カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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九州南部や南西諸島で大雨 沖縄では竜巻も

2006-11-18 23:55:51 | インポート

06111818 引用図は、11月18日18時の天気図です。気象庁HPより引用

18日は、気圧の谷が西から本州付近に近ずき、これに伴い、前線も東シナ海から九州の南に延びてきました。この前線上には低気圧も発生し、これら低気圧や前線に向かって南海上から暖かく湿った気流が流れ込んでいるため、南西諸島や九州南部の一部では大雨となりました。

沖縄県の一部では1時間に50ミリを超す激しい雨となりましたし、屋久島では、降り始めてからの総雨量が18日22時までに193ミリに達しました。

また、18日13時頃、沖縄県本島の名護市のにある辺野古漁港周辺で、竜巻とみられる突風が発生し、漁港近くで座り込みをしている市民団体のテントが吹き飛ぶなどの被害が出ました。米軍キャンプ・シュワブ内でも車両が損壊した被害も発生したとのことです。

この様子を①11月18日12時の天気図 と②11月18日13時の日本付近赤外雲画像図 ③11月18日13時の沖縄本島周辺アメダス風向風速分布図 ④竜巻発生地点付近の地形図(15万分の1) でご覧いただきましょう。※引用図①②③は気象庁HPより引用、④はヤフー検索サイト地図より引用です。

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竜巻発生当時、前線が東シナ海から九州の南に延びて、東シナ海で、西南西~東北東に延びる白く輝いた雲(にんじん状となっており、特に発達した積乱雲です、テーパリングクラウドと呼ばれるものです。)と、これに向かって南南西方向から、これまた白く輝いた雲(これも発達した積乱雲です。)が竜巻発生現場の沖縄県本島付近で合流して、ひときわ白く輝いた画像の雲が見れますね。これは、南海上から、西南西と南南西との気流で暖かく湿って気流が吹き込み、沖縄本島付近で収束していることを示すものです。

また、引用図③より、竜巻発生当時の18日13時、沖縄本島西部では南西から西南西風が卓越していますが、竜巻発生現場の名護市付近を境に、東側では南東風となっており、竜巻発生現場では、風向の水平方向のコントラストがあることが推測されます。④より、現場付近では西南西方向と南東方向へ谷が開いた地形で、地表では、前記した風向の水平方向のコントラストを助長させる働きをしていると考えられますね。

そして、竜巻発生現場の上空では、②より南南西から南西風となっており、竜巻発生現場では、風向の鉛直シアーが大きい(上下方向で風向差や風速差が大きい)状態となっています。

これらのことは、今月7日の記事をはじめ、これまで本ブログで紹介した、典型的な、竜巻発生パターンを示していますね。

さて、明日以降は、本州付近の天気はどうなるでしょうか?気象庁HPより引用の、⑤11月19日9時の予想天気図 ⑥20日9時の予想天気図 をご覧いただきましょう。

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→⑥061118091_1

ご覧のように、18時現在、九州の南西のある低気圧は本州の南海上を東進し、明後日20日朝には関東の南東沖に達する予想です。

予想天気図の等圧線の走向に着目すると、この低気圧の前面で南東風~東風~北東風が収束するような形(ハ の字型になっていますね)になっていますが、このような地域で、特に雨量がまとまる目安となります。

明日は、本州南岸の広い範囲で大雨となり、特に19日夜から20日朝方にかけては、東海地方や関東地方沿岸部と伊豆諸島で要注意ですね。