通でがんす

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(旧ブログタイトル:通じゃのう)

桃園の義~現八と信乃、義兄弟の契りを結ぶ

2023年05月15日 | まんが・テレビ・映画
仕事のない土曜の朝は、
NHK朝ドラ『らんまん』の
1週間のまとめと、
チコちゃんを観るのが日課。

先週の土曜日(5月13日)朝、
『らんまん』を観よったら、
「現八(げんぱち)…
信乃(しの)の玉を…
桃園(とうえん)の義を結びぬ」
という一節が聞こえてきた。

現八に信乃、桃園の義…いうたら、
『里見八犬伝』じゃないか!?



↓NHK朝ドラ『らんまん』については、こちら↓

「らんまん」NHK





今日は、
桃園の義
についての話でがんす。





今、放送中の朝ドラ『らんまん』は、
日本の植物学の父といわれた
牧野 富太郎(まきの とみたろう)
をモデルにしたドラマ。

第6週「ドクダミ」(5月8日-12日)は
こんなストーリーだった。

高知の酒蔵に生まれた
主人公の万太郎は、
植物の研究をするため
竹雄とふたりで上京。

初めて上京した時に一目ぼれした
寿恵子(すえこ)と
近所の和菓子屋で再会する。


その寿恵子は、
本を散らかした自分の部屋で
ある本を読みふけっていた。

その本が、江戸時代に書かれた
曲亭馬琴(きょくてい ばきん。
滝沢馬琴(たきざわ ばきん)とも)
の読本(よみほん)『里見八犬伝』。

寿恵子が声に出して読んでいたのが、
犬飼現八(いぬかい げんぱち)と
犬塚信乃(いぬづか しの)のふたりが
義兄弟の契りを結ぶ部分だった。


現八はつくづくと、信乃の持つ玉を見つ、痣(あざ)を見つ、「奇なり妙(みょう)なり」と唱嘆(しょうたん)し
(中略)
もろともに跪(ひざまづ)き、天地を拝し、誓いを立てて、かの桃園の義を結びぬ。



ここに書かれている
「桃園の義」とはなにか?

桃園の義(とうえんのぎ。
「桃園の誓い」とも)は、
中国で書かれた小説
『三国志(さんごくし)』
の名場面のひとつ。

劉備(りゅうび)、
関羽(かんう)、
張飛(ちょうひ)の3人が
桃の花が満開のころの桃園で
宴会を行い、
そこで義兄弟の契りを結ぶ。

そのときの誓いの言葉、
「生まれた日時は違えども、
同じ日同じ時に死せることを願う」
は、三国志に興味がない人でも
一度は聞いた事があると思う。


この桃園の義のように、
八犬士のうちのふたり
現八と信乃は
義兄弟の契りを結んだ。

このふたりだけでなく、
八犬士はお互いが
義兄弟の契りを結んでいくのである。





以下、余談。


現八と信乃で忘れてはならないのが、
ふたりの出会いともなった
芳流閣(ほうりゅうかく)の決闘。

信乃は、亡き父が残した
名刀・村雨丸(むらさめまる)を
足利成氏(あしかが なりうじ)
に献上しようと古河へ向かう。

しかし、村雨丸は
伯父の手によってすり替えられていた。

そのことに気づいた信乃は、
献上の場で弁明を試みるも
聞き入れられず、
敵の間者(かんじゃ。スパイ)
と決めつけられる。

信乃は追っ手を振り切って、
芳流閣と呼ばれる
3階建の建物へ逃れる。

その信乃を捕えるため、
捕り物の名手・現八が
牢から引き出された。

芳流閣の大屋根で
現八と信乃のふたりが、
丁々発止(ちょうちょうはっし)の
戦いを繰り広げる。

…という具合に、
芳流閣の決闘は
八犬伝の中でも屈指の名場面。




向かって左側が現八、右側が信乃。
人形制作:川本 喜八郎(かわもと きはちろう)
(『南総里見八犬伝』「時空旅人」2023年3月号 Vol.72 62-63ページ)



歌舞伎や講談では
人気の演目として演じられ、
浮世絵や錦絵の題材として
数多くの作品が描かれた。


現八と信乃は激しい戦いの末、
組み合ったまま、
芳流閣の屋根から
下を流れる利根川に
つながれた舟の上に落ちる。

ふたりは、その下流で
旅籠(はたご。宿屋)を営む
文五兵衛(ぶんごべえ)に助けられ、
冒頭に紹介したとおり
桃園の義を結ぶのである。





↓『八犬伝』についての関連記事は、こちら↓

八犬伝あれこれ~時空旅人





【参考文献】

石川 博 編『ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 南総里見八犬伝』角川ソフィア文庫 2007年 70ページ






今日は、
桃園の義
について話をさせてもろうたでがんす。



ほいじゃあ、またの。
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