
詩吟を習っていることはこれまでに何度か触れました。
才能が無いのでいくら教わってもモノにならないことも既述の通りです。
それでも懲りもせずに続けている理由の幾つかについても既に書いています。
そこで今回最大の理由について書くことは一先ず置いといて、これまで殆ど書いていなかった漢詩そのものについて少し記してみます。
テキストには中国の詩人のみならず我国の有名無名の人の作品も多く載っています。
その作品の内容と作者についてより深く知ることも大きな楽しみです。
例えば今回私の習った「出郷作」は作品も作者もはじめての出会いでした。
作者の「佐野竹之助」は幕末の志士、水戸藩士で幼少より剣道、砲術をよくし藩主「斉昭」の近侍として仕えました。
安政5年斉昭が幕府のとがめにより駒込の藩邸に幽閉されたとき同士と共に赦免に奔走しました。
安政の大獄によって同士多数が処刑されたのを憤激して、万延元年3月3日、桜田門外の大老井伊直弼襲撃に同士17名と加わりその夜没しました。享年22歳でした。
詩の通釈は「死を賭して井伊大老暗殺の大事を決行せんと郷里水戸を去り、再び帰り来ぬ遠い天涯の地、即ち江戸に向かう。おそらくこれが今生の別れかと思う。幼い弟妹は兄のこの志を知るよしもない。いつものように我が袖を引いて帰りはいつごろかと問うのである。」
