ほぼ週刊イケヤ新聞ブログ版

コピーライター・ミュージシャン池谷恵司の公式ブログです。
私的メールマガジン「ほぼ週刊イケヤ新聞」のブログ版です。

ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】114

2012年11月25日 00時49分07秒 | ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】

ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】その114

私の知り合いであるミスター・ピーノさんは
海外滞在が長く、

外国語にもご堪能な方ですが、一週間程度で
物凄い量のものを、見る、読む、聴く。
私も見習いたいと思っております。 


ピーノさんからいただいているメールマガジンを
ご本人の承諾を得てこのブログに転載しているものであります。

読者の皆様、感想等ございましたら
私が責任を持ってお伝えしますので
ぜひコメント欄にお願いします。−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 
7月に大阪に転勤されたTさんから、A4用紙41枚に書かれたエッセイが
届きました。 2006年1月から翌年1月の間に書かれた文章を印刷したもの
で1ページにひとつのテーマ。大阪のビッグバンドに所属するトランペッター
だけあり、ジャズプレイヤーの演奏、ジャズ喫茶、オーディオ機器、レコード
とCD、アナログとデジタル他ジャズに対する熱い想いが詰まった内容です。
全国のジャズ喫茶のレポートが面白く、オーディオ機器から客層分析まで、
彼が理想とするお店を分析し、【ジャズこそすべて】の意気ごみがたっぷり。

中1の秋、ポール・モーリアの『恋は水色』がきっかけとなり、フランシス・
レイやバート・バカラックなど映画主題歌やポップス・ロックを、オーケストラ
アレンジで聞かせる「イージーリスニング」にハマッタことがあります。 その
字のごとく「聞きやすくて心地よい音楽」だったわけですが、おそらくその年
の夏に行った大阪万博の影響を受け、目の前に急に世界が開けた感じが
して、FEN(米軍極東放送)やラジオの深夜放送を聴き始め、行き着く先は
ビートルズやサウンドトラックの「オリジナル」に入り込んでいったんですね。
(音声注意)⇒ http://www.youtube.com/watch?v=QnsqBCSBW88

父親が伊勢丹勤務だった同級生のSクンも、同じような音楽を聞くことが
わかり、彼の家に行ったところ典型的な「飛行機オタク」(笑)で、ゼロ戦や
メッサーシュミットのプラモデルが飾られ、「航空ファン」が本棚にズラーッと
並び、「将来はパイロット」と言ってました。 彼とは同じ高校に進学。なんと、
ボート部に入部して体を鍛え、中野の専門予備校にも通い、卒業後は国が
設立した唯一のパイロット養成機関である宮崎航空大学校に進み、そして
本当に航空会社のパイロットになってしまった有言実行そのまんまのひと。

ジョニ・ミッチェル(Joni Mitchell)という名のカナダ出身のミュージシャンがいて現在難病にかかり音楽業界から引退してます。

1968年にデビュー、 「サークル・ゲーム」や「青春の光と影:Both sides, now」などの名曲を作り、 ジャズ・ミュージシャンとの共演を重ねて、
故チャーリー・ミンガスに捧げた
アルバムまで作った才気ある女性。
そんな彼女の初期の10枚がCD Box
(紙ジャケ)で売り出されましたが
amazon Japanで2,637円。1枚:264円。

紙ジャケの歌詞は拡大鏡でもないと読めませんが貴重な楽曲の軌跡です。
http://debdylan0605.blog.so-net.ne.jp/2012-10-29

【演劇】

■イキウメ 「The Library of Life まとめ*図書館的人生(上)」(東京芸術
劇場、12/11/17 ★★★★) 今年結成10年を迎えた前川知大(作・演出)
が主宰する劇団の新作は、旧作と蔵出し6つの物語から組み立てた舞台。
舞台上に設置された巨大な可動式書庫をうまく使い、投身自殺を図ろうと
する女を引き止める二人の男たち(ゴッド・セーブ・ザ・クイーン)、賽(サイ)
の河原で黒いダンボール箱を積み上げては鬼に崩される死者たちの不毛
な繰り返し作業を行う(賽の河原で踊りまくる「亡霊」)など。 悲劇と喜劇が
表裏一体となった場面が可笑しく、不条理とSFを加味して2で割った内容。
http://www.ikiume.jp/sakuhin.html

■「4 four」(シアタートラム、12/11/17 ★★★★☆)
作:川村毅、演出:白井晃。「裁判員」「法務大臣」「刑務官」「未決囚」の役
を、4人の俳優(高橋一生、田山涼成、須賀貴匡、池田鉄洋)がくじ引きで
決めるところから開始。タイトルは「四=死」を意味して、無差別殺人を起こ
して死刑判決を受けた未決囚が、実際に絞首刑に処せられるまでを描き、
座席は取り払われ、平らな床の中央3m四方の狭い舞台で行われる処刑
(絞首刑)は命綱があるとはいえ、なかなかリアルな場面でした。 犯人の
父親(野間口徹)が語るラストが印象的で、皆セリフを全て暗記でしょうか。
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2012/11/4_four_1.html

【映画】

■クロスファイアー・ハリケーン<原題 crossfire hurricane>(★★★★)
今年デビュー50周年となるローリング・ストンーズの1週間限定劇場映画。
1960年代の白黒映像を中心に、1972年ニューヨーク、マジソン・スクエア・
ガーデンにおけるコンサート映像がハイライト。 労働者階級出身の“善玉”
=ビートルズに対向してグラマースクールを卒業した彼らがとった戦略は、
常に“Bad guys”=悪玉を演じること。 ホテルでのばか騒ぎ、麻薬所持に
よる逮捕と裁判、そんな自由奔放な姿を演じ続けた'60~'70年代の記録。
オリジナルメンバー5人のうち4人がまだ生きていること自体がスゴイこと。
http://www.fujipacific.co.jp/rollingstones50/

■任侠ヘルパー (★★★★)
テレビドラマの映画化で、草剛(SMAP)の代表作になり得る作品です。
地方の港町で暴力団が経営する老人介護施設の運営を任されたヤクザ
(草)の話。高利貸し(闇金)をしたり、自己破産した身寄りがない高齢
者たちから毎月支給される生活保護費をだまし取ったり、あくどいやり方
で金集めを行っていたものの、施設の厳しい現実から方針を転換。 改築
と運営方法を巡り組と対立。 市議会議員(香川照之)と彼の高校時代の
同級生(安田成美)を巻き込み大騒動になり、思わずホロリとくる場面も。
公式HP ⇒ http://www.ninkyo-helper-movie.jp

【Book】

■布施英利 「構図がわかれば絵画がわかる」(光文社新書、12/10/20
★★★★☆) 絵画は「何が」描かれたかと同じくらい「いかに」描かれたか、
その構図が重要であり絵画の美の秘密がそこに隠されていることを説明。
垂直線は「重力」を、水平線は「安定」を表し、ダ・ヴィンチとピカソの絵から
「対角線」(Xの構図)を、ムンクの『叫び』から「逆三角形」(不安定)を示し、
古代インド美術からの「円」、二次元と三次元の絵画、フェルメールの「光」、
基本三原色と補色の関係、人体と仏像/釈迦の肖像まで。 豊富なカラー
の図版が掲載されており、「絵画の構図は宇宙につながっていく」が結論。
http://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334037123

構図がわかれば絵画がわかる (光文社新書)
布施 英利
光文社


■川村元気 「世界から猫が消えたなら」(マガジン・ハウス、12/10/25
★★★☆) 「脳腫瘍、ステージ4」余命は長くて半年の診断を受けた30歳
の郵便配達の仕事をする主人公。突然、現れたもう一人の「自分=悪魔」
からの申し入れで、1日の余命を得る代わりにこの世からひとつだけ消え
ていくモノが条件となる1週間の記録。 「何かを得るためには何かを失う」
がテーマです。 チャップリンの『ライムライト』やフェリーニの『道』の粗筋が
語られ、7年前に別れた彼女と再会したり、4年前に亡くなった母親と過ご
した日々を思い出し、“かけがえのないもの”が何だったかを振り返るとき。
http://magazineworld.jp/books/all/?gosu=2502

世界から猫が消えたなら
川村 元気
マガジンハウス


【オマケ、今週の気になった言葉】

「しゃーないやんけ」という言葉の裏に「何とかなるんちゃうか」という希望
もある。 (by 横尾忠則、2012年5月29日の日記より)

先日亡くなった森光子が京都生まれの関西人で、同じ年に生まれたミヤコ
蝶々(1920-2000)が日本橋生まれ。そして今月3日、神戸市に「横尾忠則
現代美術館」がオープンした横尾忠則は兵庫県西脇市出身であるとのこと。
つまり、世間一般的には、「出身地」よりも、どこで育ち、どこでメインの仕事
をしたかがその人のイメージを決定づけているんですよね。 もともと東京人
と言っても、下町を除けば、2代か3代さかのぼればほとんど地方出身者で、
太平洋戦争が終了してまだ70年も経っていないわけで当然といえば当然。
「仕方がない」が「しょうがない」になって、大阪では「しゃあない」+「やん」+
(「か」+「い」)=「け」になるという、二重にも三重にも言葉を変化させた上で、
最初の「どうしようもない100%の否定状態」から、ほんの少しの明るい光を
見出す方向にもっていこうとする大阪人の言葉遣い。ウン言葉って面白い。
http://www.ytmoca.jp/

では。



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