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映画「嫌われ松子の一生」を見た<★★★★★>満点!

2006年06月08日 00時59分49秒 | 映画レビュー

話題の日本映画、「嫌われ松子の一生」を見た。うーん、期待せずに行ったんだが、良かったー。泣いてしまいました。(ちなみに泣ける映画ではないので、映画館で泣いていたのは僕だけだと思います)。

嫌われ松子の一生

監督:中嶋哲也
出演:中谷美紀、瑛太、伊勢谷友介、香川照之、市川実日子
(C)2006 「嫌われ松子の一生」製作委員会

一説によると主演の中谷美紀は監督の中島哲也に「へたくそ」「やめちまえ」みたいな罵詈雑言を浴びて殺意すら覚えた、なんて話も何かで読んだことがあるが、中島美紀の女優魂は凄まじいものがある、演技というのか、本気というのか、凄かったし、とても魅力的だった。


さて、この映画はぜひ皆さんに見ていただきたいので、ここから先は映画を見た人だけに読んでもらいたいと思います。












ああ、この映画は、何と説明したらいいだろう、実にいろんな視点手見ることが出そうだ。とはいえ、まあ、まさに嫌われ松子の一生なのだが、そしてそれは凄惨を極める不幸な一生と言っていいのだろうが、それがミュージカル仕立てで、とても上品でコミカルに描かれていて、どこかお茶目であまり悲惨とは感じられない。

が、敢えて言おう。映画的な演出手法が、彼女の悲惨さを消しているのではない。客観的に見て信じがたいほど不幸な境遇は、彼女にとって必要なことで、それは何かを(たぶん愛を)「惜しみなく与えるもの」にとっては、実は不可欠な境遇だったのではないだろうか。決して愛を与えられなかった、そしてそれを嘆いていて彼女は愛する者に、多くを与えていた。

もちろん彼女は全然神様のようなすべてに優しい、慈愛に満ちた人間ではなく、友達をねたんだりする人間的な欠陥を多く持った人間だし、しかも殺人者ですらある。だが、あまりに多くのものを、全人格的に与えた者は、最終的には紙に祝福されるのだろう、ラストシーンの階段を上がっていくシーンでは、僕はキリスト教者ではないが、魂の救済を感じた。

むずかしいことはこのくらいにしようか。
見所は、冒頭に書いた中谷美紀に女優人生を賭けたかのような演技、そして松子に関わる男たちを演ずる俳優たちも、みんなとてもいい演技をしている。劇団ひとり、とか宮藤官九郎とか、香川照之とか、伊勢谷友介、荒川良々とか。松子の甥(瑛太)を狂言回しにしたアイディアもいいし、演技も良かった。

映像もとても美しく、シーンごとにかなり編集でいろんな色を強調したPhotoshop的な作りになっていて、デパートの屋上が極彩色だったり、するんだが、これもいいセンス。全体に画面の隅々まで気を配った緻密な仕上がりで、非常に完成度は高いように思った。

そしてたくさんの歌うシーン。中谷美紀もよく歌ったが、ミュージシャンもたくさんでているし。歌うし。特に印象的なのはラストで登場人物たちが順番に歌うシーンで、これがいい。音楽を巧く使った映画だと、最近ではチャーリーとチョコレート工場を思い出すが、それに匹敵するぐらい上手な使い方だったと思うよ。

最近クラッシュで5点満点を出したけど、なんといい映画が続くことか。今回も文句なしの5点満点を差し上げます。

<★★★★★>

以下、公式な解説です。
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不幸って何?女の子なら誰だって、お姫様みたいな人生に憧れる。昭和22年・福岡県大野島生まれの川尻松子も、そのひとり。でも、現実は…20代で教師をクビになり、エリートから転落して家を飛び出しソープ嬢に。やがてヒモを殺害して刑務所へ…。壮絶な不幸に揉みくちゃにされながらも、誰かを愛し、その人だけを信じて突き進む…、傷ついても、傷ついても愛する人への思いを胸に夢を見つづける松子。誰がどう考えたって不幸な人生なのに、彼女にとってはすごくハッピー!

嫌われ松子の一生のオフィシャルサイトはこちら


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