カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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小粒でも油断大敵。ポーラーロー(寒冷低気圧)が大陸から本州に接近中

2005-03-23 17:12:33 | インポート
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気象災害をもたらすものとして、まず代表的なのは台風、発達した低気圧が挙げられますが、忘れてはならないのに、ポーラーロー(寒冷低気圧)があります。ポーラーローはその上空に強い寒気を伴っており、ポーラーローの通過時には、短時間強雨や落雷、ひょう、突風、竜巻などを引き起こします。ポーラーロー自体は規模は小さなものですが、通過時に前記のような激しい気象現象をもたらし、災害を引き起こすことも多いものです。その,ポーラーローが大陸から本州付近を伺っており、明日24日9時には日本海西部に達して(引用図の24日9時の予想天気図を参照)、その後日本海を東進し、夜には東北地方に達する見込みです。
引用図の雲画像図(23日16時現在)より、23日16時には、中国大陸北東部(朝鮮半島の北側あたり)で白く輝く雲の集団があります。これがポーラーローです。
明日24日は、西日本から不安定な空模様となり、西日本の日本海側を中心にして北陸地方や東北地方にかけて、短時間強雨や落雷、ひょう、突風、竜巻などに注意が必要です。また、夕方以降関東南部には、ポーラーローの接近に伴って、別の低気圧が発生する模様で、関東地方周辺でも、24日夕方以降は、短時間強雨や落雷には気をつけてください。

※引用図は3月23日16時の雲画像図と3月24日9時の予想天気図です。(気象庁HPより引用いたしました。)


地震のゆれ方は地形的特性に左右されるもの PART2

2005-03-21 23:42:09 | インポート
※20日投稿分に続きます。

さらに、地殻の急激な変動により地震は発生しますが、その地殻の変動の形態によって、当該地震の地震波の種類が決まってきます。変動が急になれば地震波の加速度は大きくなりますが、地震波の周期は小さいものが卓越します。逆に、変動が比較的ゆっくりしたものになると、地震波の加速度は小さくなりますが、当該地震波の周期は長いものが卓越するようになります。
また、地震波の周期が長いものほど、その継続時間は長くなり、いつまでも揺れることになります。

一方、地形の硬軟と地震波の関係を述べると、地盤が軟らかくなればなるほど、地震波のうちで、より周期の長い波にたいして揺れやすくなってしまう特性がありますね。

このような理由から、地盤が軟らかくなればなるほど地震波は増幅されることはさることながら、当該地震の継続時間も長くなっていきます。


地震のゆれ方は地形的特性に左右されるもの PART1

2005-03-20 18:49:54 | インポート
20日午前10時53分に、福岡県西方沖でマグニチュード7・0の地震が発生して、福岡県、佐賀県の一部で震度6弱を観測し、長崎県や大分県の一部でも震度5弱以上の揺れを観測しました。この地震の影響で、20日午後7時までに、福岡県内で亡くなられた方が1名そのほか、九州北部の各地で怪我をした方々は、400名弱におよんでいます今回の地震で罹災された方々には、謹んでお見舞い申し上げます。

さて、地震の揺れ方をつぶさに見て見ると、今回の地震に限らず、地域的コントラストが大きいものですね。同一市内にあっても、揺れの大きい箇所と小さい箇所とでは、震度が1から2違うのは珍しくありません。
今回の地震の福岡県内各地の震度を見て見ると、同じ福岡市内でも、震度6弱から震度4までと幅があります。福岡市中央区舞鶴では震度6弱でしたが、直線距離で東に3キロしか離れていない福岡市博多区の博多駅前では、震度5弱となっています
こように、地震の揺れ方(言いかえれば、大きな地震の場合には被害の発生分布と言えましょうか)のは、地域的にコントラストが強いもの。防災対策には、この点を留意する必要がありますね。

では、どういう地域が、揺れが大きくなりやすいか(被害が発生しやすいか)と言う点ですが、これは、その地方の地形的特性に左右されるものと言えます。

地震の揺れが増大させる要因の一つとして、①地表直下付近の表土層がやわらかく厚い。②地下の基盤の傾きが異なっている(V字型になっている地形であればなおさらです)。③地下に断層がある ことが挙げられます。
そもそも地震を起こす地震波は、堅い地層よりやわらかい地層の中では伝播速度は遅くなりますが、逆に地震波の揺れの幅は大きくなってしまいます。①のような地域であると、地下の震源から伝わった地震波がいっそう揺れの幅を大きくする事になるからです。
地層は、古い地層から順に堆積して新しい地層は地表付近に堆積します。また、地層は古くなると、地層が締まって堅くなる性質があります。
②や③の地域であると、異なった年代にできた地層同士が同じ位置に堆積している状態であり、このような箇所では、地震波の速度が不均一となり、その結果、当該地震波が増幅してしまう結果となるためです。
さらに、地震波は、地下の震源から地表に伝わる波(実体波)と地表に伝わった地表を進むもの(表面波)とに分かれますが、地形的に見て、V字型になっている谷間に位置する地域では、この、実体波と表面波とが地表で合流して、当該地震波を増幅させてしまうことになるからです。

よって、谷間の川沿いの地域など、前記した①②の特性を併せ持っている為、地震の揺れ方は一層大きくなり、被害が大きくなり易いと言う事が言えますね。海岸部の埋立地や、三角州、旧河道などでは、表土層が厚い上に軟弱であるので、とりわけ地震波が増幅しやすく、地震災害には得に留意するべき地域と言えます。







関東平野は、ぽっかりと雨雲の切れ間

2005-03-17 20:26:25 | 日記・エッセイ・コラム
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17日は、低気圧が発達しながら日本海を北東に進んだため、ほぼ全国的に天気が愚図ついてしまいました。
特に、本州南岸では、雨量がまとまった地域もありました。

関東地方も、低気圧に伴う温暖前線が通過した昼前から昼過ぎを中心に広範囲で一時雨が降りましたが、温暖前線の南側に入ると、すぐに雨は止んだ所が多くなりました。

ところが、関東に隣接する、東海地方や北陸地方など、全般的に雨で、雨脚が強まっている所もあるようです。

引用図の左側の、全国の雨が降っている様子をごらんいただきましょう。関東平野だけ、ぽっかりと雨が降っていない地域が広がっていますね。これに対して、関東地方でも神奈川県箱根周辺、それに中部地方では、雨が降っていて、一部でやや雨脚が強まっています。

このように、関東平野と周辺地域での雨の降り方のコントラストが大きくなることは、実はそんなに珍しいことではありません。
17日のように、低気圧が日本海を東進して、関東以西の各地が、当該低気圧の南側に入って、各地とも南から南西の風が吹くときに、関東平野と周辺地域での雨の降り方のコントラストが大きくなります。

その訳は、関東平野を取り巻く地形のためです。

まず、関東以西の各地が、当該低気圧の南側に入って、各地とも南から南西の風が吹くときには、本州の山脈で風が上昇して雲を発生発達させて、東海地方など、山脈が南に開いた地域でまとまった量の雨を降らせることが多くなります。

一方、東海地方の東側に隣接する関東平野には、北~西側をせる山脈で囲まれて(特に西側の山脈が東海地方にまとまった量の雨を降らせるものです。)いますね。東海地方に雨を降らせた風が、関東平野には山脈から吹き降りる形になります。
山脈から風が吹き降りるようになるとは、雲は逆に発生発達しにくくなるため。このような雨の降り方のコントラストが現れるわけです。

低気圧が日本海を東進して、関東平野の沿岸部が全般的に南~南西風となるときは、関東平野は前記した理由で、雨が振りにくく、箱根や静岡あたりが土砂降りの雨となっても、雲の切れ間から青空がのぞくこともあります。

ところが、低気圧が日本海を東進してきても、関東の南部沿岸部でみ南~南西の風入っても北関東や内陸部まで吹かずに、気温の低い北東~東よりの風が吹くときは、、関東平野の内陸部では気温が低い状態が持続し、関東平野沿岸部に局地的な前線が発生して、関東平野各地でも雨となり、茨城県の南部から千葉県、東京23区や多摩東部地域、それに神奈川県を中心にまとまった雨量となってしまうことがあります。

※引用図は17日15時の天気図と、17日15時の関東甲信越方面のレーダーアメダス合成図です。(双方とも気象庁HPより引用いたしました。)


天気図には現れない今日の悪天域。天気を読むには衛星画像図も重要。

2005-03-15 23:27:51 | 日記・エッセイ・コラム
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15日は、天気図を見ると、日本の東海上にある高気圧が本州付近に張出して、関東以西の各地では、一見、天気が良いように見えますが、実際には、雲に覆われたところが多く、弱い雨や雪がちらついた所もあったようです。
まさに、関東以西の今日の悪天は、低気圧や、前線などで表現されていません。

ところが、気象庁や民間の気象関係の方々が天気予報を出す際に見る専門天気図や気象衛星画像より、本州付近の気流の立体的な情況を調べると、ちゃんと、その痕跡が現れています。今日の、この悪天域は、上空の気圧の谷に伴うもので、気象衛星画像上では、大きな雲のかたまりが現れています。この雲の塊が、上空の気圧の谷の東進にともない、西から東に本州上を移動したためです。
今日のように、天気図上に低気圧や前線が現れていないからといって、好天を予測するのは早計というもの。昨今の天気予報番組や、新聞やインターネットの天気予報のコーナーには、気象衛星画像の雲の様子がありますので、気象衛星画像にも気を配って下さい。

さらに、気象衛星画像では、、天気を崩す低気圧や前線が発達の度合いを見極める事も可能です。

ちなみに、天気図上に低気圧が表現されていて、その低気圧が小さいものであっても、気象衛星画像上で、その低気圧の北側前方に向かって、お椀を逆さまにした雲が大きく広がっている場合は、その低気圧は、確実に発達するとみて良いでしょう。天気図の前線上で、気象衛星画像では白く輝いている場合は、その前線上の雲は発達している証拠です。そして、そのような白く輝いている雲が一定の場所に停滞してあり、南海上からその地域周辺に向かって刷毛で書いたような形の雲が合流していれば、当該雲が停滞している地域には、集中豪雨の発生を懸念する必要があります。

※引用図は15日15時の天気図と気象衛星画像です。(気象庁HPより引用致しました。)