ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

やっぱり登りたい!:「残雪の多さ」

2019年07月23日 00時33分24秒 | Weblog
橋を渡ってすぐのことだった。
目の前にでかい猿が一匹なにやら口に入れてむしゃむしゃ。
思わず一枚撮ったが、雪崩への不安を和ませてくれる出会いが嬉しかった。


とにかくでかい猿。(笑)

徐々にルート上に雪が目立ち始めたが、まだアイゼンは不要。
予定ではこの先の「本谷橋」で装着する。

二年前の丁度この時期だった。
単独で奥穂高を目指していたが、残雪を踏み抜いてしまい古傷の左膝を痛めた。
半月板損傷で4度メスを入れた膝であり、この時はかなりの痛みだった。
しばらくは雪をレジ袋に詰め込み患部を冷やしたが、再スタートを試みるも痛みが激しくその場で登頂を断念した。
足を引きずるようにして何とか横尾山荘までもどり、そのまま上高地までと考えた。
しかしこの痛みで足を引きずりながらだと何時間かかってしまうか分からないと判断。
予定にはなかったが横尾山荘に一泊し、翌日7時間程掛けて上高地まで戻った。
(「どのあたりだったかな。本谷橋のちょっと手前だったと思うけど・・・。」)
そんなことを思い出しながら歩き続けた。


汗ばむ程になってきたけど頑張るKMさん。
このか細い体だけに、60リットルのザックが80リットルくらいに大きく見える。(笑)


さすが若さのN君、足取りが軽い。(羨ましい)

しばらくして「屏風岩」の真正面まで来た。

ほぼ垂直の岩壁に近いこともあり表面の雪はなくなっていたが、下部にはまだたっぷりと残っていた。
「こりゃ奥穂の雪も期待できるぞ。でも雪崩がなぁ・・・」
どうしても「雪崩」の二文字が頭から離れない。

一息つき一服していると「ザァー」という音に気付いた。
「ひょっとしてあの音か・・・」と思い音のする方向を見てみると、やはり屏風岩から流れ落ちている滝の音だった。
正確に言えば雪解け水が滝となって流れ落ちているだけなのだが、この時期しか見ることのできない光景にちょっとだけ感動した。


赤い○が滝となっている箇所。
かなりの量で落ちていた。
GW明けの時期には何度も通っているが、雪解け水が滝となっている光景は過去に二度しか見ていない。
他の二人にとっては初めて見る期間限定の滝、「へぇー積もったんですね」と感心しきりの様子。
この場所からでは分からない積雪量が、あの岩のてっぺんにはあるのだろう。

本谷橋まで時間的にもうすぐというポイントで、北穂高岳の東面が見えてきた。


いよいよ本格的雪山が近づいてきたことへの感動と不安が混沌としている様子が伺える二人だった。
内心はしゃいでいるのは自分だけだろう。

一時間ちょっとで本谷橋に着いた。

ここで昼食を食べると同時にアイゼンを装着する。


川全体はまだ雪の下であるが、部分的には見えていた。
するとKMさんが「えっ、この雪の上を歩くんですか? 落ちたらまずいですよね。」
真剣な眼差しだったが「そうねぇ、雪が割れて落ちたら流れて行くところまで行くしかないだろうねぇ。」
と自分も真剣な表情で答えた。
(「うっ! まずい。冗談が通じていない。。。」)

「はは、大丈夫だよ。たぶんね♪」
と付け加えたが、こんな時はどう言ってあげれば良かったのか。いまでも少し反省している。

腹も満たし、アイゼンも装着。
いざ、涸沢へ向けて出発。