カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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地震のゆれ方は地形的特性に左右されるもの PART1

2005-03-20 18:49:54 | インポート
20日午前10時53分に、福岡県西方沖でマグニチュード7・0の地震が発生して、福岡県、佐賀県の一部で震度6弱を観測し、長崎県や大分県の一部でも震度5弱以上の揺れを観測しました。この地震の影響で、20日午後7時までに、福岡県内で亡くなられた方が1名そのほか、九州北部の各地で怪我をした方々は、400名弱におよんでいます今回の地震で罹災された方々には、謹んでお見舞い申し上げます。

さて、地震の揺れ方をつぶさに見て見ると、今回の地震に限らず、地域的コントラストが大きいものですね。同一市内にあっても、揺れの大きい箇所と小さい箇所とでは、震度が1から2違うのは珍しくありません。
今回の地震の福岡県内各地の震度を見て見ると、同じ福岡市内でも、震度6弱から震度4までと幅があります。福岡市中央区舞鶴では震度6弱でしたが、直線距離で東に3キロしか離れていない福岡市博多区の博多駅前では、震度5弱となっています
こように、地震の揺れ方(言いかえれば、大きな地震の場合には被害の発生分布と言えましょうか)のは、地域的にコントラストが強いもの。防災対策には、この点を留意する必要がありますね。

では、どういう地域が、揺れが大きくなりやすいか(被害が発生しやすいか)と言う点ですが、これは、その地方の地形的特性に左右されるものと言えます。

地震の揺れが増大させる要因の一つとして、①地表直下付近の表土層がやわらかく厚い。②地下の基盤の傾きが異なっている(V字型になっている地形であればなおさらです)。③地下に断層がある ことが挙げられます。
そもそも地震を起こす地震波は、堅い地層よりやわらかい地層の中では伝播速度は遅くなりますが、逆に地震波の揺れの幅は大きくなってしまいます。①のような地域であると、地下の震源から伝わった地震波がいっそう揺れの幅を大きくする事になるからです。
地層は、古い地層から順に堆積して新しい地層は地表付近に堆積します。また、地層は古くなると、地層が締まって堅くなる性質があります。
②や③の地域であると、異なった年代にできた地層同士が同じ位置に堆積している状態であり、このような箇所では、地震波の速度が不均一となり、その結果、当該地震波が増幅してしまう結果となるためです。
さらに、地震波は、地下の震源から地表に伝わる波(実体波)と地表に伝わった地表を進むもの(表面波)とに分かれますが、地形的に見て、V字型になっている谷間に位置する地域では、この、実体波と表面波とが地表で合流して、当該地震波を増幅させてしまうことになるからです。

よって、谷間の川沿いの地域など、前記した①②の特性を併せ持っている為、地震の揺れ方は一層大きくなり、被害が大きくなり易いと言う事が言えますね。海岸部の埋立地や、三角州、旧河道などでは、表土層が厚い上に軟弱であるので、とりわけ地震波が増幅しやすく、地震災害には得に留意するべき地域と言えます。