事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

いだてん 第39回 懐かしの満州

2019-10-13 | 大河ドラマ

第38回「長いお別れ」はこちら

台風が駆け抜け、和田誠師匠が亡くなり、江戸では読売、埼玉では柔らか銀行が決戦に進出が決まるという大わらわの週末。んもう半鐘は鳴るわ大八車は……そしてとどめがこの大河ドラマだ。

完璧な、いや完璧以上の回だった。

まず、志ん生を満州に追いやる家族という設定で笑わせ(実際には馬生はそのせいでさんざん苦労する)、七之助の圓生ぶりも絶品。満州ならこの人を外すわけにはいかないと森繁久弥も登場。甘粕や愛新覚羅溥儀まで出てくるのではないかと思ってしまいました。

絶望した志ん生がウォッカをがぶ飲みして自殺を図ったという有名なエピソードに持って行くために、森山未來、中村七之助、仲野太賀の三人がウォッカで酒盛りする場面を挿入。ここはこの一年でも屈指の名シーン。

二人会の演目も考えてある。圓生が居残り佐平次のかっぽれで客を湧かせたために、志ん生は小松のアイデア(とランニング)を取り入れて富久を浅草から日本橋じゃなくて芝まで走ることにして笑いをとる。そのまま海岸でお財布を拾ったりする展開にはしませんでしたけど。

そして、富久を最後まで聞くことなく小松はソ連兵に……

こっから先は泣かせましたね。夫の死を、弟子の死をなによりも雄弁に語ったのが履き古した足袋だったという仕掛け。そして夫の帰還と生還を、森山版志ん生とたけし版志ん生にシンクロさせるあたり、ため息が出るくらいだった。夏帆と池波志乃をここでダブらせるかあ。

妻は見終わってほんとうにため息をつき

「いつものいだてんよりずっと長く感じたわ」

これは退屈だったのではなくて、それだけ密度の濃いドラマだったわけね。すばらしい回だった。いだてんを見続けてきてよかった。ほんとうによかった。

第40回「バック・トゥ・ザ・フューチャー」につづく


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