ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

劔岳そして雲海「明日はどうなる?」

2020年01月19日 22時00分14秒 | Weblog
剱沢テント場へとゆっくりと下って行く。
その一歩一歩が劔岳へと近づいている訳であり、N君にとっては胸躍る思いなのではないか。


「圧倒されますね。なんか今までの北アルプスの山とは違う感じがします。」
緊張もあろうが、自分自身と対峙するにはもってこいの山が劔岳だと思っている。


見慣れた、そして来慣れた場所ではあるが、夏とはまた違った趣を見せて(魅せて)くれている。

剱沢テント場へ到着してすぐ設営場所を決めた。
ラッキーなことにいつも設営しているお気に入りポイントが空いており迷わず決定した。
設営はすぐに終わり受付へ行ったのだが、明日の天候がどうやら今一つ良くない。
まぁ初めから分かっていたことではあるが「やっぱり・・・」という感情がまるで曇天のように重くのしかかった。
アタック予定の中日が無理であったなら下山日に登ってしまおうということになっている。
そうなればまだ暗い時間帯に出発しなければならない。


今はまだ青空が覗いている。
(「どこまで崩れるんだろう・・・」)
そう思いながら珈琲を飲んだ。


N君もテントから顔を出せば目の前には「剱」という絶好のポイントに設営。
「たまらないですね♪」

夕食は後片付けを含めてヘッドランプを使用しないで済む程度の時間と決めていた。
少々早いが16時30分くらいから作り始める予定だ。
それまではまだ時間があり、中でのんびりと体を休めていた。


テントの中から剱を見る。
ガスがかかってきていた。
(「大きく崩れなければいいけどなぁ」)
そんな願いを込め、(「明日はよろしくです。」)と両手を合わせた。

ぼちぼち夕食の準備に取りかかるとこにした。
今夜のメニューは中華料理。
いつもの「青椒牛肉絲」とも考えたのだが、具材だけを同じにして味付けを変えてみた。
「回鍋肉」だ。


ピーマン、竹の子の水煮、牛肉(コンビーフ)、そこにもやしとキャベツを入れて炒める。


回鍋肉の素はまだ入れていないが、いい匂いがしてきた。
スープは固形のブイヨンをお湯で溶いただけものだが、これが登山ともなれば侮れない美味さとなる。
具材は青椒牛肉絲の回鍋肉、これなかなかいける!


N君は缶詰の焼き鳥を温め、ご飯はトマト風味のリゾット(フリーズドライ)。

「テントを背負って北アルプス重登山もいいけど、たまには『ゆるキャン』もやってみたいね(笑)。」
「○○さんの柄じゃないですよ。イメージが湧きませんよ(笑)。」
楽しい会話が進むが、やはり明日の天候がどうしても気になる。
予定では7時スタートで十分に間に合うのだが、9時になっても天候が回復しないようであれば明日のアタックは中止とし、最悪下山日の早朝にアタックをすることを確認した。


食後の珈琲タイム。
「本当ならここからの夕焼けが綺麗なんだけどねぇ・・・」
残念ながらガスで劔岳の姿は拝めなかった。
それでも今ここに居ること、それだけでも十分に嬉しいとN君が言った。
嘗ては自分にもそんな新鮮で純な思いがあったのだろう・・・。
もう忘れてしまった、若かりし頃の遠い思い出に過ぎない。

日が落ちる頃になると急激に肌寒さを感じた。
ここは標高2500m、9月の北アルプス。
予備の中間着を着た。

一瞬だがガスが切れ剱が見えた。


今度はココアを飲みながら山談議に花が咲いた。

不思議である。
新鮮さはもう殆どないが、決して飽きない山。
それが自分にとって劔岳だ。
見る度に、来る度に同じことを思う。
決して飽きない山だと。

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