の世代も沢山育っている。 たたき上げの中国現代企業家の素顔が見える稀な本である。 塩野さんの本はどれでもお薦めで何でも良いので手始めに 1冊読んでみてファンになったら徐々に関連する書物を読み西洋史の知識を広げ又塩野さんの本に戻ると良いかも。
1.世界の中心で、愛を叫ぶ 片山恭一著 2001 小学館
家内が買ってきたべストセラー本を読ませてもらった。 まるで少女漫画を見るようなノリで読む小説で、「Notebook」とか「マディソン郡の橋」よりも更に軽い、しかし読後不思議と気持ちがきれいになった気がした。 ミントチョコレートみたいなもんか?
2.気骨 呉士宏著 2002 日経BP
3.ラッキーマン マイケル・J・フォックス著 2003 ソフトバンクパブリッシング
4.フィラデルフィアの野口英世 浅倉俊生著 1989 三修社
この3冊には共通点がある。 何れも普通の人から成功の道を辿り始めたところが、さわりで面白いところである。 「気骨」では大病を患い教育もない看護婦が85年頃中国進出していたIBMに採用されて女性経営者として成功の階段を上り始めるあたり、「ラッキーマン」ではカナダの田舎の青年がハリウッドに来て待ちに待った役をとり人気俳優になるキッカケを掴むあたり、野口英世がフィラデルフィア大学に押しかけ研究者としての道を始めるところである。 特にマイケルが父親とバンクーバからLAまで国道5号線を往復するくだりは98年にシアトルからサクラメントまで同じ道を通って家族で引越し旅行した事が思い出され懐かしく思った。 多分テーマはパーキンソン病にかかったマイケルが病気を公表し財団を作って同じ病気にかかっている人達の為活動をするところである。 当時ずいぶん話題になったそうで、米国に住んでいた私は知らなかったが、99年にLAに行った時家内は彼の病気のことを知っていたの思いだした。 しかし、本としての面白さは別の所にある。 そういうもんだ。
5.悪名高き皇帝たち(ローマ人の物語Ⅶ) 塩野七生著 1998 新潮社
6.機器と克服(ローマ人の物語Ⅷ) 塩野七生著 1999 新潮社
塩野さんは私が最も好きな歴史小説家である。 彼女の歴史小説は司馬遼太郎と同じく歴史を解釈するが、解釈した部分を明示しながらその時代を生き生きと描き出す。 歴史上の人物の心理にまで迫りながら大局を失わない。 昨夏シーザが考えアウグストが実現したローマ帝政が確立したⅥ巻でこのシリーズの読書を中断していたが、夏休み読書が進むにつれ続きが読みたくなった。 Ⅶ巻はを、皇帝世襲制の混乱の中から定着する仕掛けが作られるまでの紀元1世紀である。 Ⅷ巻で初めて著者が著名な歴史学者タキトゥスが好きでないことが判った。 ネロなど悪名高い皇帝たちの業績は業績で認めようじゃないかというのが彼女の基本的な捕らえ方で面白いし納得できる。 血塗られた時代でも基本に戻るべきところのある帝国の偉大さは変わらず以後も数百年帝国は続く。 大英帝国も200年とは続かなかった。 関連した書物を読みもっと咀嚼してから続きを読もうと思っている。
7.ロンドン・ペストの恐怖 D.デフォー著 1994 小学館
1995年ロンドン50万人の6分の1の命を奪ったペストが始まり翌年収束するまでを市内に住んでいた「ロビンクルーソー」の著者のデフォーが書いた記録である。 防疫体制がないに等しかった当時のロンドン市等当局の冷静な対応には感心する。 当時の伝染病に対する恐れが理解できる。 若いときパリで起こったペスト(カミュ著)を読んだのを思い出した。 伝染病でバタバタ人が死んでいくときの恐ろしさは、昨年の中国政府のSARS対応の混乱を見ても今も変わらない。
今回のお薦めは「気骨」と塩野さんの著作である。 「気骨」は文化大革命後の生活や、鄧小平後中国共産の中に企業家精神が育っていく様子が生き生きと描写されており興味深い。 同時に中国の中での企業家としての限界(もしくは建前かもしれないが)も見えてくる。 私のハイテックの世界での経験では既にこのような企業家がドンドン輩出してきており中国経済成長を支えており、次の世代も沢山育っている。 たたき上げの中国現代企業家の素顔が見える稀な本である。 塩野さんの本はどれでもお薦めで何でも良いので手始めに 1冊読んでみてファンになったら徐々に関連する書物を読み西洋史の知識を広げ又塩野さんの本に戻ると良いかも。