ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

残雪の半月山:残雪 Ⅱ

2011年06月10日 23時04分48秒 | Weblog
標高は1500メートルを越えたあたりだろうか。
いよいよもって残雪が目立ってきた。
そして広範囲の残雪により、ルートを見失いやすい状況となってきた。
今までは踏み跡をたどる、いわゆる「トレース」さえしっかりしておけば何の問題もなかったが、その踏み跡さえも広範囲に広がり、ルートファインディングが難しい。
「ここは慎重に行こう」
そう決めてはいたのだが・・・。

一面が残雪地帯。
踏み跡はある。あるのだが、かなりの広範囲だった。
ルートを示す赤い標識(杭)が雪に埋もれて見つからない。
高い位置に取り付けてある赤と黄色の標識を探すが見つからない。
地図を取り出し、コンパスと高度計で現在位置を割り出しコースを確認する。
「間違いない。この方角で合っている。合っているんだけれど、不安があるなぁ。」
そんなことは口に出しては言えない。みんなに不安を煽るだけだ。
「ちょっと待ってて。ルートを確認するから。」
その場を動かないように言い残し、ルートを探した。
焦りはあったが、俺が狼狽えたらみんなへの影響は計り知れない。
幸い残雪地帯を抜けたところでルートを発見。
本音を言えばホッとしたなぁ(汗)。

更に残雪が行く手を阻む。
崖に沿って細い一本道があり、その上を残雪が完全に覆っていた。
雪がなければ通り過ぎるのに数十秒もあれば十分なところなのだが・・・。
手や足を滑らせれば、間違いなく崖から転落する。


自分が先にキックステップでスタンスを作る。
だが、自分の歩幅で作る訳には行かず、女性の歩幅を考えてのキックステップだ。
その後、自分が元の位置まで戻り、手で補助しながら一人ずつ進むことにした。
ここを越えるのに10分近くも要した。
こんな箇所がいくつもあり、尚のこと予定していた時刻をオーバーしてしまった。

このような危険な箇所に遭遇すると、何故か心が躍る。
しかしながら、そんなおバカな心理状態になる奴は稀で、女性達にしてみれば本気で恐がり、心底恐怖感を感じているのだと思う。

それを分かってあげなければならない立場にある。
技術も体力も経験も、そしてそれぞれがもっている「得手不得手」に大きな格差があることを理解した上で先頭を歩かなければならない。

この残雪の洗礼は、あまりにも可哀想なほどだった。
そもそも「半月山」を選んだ自分に誤りがあったとも言える。
「ここまでの残雪とは・・・」
自分一人で来るべきだったのかも知れない。
みんなを誘ったことを、ここに来て反省した。せめて「鳴虫山」あたりであれば、ここまで残雪に苦しむことはなかっただろう。
本当に申し訳なく思う。