「シン・ゴジラ」は、何もかもリアルだった。

2016年09月07日 00時05分00秒 | 映画・DVD

▲<7月29日から公開中の「シン・ゴジラ」脚本・総監督/庵野秀明>

映画「シン・ゴジラ」を少し遅くなったが観に行った。

封切後入場者数が好調の様子。「日経ビジネスオンライン」では、有識者による「私は、シン・ゴジラをこう見た」特集記事で、専門家(政府官房長官、防衛大臣経験者、元官僚、元自衛隊管理職など)から見ても、良く描けていると感想が出ている(唯一、石破元防衛大臣だけが、リアルではないと意見を述べている。この意見がまた正解なリアルで説得力あり)。

私の感想は、「シン・ゴジラ」は、子供向け作品ではなく庵野総監督は、大人に向けて創った作品だと理解する(大人の鑑賞に堪える全編リアルに徹したレベルの高い作品だ。この点が今までのゴジラ作品と異なる)。

当然、親子で観に行っても楽しめる作品だが、政府の対策チームの会話が子供に、どこまで理解出来るか疑問(数年後、そんな内容の話をしていたんだと後で、理解すればいい)。

良く出来ている点は、以下の通り。
(1)「自衛隊が出動する際は、外国からの武力攻撃のみ」に対して、ゴジラは武器か生物か?を今の日本政府に判断させる状況を超リアルに描いた。
(2)突然に、品川沖から河川を上陸しても、警察や自衛隊は、手が出せない(政府は、一人でも逃げ遅れている人がいたら武器使用しない)
(3)政府内では、大臣は個人の私見を何一つ言えない。現場で情報を収集する若い官僚から上がって来る情報に動かされている(常識・法律・過去の事例・内部のパワーバランスを壊せない)。
(4)ゴジラが、放射能をエネルギーにしているので、殺す方法も首の長い放水車を使う(福島の原子力発電所の対応に極似させて描いた
(5)何よりも、東京の街が壊される様子が凄くリアル。実写とCGの組み合わせが良く出来ているで、品川の下町や武蔵小杉の高層マンション群の中にゴジラが実際にいる風景だけでも見る価値がある。
(6)現実では、ゴジラ(生物)には、攻撃出来ない法律になっているようだが、それがロボットで他国からの操作・攻撃と判明すれば武器とみなされるらしい。その判断は、自衛隊には無く当然首相が行うのが極めて難しい・・・。その時の判断を間違いなく、迅速かつ冷静に出来るか?今回の映画はそれを問うていた。

現状の法律や政府の体制、市民の覚悟など、多くの示唆を与えてくれる深い社会派映画でした。

【評価】★★★★★


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