ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

平ヶ岳:ショートカットルート

2009年11月04日 23時49分18秒 | Weblog
我々二人が歩いたルートは、往路で平均約6時間。復路で約5時間ほどかかる。
もちろんこれには途中の休憩時間は含まれていない。
それが、なんと往路で2~3時間もあれば平ヶ岳山頂まで着いてしまうという魔法の楽々ルートがあるのだ!!!
ちょっと調べてみた。
このショートカットルート、通称「皇太子ルート」と呼ばれているらしい。
おそらくは、山頂で出くわしたおばさんの団体様御一行は、このルートを通っての登頂だったのだ。

このショートカットルート。かつて皇太子様が日本百名山の一つである平ヶ岳に登ると決まって、宮内庁から当時の環境庁と新潟県に「安全な登山道」を作るよう下知があり、そのためだけに作られたルートらしい。
しかも「見通しの良いこと」が至上命令だったらしい。
そして「たまご石」の迷惑極まる巨大看板(説明書き)も、そのために設置されたと言うことだ。
皇太子様は「登山」が趣味であることは私も知っている。
だがこの場合の「登山」とは、史上希に見る拡大解釈をし、「ハイキング」や「さんぽ」的な意味合いも含まれることに留意されたい。

ここからは私の推測として綴る。
当時の環境庁と新潟県にとっては、名誉なことなのか迷惑なことなのかは知らないが、「皇太子様に怪我があってはならない」「県の美しさをアピールしなければならない」「たまご石をよく知ってもらわなければならない」と、『税金』を湯水のように遣いショートカットルートを新設したのだろう。
「どうかお怪我だけはしませんように。もしお怪我でもされたら、私たちの首が飛んでしまいます。」
たった一人の為だけに『血税』を遣って道無きところに道を作る。
なんと素晴らしい人愛精神だろう!
そして皇太子様は、このショートカットされた、極めて安全で、極めて見通しと景色の良い登山道を歩き、軽~くほどよい汗をかき、わずか2~3時間ほどで登頂されたのだ。
また、たまご石の巨大看板の前では、景観の損傷などには負けず「知識」で心と頭を満たされたのだろう。
万が一の為に「ヘリコプター」を常時待機。登山のベテラン達が同行し、詳細な説明を受る。そして、「百名山とは、平ヶ岳とはこんなにも楽に登れる山なのか」と感動したに違いない。

こんな話しを知った。
とある山荘の主人へ宮内庁から下知があった。
「皇太子様のためだけに、新しいトイレと風呂を作るように。」と。
山荘の主人は一世一代の名誉とばかりに、多額の借金を顧みず、山頂には全く不似合いな豪華なトイレと風呂を新設したらしい。
素晴らしい!将に美談ではないか。
たった一人の為にこうまで尽くせるとは。

最後に一言だけ。
皇太子様。どうかもっと多くの山にお登り下さい。
あなたの知らないところで、あなたの為だけに『血税』で作られた、絶対に怪我をすることのない安全な登山ルートが、ほんの少しの汗をかくだけで登れる楽なルートが、後に下々の者のお役に立つのです。
でも、私はそのルートは利用いたしません。
私なんぞ、恐れ多くて足を踏み入れることなどできません。
膝の怪我ですか? 
いいんです。身から出た錆ですから。気になさらないで下さい。痛みと苦労をして得た、本物の感動を伴う登山が好きなだけです。
ザックの重量ですか?
いいんです。山水で湯を沸かし仲間と珈琲を飲むことが好きなんです。山水で米をとぎ、炊いた飯の美味さが忘れられないんです。下痢など当たり前ですから。
それに寒さを堪えてテントで寝ることがたまらなく好きなんです。
たぶんこれからもそんな登山しかできません。
何故なら、無駄な登山ルートを全国に作るために税金税金で搾り取られ、持ち金などありませんから。