カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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あす21日は 北海道南西部で局地的強雨に注意

2006-11-20 23:13:53 | インポート

06112015 引用図は、11月20日15時の天気図です。気象庁HPより引用。

昨日から今日にかけて、低気圧が発達しながら本州の南海上から関東の東海上を進んだため、関東地方を中心にまとまった雨となりました。

特に、沿岸前線 が発生した千葉県内や伊豆諸島では、大雨となり、降り始めてからの総雨量が150ミリを越えた箇所もあります。

また、千葉県北東部や茨城県北部鹿行地域には、暴風・波浪警報も出されて、瞬間で30メートル近い突風も観測し、海上では波の高さ6メートルから7メートルのおおしけとなりました。

明日21日は、天気はどうなるでしょうか?まず、気象庁HPより引用の、11月21日9時の予想天気図をご覧いただきましょう。

06112009

引用図を見る限り、南西諸島南部を除き、各地とも、高気圧に緩やかに覆われて、晴天となるところが多そうですが、北海道南西部に、おでき みたいに(表現に語弊があるようですみません)ぽこっと、突き出た 低圧部があることに注目です。

この、おでき の部分の上空は、引用図にはありませんが、各種予想図より、上空55000メートル付近に-24℃以下の寒気を伴った気圧の谷が隠されています。

さらに、引用図より、21日日中は、北海道宗谷岬付近では北東風となる予想ですが、津軽海峡の西海上からは、南西から西より風が、そして、日高地方西方沖の海上からは、南東風が入りこくむことが読み取れます。ですので、北海道南西部周辺の地方付近で気流の収束が考えられ、このことが、ますます、雷雲を発達させる要素を強めていく感じです。

そして、本ブログ8月12日で紹介した計算式→〔(850hpa気温-500hpa気温)+(850hpa露点温度-500hpa気温)+(地表の気温-37)+C(定数。正渦度移流や、日中海陸風収束で地形的低気圧が発生する場所、地形的に山の斜面にぶつかり上昇流が発生する箇所、または北を360°として、850hpaの風向と地表付近の風向との差が90°で+8。※前記の現象が複数発生する場合は、8×当該現象発生数。負渦度移流の場合 -8)=48~51で、大雨注意報基準の降雨が、52以上で大雨警報基準の降雨が発生します。〕に、各種予想図の気温などのデータを当てはめると、52を超える値が出ますので、この、等圧線が、おでき 状になっている、北海道南西部や東北北部の一部など、大雨警報クラスの強雨が降る心配がありますね。

この  等圧線の おでき 状の部分に21日、低気圧が発生するとも、私自身予想しています。

明日21日は、北海道南西部や、青森県など、急な強い雨や雷、突風などにはご用心!


これから明日にかけて関東や伊豆諸島では荒れ模様の天気

2006-11-19 19:08:15 | インポート

06111915 引用図は、11月19日15時の天気図です。気象庁HPより引用。

前線を伴った低気圧が本州の南海上を東北東へ進んでいます。

天気図をよく見ると、北海道の南東海上には高気圧がありますが、この高気圧の南西の縁の部分に前記した低気圧があります。この低気圧の前面では、等圧線が ハの字型 となって、湿った南東風と北東風が収束する状態となっていますので、この部分が特に強い雨が降っていると考えて良いでしょう。

前記した 等圧線の ハ の字 部分が今後かかる、関東地方南部や伊豆諸島周辺では、この低気圧が関東の東海上にぬけて、当該、等圧線の ハの字部分から抜ける明日20日昼前までは、大雨となる予想です。

※引用図は、11月20日9時の予想天気図をご覧いただいております。気象庁HPより引用です。

06111909

それに、19日18時現在、東京や横浜、それに、関東平野の内陸部では、気温が10℃見未満です。伊豆大島でも、気温が11℃程度と、真冬並みの寒さです。今後は、これらに地域では、雨が降ることもあり、気温の上昇は見込めません。が、これらの地域より少し東から南に離れた、千葉県銚子や勝浦、それに、伊豆諸島の新島以南では、気温が15℃以上となっています。

※気象庁HPより引用の、11月19日18時の関東周辺アメダス気温分布図をご覧ください。

20061119180000

引用図内の、気温が上がっている、千葉県銚子や伊豆諸島には、今後低気圧の接近の伴って、海上から比較的暖かい気流がどんどんと入り込んで、この、関東内陸部との気温のコントラストは、低気圧接近につれて、さらに大きくなるでしょうね。

こういう状態は、どういう状態でしょうか?再三、本ブログで紹介した、沿岸前線の発生を表現しており、今後、この沿岸前線が、千葉県から伊豆諸島北部付近で、その活動を強めることを暗示しているものです。

今後、大雨の中心は、関東地方(南部)や伊豆諸島中心ですが、特に、前記した、沿岸前線の発生地域周辺では、要注意ですね。この沿岸前線の周辺では、大雨のほかに、竜巻や突風も頻繁に発生していますし、沿岸前線の北側では、濃霧発生にもご留意ください。!

追伸ですが、今日15時の天気図より、北海道の南東海上に高気圧がありますが、この高気圧の東には、発達した低気圧が北方向へ進んでいますね。

この状態は、この地域周辺の上空で気流が蛇行している(南北流)となっていることを示しているもので、この高気圧は、上空の気圧の峰に対応した、勢力の強い高気圧といえ、この高気圧自体、動きは停滞気味になりやすいものです。

勢力の強い高気圧が停滞気味になるところへ、低気圧がやってくるとどうなるか?これはもう、気象を少しでもご存知であればお解かりでしょうね。高気圧と低気圧の間は、等圧線の幅が狭まってしまい、広い範囲で強風となってしまいます。

前記した、あす11月20日9時の予想図でも、この点表現されています。北海道から関東付近にかけて、等圧線が混み、風が強まる予想です。とくに、引用図にはありませんが、明日20日9時の、上空1500メートルの風速予想では、関東東部沿岸でも、東~北東の風で、風速が50ノット程度となり、引用の予想天気図で、関東東部沿岸の等圧線の幅を勘案すると、明日20日は、千葉県北東部や南部太平洋沿岸、それに、茨城県沿岸や福島県浜通りでは、北東の風が暴風警報クラス程度に強まりそうです。

こうなると、明日20日の関東地方は、沿岸部や海上中心に、強い風や高波にも警戒!と言えそうです。


九州南部や南西諸島で大雨 沖縄では竜巻も

2006-11-18 23:55:51 | インポート

06111818 引用図は、11月18日18時の天気図です。気象庁HPより引用

18日は、気圧の谷が西から本州付近に近ずき、これに伴い、前線も東シナ海から九州の南に延びてきました。この前線上には低気圧も発生し、これら低気圧や前線に向かって南海上から暖かく湿った気流が流れ込んでいるため、南西諸島や九州南部の一部では大雨となりました。

沖縄県の一部では1時間に50ミリを超す激しい雨となりましたし、屋久島では、降り始めてからの総雨量が18日22時までに193ミリに達しました。

また、18日13時頃、沖縄県本島の名護市のにある辺野古漁港周辺で、竜巻とみられる突風が発生し、漁港近くで座り込みをしている市民団体のテントが吹き飛ぶなどの被害が出ました。米軍キャンプ・シュワブ内でも車両が損壊した被害も発生したとのことです。

この様子を①11月18日12時の天気図 と②11月18日13時の日本付近赤外雲画像図 ③11月18日13時の沖縄本島周辺アメダス風向風速分布図 ④竜巻発生地点付近の地形図(15万分の1) でご覧いただきましょう。※引用図①②③は気象庁HPより引用、④はヤフー検索サイト地図より引用です。

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竜巻発生当時、前線が東シナ海から九州の南に延びて、東シナ海で、西南西~東北東に延びる白く輝いた雲(にんじん状となっており、特に発達した積乱雲です、テーパリングクラウドと呼ばれるものです。)と、これに向かって南南西方向から、これまた白く輝いた雲(これも発達した積乱雲です。)が竜巻発生現場の沖縄県本島付近で合流して、ひときわ白く輝いた画像の雲が見れますね。これは、南海上から、西南西と南南西との気流で暖かく湿って気流が吹き込み、沖縄本島付近で収束していることを示すものです。

また、引用図③より、竜巻発生当時の18日13時、沖縄本島西部では南西から西南西風が卓越していますが、竜巻発生現場の名護市付近を境に、東側では南東風となっており、竜巻発生現場では、風向の水平方向のコントラストがあることが推測されます。④より、現場付近では西南西方向と南東方向へ谷が開いた地形で、地表では、前記した風向の水平方向のコントラストを助長させる働きをしていると考えられますね。

そして、竜巻発生現場の上空では、②より南南西から南西風となっており、竜巻発生現場では、風向の鉛直シアーが大きい(上下方向で風向差や風速差が大きい)状態となっています。

これらのことは、今月7日の記事をはじめ、これまで本ブログで紹介した、典型的な、竜巻発生パターンを示していますね。

さて、明日以降は、本州付近の天気はどうなるでしょうか?気象庁HPより引用の、⑤11月19日9時の予想天気図 ⑥20日9時の予想天気図 をご覧いただきましょう。

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→⑥061118091_1

ご覧のように、18時現在、九州の南西のある低気圧は本州の南海上を東進し、明後日20日朝には関東の南東沖に達する予想です。

予想天気図の等圧線の走向に着目すると、この低気圧の前面で南東風~東風~北東風が収束するような形(ハ の字型になっていますね)になっていますが、このような地域で、特に雨量がまとまる目安となります。

明日は、本州南岸の広い範囲で大雨となり、特に19日夜から20日朝方にかけては、東海地方や関東地方沿岸部と伊豆諸島で要注意ですね。


千島大地震の津波について雑感 津波の素性について

2006-11-16 23:57:27 | インポート

15203700391 昨日、11月15日20時15分頃、千島列島択捉島の東約400キロの地点で、マグニチュード7・9の大きな地震がありました。

この地震で、日本では、北海道の一部で最大震度2を観測しただけで、地震動による被害はなしでしたが、一時、北海道のオホーツク海沿岸と、北海道太平洋側東部に津波警報が、また、北海道の日本海側や、北海道太平洋側西部から東北、関東太平洋沿岸を経て、伊豆諸島、静岡県沿岸にいたる広い地域に津波注意報が出されました。

が、日本には、対して大きな津波はなく、津波警報や津波注意報は、16日午前1時30分までに全て解除されてしまいました。

しかし、この地震による津波で日本国内では、三宅島坪田で、津波注意報が解除された16日午前4時09分に高さ80cmに津波を観測しております。また、津波注意報が出なかった、紀伊半島沿岸や、四国沿岸、沖縄などでも、16日午前中に、津波と見られる潮位の変化を観測しています。小船の転覆などの被害も発生しています。

また、国内ではありませんが、アメリカ西海岸やカナダでは、高さ1メートル50センチを超える津波が押し寄せましたし、ハワイ島では、1m73cmの高さの津波が沿岸に押し寄せ、これらの地域は浸水などの被害も発生しました。

地震が海底の下の浅いところで大きな地震が起こると断層の運動により海底の地盤が隆起したり沈降したりします。この海底の変形にともなって海面が変動し、あたかも池に石を投げ入れた時のように波となって四方に広がっていきます。これが津波となるわけです。

よって、津波は、

①海底の地盤が隆起したり沈降したるする破壊が顕著になること 

②この破壊(地盤が隆起したり沈降したるする)がより広範囲に及ぶこと さらに、海は水と言う液体ですので、比較的ゆっくりした海底の破壊のほうが、海が持つ固有周期(一番揺れやすい波の周期です)と、一致(共鳴)しやすく、よりいっそう津波自体高くなる。

③水深が深い海底で発生した津波であるほど、その津波のエネルギーが大きくなり波自体減衰しにくく(津波それ自体、海底まで及ぶ波で、波長が通常のうねりと比べると数10倍長いので、波自体のエネルギーが大きく、遠方にあまり減衰しないで長い時間にわたり、伝わります。)より遠方まで長時間伝わる

④津波は海底の水深が深いほど、その移動速度が速い。

⑤津波が伝搬する秒速は g を重力加速度、d を水深とした場合、次式で算出する。

sqrt{g [rm{m/sec^2}] times d [rm{m}]}※インターネットフリー百貨辞典 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より引用です。

以上の特徴を併せ持つものです。

津波が発生する様子を気象庁HP引用図をご覧いただきましょう。

Tsunami

このため、津波は、水深5000メートル海上では、時速800キロ近くのジェット機並みの速度ですが、陸地に近ずくとその移動速度は低下するものの、海岸沿い付近でも高速道路の自動車並みの早いスピードでやってきます。海底が浅くなるほど、津波の波高は高まるようになります。これは、海上で通常発生する波と同じです。

海岸に波が到達すると、海岸から沖合いに反射する波が発生しますが、

⑥津波は通常の波よりエネルギーがある分、この海岸から沖合いに反射する部分のエネルギーも大きく、

⑦遠浅の海岸や入り江など、特に、周囲を陸地で囲まれている湾などは、この沖合いに反射する波が幾通りにも発生し、津波自体なかなか収まらない特性があります

こういう津波の特性のため、

⑧通常、津波は、第1波より後続の波の部分のほうが波高が高くなるものですし、

1854年の安政南海地震発生に際して、大阪湾では⑦の津波の特性のため、津波が繰り返し沿岸部に押し寄せて、大阪では、津波でも甚大な被害となりました。

以上の①から⑤の特性を持つ津波ですが、通常、今回の地震とほぼ同規模な、マグニチュード8クラスの自身になると、およそ100キロ四方の地殻が破壊されますが、この破壊が、海底の地盤が隆起したり沈降したりする部分が顕著になる破壊をしなかったか、その破壊の仕方が、地震(すなわち津波)を起こすエネルギーが日本に行きにくい仕方であった、どちらかのために、さほど、津波がやってこなかった と言えます。

ただ、前記したような、三宅島坪田で、津波注意報が解除された16日午前4時09分に高さ80cmに津波を観測したり。また、津波注意報が出なかった、紀伊半島沿岸や、四国沿岸、沖縄などでも、16日午前中に、津波と見られる潮位の変化を観測して、小船の転覆などの被害も発生した点ですが、日本列島の太平洋側の海岸部での地形的特性によるものと思われますね。

すなわち、陸地に近い部分に遠浅の水深となっていますが、少し離れた海上では、急に水深が深くなる海底の地形となっていますので、前記した津波の特性④~⑦により、陸地に近い部分で、海岸から沖合いに反射する津波がいつまでも続いてしまったことと、そこに、水深の深い部分を進む津波とと比較的浅い部分を進む津波が干渉・屈折をおこして、局地的に津波の波高が高まり、前記した海岸から沖合いに反射する津波と衝突して更に津波の波高を高めて、発生時間を長引かせたこと によると推測されます。

気象庁の津波予報は、地震発生から約2分で出されることは大変評価いたしますが、津波は局地性が非常に強い点を充分に表現することは、まだまた不十分です。

気象庁の津波予報も、数値予報と同じ、その土地の特性に応じて 翻訳する 必要がありますね。


関東地方は午後から不安定な天気

2006-11-15 23:54:00 | インポート

06111515 引用図は、11月15日15時の天気図です。気象庁HPより引用。

今日の本州各地は、昨日、北陸などに強い雨を降らせた前線が東海上に去り、一見、弱い冬型気圧配置で、太平洋側では天気が回復すると思いきや、上空に寒気を伴った気圧の谷が残り、そのうちのひとつが、15日日中から夜にかけて本州上を通過しました。

このため、太平洋側でも地形的に、気流の集まりやすい関東地方などでは、午後から大気が不安定となり、所々で雷雲が発生し、時ならぬ、にわか雨や、一部 雷の見舞われた所もありました。

Z__c_rjtd_20061115000000_met_cht_jciaxfe 引用図は、日本気象予報士会HPより引用の、11月15日9時のAXFE図(おもに上空の寒気と気圧の谷を表す図と解釈してください、図内で気圧の谷は上側図斜線表示でその強さの度合いを上側図のプラスの指数で表現します。)をご覧いただきます。

上側の図内に、日本海中部にそれぞれ寒気を伴った+113の谷が、そして、朝鮮半島北部には+156の谷が表現されております。後者の+156の谷は冒頭引用図の日本海中部の低気圧の対応するものです。

そして、前者の+113の谷が、東南東に進み、夕方から宵の内にかけて関東地方上空を通過したと思われます。

さらに、①11月15日15時の関東周辺アメダス風向風速分布図 と②11月15日15時の関東周辺レーダーアメダス解析雨量図 ③11月15日18時の関東周辺レーダーアメダス解析雨量図(※引用図は全て気象庁HPより引用)をご覧いただきましょう

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15日の関東地方は、東北会津方面からの北より風と、東海道からの西から南西風が入り込み、海風効果も加わって、 (1)東京付近 ~茨城県付近(2)神奈川付近(3)栃木県北部にそれぞれ、気流が収束している地域がありますが、その収束場所に対応して、雨雲が発生し※15時 特に収束が顕著な東京都から茨城県付近の雨雲が発達していく様子がわかります。

この冬型気圧配置における、寒気を伴った上空の気圧の谷発生時には、関東地方でも、しばしば、時ならぬ強い雨や、大雪をもたらすことがあります。

平成9年1月21日に、栃木県宇都宮で積雪11cmを観測したり、 平成13年3月8日に水戸で積雪17センチの大雪となった時も、今回のような、冬型気圧配置時で、寒気伴った上空の気圧に谷が通過した事例下で発生したものです。