ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】その116
私の知り合いであるミスター・ピーノさんは
海外滞在が長く、
外国語にもご堪能な方ですが、一週間程度で
物凄い量のものを、見る、読む、聴く。
私も見習いたいと思っております。
ピーノさんからいただいているメールマガジンを
ご本人の承諾を得てこのブログに転載しているものであります。
読者の皆様、感想等ございましたら
私が責任を持ってお伝えしますので
ぜひコメント欄にお願いします。
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◇年末恒例の、I さん主催の「大忘年会」に参加(女8、男15)。別名「グルメ
の夜」と言われるだけあり、皆持ち寄りで、自家製豚肉の燻製、朝霧高原の
虹鱒の卵を切り身で巻いて食べ、森町産の生の猪肉を塩・胡椒で鉄板焼き、
とろとろのモツ煮、さまざまなチーズの盛り合わせなどに、日本酒・赤ワイン・
生ビール・焼酎。 この日のハイライトは、アニバーサリー代表S氏とパテシエ
の息子さんが持参した、直径15cm×長さ70cmくらい、木の棒に付いたまま
のバウムクーヘンを1本まるごと持参。美味しく楽しい4時間。 I さんに深謝!
◇16日(日)の選挙日は不在となるため、日曜に不在者投票をしてきました。
自宅宛に送られてきたハガキの一部の紙片を持参して、当日の不在理由と
住所・氏名を1枚の紙に記入して、待つこと数分。 免許証等の提示を求めら
れることなく、「衆院選候補者」 「支持政党」 「最高裁判所裁判官 国民審査」
の順に書き込み数分で終了。 「最高裁判所裁判官」は、10数名のなかから
不適格だと思う人に「×」を付ける方法ですが、投票する側に何も情報がなく、
今まで罷免された裁判官は一人もいない事実に行う必要があるのかどうか。
◇昔、ハンザ同盟の中心地だった「リューベック」には一度だけ行ったことが
あります。 高2の夏ユーレルパスを使い、ハンブルクからの日帰りで数時間、
旧市街のホルステン門周辺と運河沿いの道を歩きました。 訪問理由は単に
「トーマス・マン」が生まれ育った場所を一目見ておこうと思ったからなんです。
T・マンは一般的にはヴィスコンティの映画『ヴェニスに死す』の原作者として
知られていますが、ある時期、『トニオ・クレーゲル(トーニオ・クレーガー)』と
いう小説が大好きで、主人公が故郷に戻る場面もあり完全に好奇心でした。
http://www.currylife.net/tonio0.html
◇高1の冬に家が火事になりそうになったことがありました。 大学生の兄と
二人暮らしで、その日は一人で夕食に天ぷらを揚げようとしていたところに、
同じ中学出身で高1でも同じクラスになったSさんが、ぼくがサボった授業の
ノートを自宅まで届けに来てくれたんですね。彼女と玄関で少し話し込んで、
後ろが「やけに明るいなあ~」と振り返ると、ガス台に置かれた中華鍋から、
炎があがっていました。 あわてて和室から座布団をとり炎があがる鍋の上
にかぶせて火を消しました。 揚げ物の調理は油の温度に要注意です(笑)
【落語】
■柳家三三(さんざ)ひとり会(クリエート浜松、12/12/04 ★★★★☆)
“ひとり会”なのに、なぜ弟子の小かじが前座噺として「道灌」を演じたのか、
の裏事情(当日午後、稚内からの移動がギリギリで“保険”として)がまくら。
柳家小三治師匠の直系の弟子といわれ古典落語を得意とする三三ですが、
この日は床屋談義から夢の逢瀬になる「浮世床」、中入り後に「ひなつぼ」と
「二番煎じ」の計三席。火の用心の見回りをした後、旦那衆が酒盛りを始め
てそこに同心が現れる「二番煎じ」が絶品。三三の飲み食べる仕草が可笑
しく、30代後半(38歳)の噺家では安定して、これからさらに上手くなります。
http://www.yanagiya-sanza.com/
【映画】
■ウーマン・イン・ブラック亡霊の館<原題 The Woman in Black>(★★★)
妻を亡くし4歳の男の子と暮らす若手弁護士(ダニエル・ラドクリフ)が遺産
整理のために遺言書探しを命じられ、滞在した村で起きるさまざまな事件。
効果音やカラスなどでドキッとさせる昔ながらの“お化け屋敷”的怖いもの
見たさの演出です。 解雇予告を受け最後の仕事になるかもしれない状況
で、怪奇現象の謎の究明に一生懸命になっていく主人公にどれだけ共感
できるかで評価が分かれます。19世紀末の英国を舞台にしたホラー映画
ですが、“ハリー・ポッター”のイメージが強いD・ラドクリフはこれからです。
http://news.walkerplus.com/2012/0820/11/
■ガラスの親指 (★★★☆)
道尾秀介の小説を映画化。 コンビの詐欺師(阿部寛・村上ショージ)の家
に2人の姉妹と姉の彼氏が転がり込み共同生活を開始。闇金融の下働き
として働かされたタケ(阿部)と新米テツ(村上)とのやり取りが微笑ましく、
姉妹(石原さとみ・能年玲奈)の関係も風変わりでちょっと変。闇金業者の
資金を横取りする計画はズサンで、あり得ない設定のままハッピーエンド
と思っていたら、最後に意外などんでん返しがありました。この結末もよく
考えると「コジツケ」のような理屈ですが、見終わったあとはスッキリ爽快。
公式HP(音声注意) ⇒ http://movies.foxjapan.com/crow/index.html
【Book】
■広瀬隆 「原発ゼロ社会へ!新エネルギー論」(集英社新書、12/11/21
★★★★) 「原発がなければ電力不足が起きる」は大嘘だという事実を
知らせるための書。「3.11」以後、急速に広がった大企業による自家発電
施設の設置と、関西電力による「電力不足演出」(火力発電所運転停止)
を指摘し、大飯原発なしで電力が24%余っており、新聞とテレビが報じた
電力会社の「本日の電気使用率」は虚言で、電力ピーク期間はお盆前の
4日間だけだったことを主張。 風力や太陽光など自然エネルギーで原発
を代替することは不可能であり、ガスによって電力をまかなうことを提案。
http://books.shueisha.co.jp/CGI/search/syousai_put.cgi?isbn_cd=978-4-08-720666-1&mode=1
■津村記久子 「ミュージック・ブレス・ユー!!」(角川文庫、11/06/25 ★★★☆)
冒頭の貸しスタジオでのバンド解散から、てっきりベースギターを抱えて、
バンド活動一直線!と思いきや、パンクロックをヘッドホンで聴くこと以外、
特に大きな事件も起きず、高校3年生のアザミの日常生活を淡々と描写。
夏休みには苦手な数学の補講授業を受け、指定校推薦であたふたする
友だちのチユキと行動を共にしながら、同じ矯正歯科に通うモチヅキとの
笑えない会話と文化祭におけるある出来事。 ここまで進路指導をする?
高校教師とは裏腹に、妙に冷めた主人公の気持ちが「青春」なんですね。
http://www.kadokawa.co.jp/bunko/bk_detail.php?pcd=201009000052
【オマケ、今週の気になった言葉】
■若い頃はいろんなことを知っているつもりでいたけれど、年をとるにつれ、
世界のほんの一端しか知らないことにきづかされる。これは年齢を重ねる
ことの喜びのひとつだと思える。
(by 福岡伸一 「パラレルターン パラドクス」週刊文春12/6号より)
イタリアのルネサンスが、14世紀に突然開花したわけではなく、12世紀
に先進的なアラビアから文化・学問が“遅れていたヨーロッパ”に伝えら
れたことは、『十二世紀ルネサンス』(伊東俊太郎、講談社学術文庫)を
読むと分かりますが、クラシック音楽に関しても、J・S・バッハ以前はどう
だったのか、福岡ハカセがルクセンブルク大使公邸に招かれた際の話。
現代ピアニストのホープであるフランチェスコ・トリスターノが大使公邸で、
ヤマハのCFXを弾いて演奏会を行い、1705年晩秋バッハが400km歩き、
リューベックをめざしたときの話を披露。 目的は、プロイセンの音楽家で
オルガニストの「ディートリヒ・ブクステフーデ Dieterich Buxtehude」から
作曲法・演奏法・即興法を学ぶため。バッハにとり過去の音楽の歴史を
たどる旅であり、未来へ続く新しい道を見いだす旅となり、ゴルトベルク
変奏曲は、ブクステフーデへのオマージュでもあった、とのこと。 バッハ
も「イタリア・ルネサンス」のように、突然開花したわけではなく、徹底的
に学んだ20歳の一時期があったという壮大な話に思わず感動しました。
http://store.universal-music.co.jp/fs/artist/uccg1600
では。
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