ほぼ週刊イケヤ新聞ブログ版

コピーライター・ミュージシャン池谷恵司の公式ブログです。
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ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】その107

2012年09月26日 09時39分24秒 | ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】

 

ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】その107

私の知り合いであるミスター・ピーノさんは
海外滞在が長く、

外国語にもご堪能な方ですが、一週間程度で
物凄い量のものを、見る、読む、聴く。
私も見習いたいと思っております。 


ピーノさんからいただいているメールマガジンを
ご本人の承諾を得てこのブログに転載しているものであります。

読者の皆様、感想等ございましたら
私が責任を持ってお伝えしますので
ぜひコメント欄にお願いします。


ちなみに私もこの春、覆面パトカーにやられて

一発免停、交通裁判所でした……。

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映画を最後のエンドロールまで見ていると、このところ「dentsu:電通」や
「製作委員会」という表示が増えています。「大コケ」のリスク回避のために、
映画製作資金を集める際、事前にさまざまな権利をもつ企業に声をかけて
完成した映画から派生する権利や、利益が出た場合は出資比率に応じて
分配金がもらえるやり方です。 1980年代半ばのアニメから最近では一般
的な映画まで広く行われており、今、洋画よりも邦画のほうが上映比率が
高い理由でもあり、今後ビジネスモデルとして定着するかどうか収益次第。

先日リニューアルオープンしたばかりの金沢能楽美術館に寄ったところ、
「新・古能面展III」が開催されており、江戸時代から伝わる個人が所有する
能面も良かったんですが、全国から公募で集まった能面がなんど“百面”。
特選・優良賞(20面)と入賞作品(80面)で、全国に少なくとも100人以上も
ヒノキ材から何日間もかけて、能面を制作するひとがいることに驚きました。
能や狂言が好きで手先が器用なひとは、ちょっと能面でも彫ってみようか?
という気になるものなのか、京都の能楽師Hさんに聞いてみたくなりました。
http://www.kanazawa-noh-museum.gr.jp/

新東名で覆面パトカーに捕まりました(笑) 雨天で80km/h規制のところ
120km/hくらいで走っていて、一瞬『30km/h超オーバー』と真っ青になった
次第。 交通巡査からの説明では、「速度超過」ではなく『通行帯違反』との
ことで、三車線の追い越し車線を“約1.1km”走行したとの理由なんですね。
つまり、『追い越し車線は遅い車を追い抜いたらすぐ真ん中の車線に戻せ』
ということ。 メキシコから帰国して10年以上、無違反でゴールド免許だった
んですが今回【減点1点+罰金6000円】。 運転される方はご注意ください。

新東名の浜松浜北インターを下りて、市内へ向かう国道152号線を通り、
「サンストリート浜松」(ショッピングセンター)が見える手前の交差点を左に
曲がったところに、『野の香(ののか)』という讃岐うどんのお店があります。
メニューは、天ぷらうどんのセット(3種類)を中心に、「かけ」「ざる」「釜あげ」
「しょうゆ」と、うどんの調理方法を選ぶやり方です。他にはおでん(単品)と
1日20食限定の炊き込みご飯のみ。 注文を聞いてから作るため讃岐特有
の“モチモチした食感”があり週末の昼時は店外に行列ができるほどです。
http://www.sunboy.jp/archives/51788908.html

【演劇】

■「浮標(ぶい)」(世田谷パブリックシアター、12/09/22 ★★★★☆)
演出家の長塚圭史のソロプロジェクト「葛河思潮社(くずかわしちょうしゃ)」
が、三好十郎の4時間(休憩2回)の脚本(1939)を、昨年に引き続き再演。
1930年代、結核にかかった妻(松雪泰子)の看病をする画家(田中哲司)
の姿を描いた自伝的内容で、長塚自身も医師の役で出演。舞台には砂が
敷かれ、出演者が大きな砂場を取り囲むようにして着席。 全体の7割近い
セリフをこなし、妻を気づかって万葉集を詠む田中哲司の演技が素晴らしく、
HP上に戯曲の全文掲載も珍しく観る前に読まなかったのは正解でしたね。
http://kuzukawa-shichosha.jp/

■NODA・MAP 「エッグ」(東京芸術劇場、12/09/22 ★★★★)
作・演出:野田秀樹、音楽:椎名林檎、主演が妻夫木聡、深津絵里、仲村
トオルと、豪華キャストによる東京芸術劇場改装後の初舞台。寺山修司の
遺稿(ウソ)となった戯曲『エッグ』を使って、新しいスポーツ競技を舞台化。
アイドル歌手「苺イチエ」役の深津が、ぶっ飛んだ演技と椎名の楽曲を歌い、
ベテラン(仲村)とルーキー(妻夫木)との間で三角関係。 監督(橋爪功)、
進行(野田)、歌手の所属事務所オーナー(秋山奈津子)などが入り乱れ、
後半はフィルム映写と舞台を満州に移し混沌としたスポーツと音楽の世界。
http://www.nodamap.com/productions/egg/

【映画】

■ロック・オブ・エイジズ <原題 Rock of Ages>(★★☆)
ロックミュージカルの映画化。トム・クルーズが主演で“伝説のロッカー”を
演じていると予告編を見る限り誰もが思いますが、実際は「アレレ?」です。
ライブハウスで働く若い二人の、ごく普通のラブ・ストーリーがメインであり、
T・クルーズは脇役の存在に徹して“イギー・ポップ”を意識したような女性
とアルコール漬けのロッカーです。 キャサリン・ゼタ=ジョーンズのダンス・
シーンも見どころのひとつですが、1987年のロスを舞台にした時代背景に
しては歌われる楽曲と物語が微妙にズレていて、タイトル負けしています。
公式HP ⇒ http://wwws.warnerbros.co.jp/rockofages/

■天地明察 (★★★☆)
第4代将軍徳川家綱(1641-80)の時代、会津藩主や水戸光圀の経済的
支援を受けながら、新しい暦の存在を突きとめた安井算哲(岡田准一)の
物語。 囲碁から算術、数式から天文暦へと興味の幅を広げ、失敗を繰り
返しながら、当時の朝廷が使用していた暦の誤りを指摘して、改暦を迫り
ます。 主人公の優柔不断さが今の“草食系男子”を思い起こさせ、×イチ
のえん(宮崎あおい)の積極性とは対照的。笹野高史と岸部一徳コンビの
話が微笑ましく、壮大なテーマを扱いながら朝廷との確執はサラッと描写。
公式HP ⇒ http://www.tenchi-meisatsu.jp/index.html

【Book】

■内田樹 「昭和のエートス」(文春文庫、12/08/10 ★★★★☆)
5、6年前に書かれた文章・コラムを集めた単行本(2008)の文庫化ですが、
「ネットカフェ」に関する文章を読んで、最近、なぜ市内に大型ネットカフェが
今ごろ開店したのか、その理由が分かった次第。 ネットカフェ難民は経営
サイドからみると、恐ろしく安い商品に高額の対価を払ってくれる“上得意”
なんですよね(笑) 冒頭の「私的昭和人論」から、東京オリンピックで日本
人が失い、北京オリンピックで中国人が失うものを予測し、A・カミュがなぜ
フランスで「厄介払い」されなければならなかったのか、など興味深いです。
http://www.bunshun.co.jp/cgi-bin/book_db/book_detail.cgi?isbn=9784167838089

昭和のエートス (文春文庫)
内田 樹
文藝春秋


■清水賢二・清水奈穂 「犯罪者はどこに目をつけているか」(新潮新書、
12/09/20 ★★★) 犯罪は「犯罪者-被害者-環境」の三者が混じり合う
交点で起き、犯罪者はこの一点を「機会」ととらえ被害者にとっては「死角」
であり、表裏一体の関係であることを前提に、犯罪者(プロ)の目から見て、
窃盗、強盗など「狙いやすいひとや場所:道路・住宅」を報告。 そして実際、
被害に遭ったり遭いそうな場合の対処法:身体や家の守りにも触れており、
防犯対策全般の基本的な知識が中心です。これまでなかった新たな犯罪
の増加を予想しており、その点に関して具体的に言及して欲しかったです。
http://www.shinchosha.co.jp/book/610486/

犯罪者はどこに目をつけているか (新潮新書)
清永 賢二,清永 奈穂
新潮社



【オマケ、今週の気になった言葉】

ずっと移動していましたね、いつ書いているんだろうと思うくらい。 父は
黒潮なんです。熊野を基点として、黒潮のように動いて磁場を広げていた。
東京も欧米もアジアも、熊野との距離で見る。
(by 中上紀<のり>、毎日新聞 12/09/23 「S ストーリー」4面より)

没後20年。1992年8月46歳で亡くなった作家、中上健次氏の長女で作家
の言葉。亡くなる2年前に「熊野大学」を開設して、新宮市内で合宿形式の
夏期セミナーが恒例となり今年8月も柄谷行人さんが参加して講義を実施。
無頼派として称されることの多かった作家が娘にとっては黒潮なんですね。
どこに基点を置いて物事を見るのか。それは人により、生まれ育った場所
であったり、今いる「ここ」であったり、ひとそれぞれ。熊野古道は、スペイン
の『コンポステーラの巡礼路』のように、伊勢神宮や高野山(真言宗)への
参詣道であり、両者に共通しているのは、海側では豊富な魚介類が獲れ、
山側には狩猟が可能な深い森があり、普段はほとんどひとの往来がない
ということ。四国八十八箇所の遍路は、天野祐吉氏(コラムニスト)が指摘
していたように、「“現代のパッケージ・ツアー”で、札所(空海系列のお寺)
のみにお賽銭が入ってくる」システムで、“有料のスタンプ・ラリー”ですね。
あ、『野の香』の壁に、お遍路の朱印が捺された御印譜が貼られてました。

では。



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