田村洋三著、「沖縄の島守」(中央公論新社)を約3カ月掛かったがようやく読み切った。
文庫本で、526ページの大作。副題「内務官僚かく戦えり」とあるように、太平洋戦争末期に沖縄県に赴任し、終結時に死亡した沖縄知事「島田叡(しまだあきら)」の物語である。
昨年の8月「生きろ」というTVドラマが放映されていた。島田叡を緒形直人が演じていて、凄い人がいたのだなぁと思った。
太平洋戦争末期、敗戦色濃くなる中、前任泉知事が敵前逃亡のような形で、他県の知事に脱出。知事不在となる沖縄に、大阪府内政部長から、なり手の無い「官選最後の沖縄知事」を引き受け、在任わずか5カ月足らずの間に、県民の疎開や食料調達、戦場での避難誘導に全力をあげた末、43歳で沖縄南部に散った島田叡を戦後生き残った人や資料から詳細に書き記した力作。
沖縄県で空襲が激しくなる中、県庁が那覇市内の各地に点在する防空壕内に置かれ転々とした。
その移動所在を自らも沖縄戦で、九死に一生を得た、沖縄の民間研究者「知念堅亀」氏の全面的協力を得て、14壕における島田知事の行動を明らかにして行く(島田知事の遺骨は、いまだに発見されいていない)。
私には、地名が解るので話にはついて行けたが、防空壕を転々とする様は、淡々と進み話の展開が同じようなので、なかなか読み進めなかった。
海軍が、「小禄の海軍壕」で自決した後、陸軍は、沖縄本島を南下し、降伏せず時間を消費した。
沖縄戦終結直前、陸軍兵が沖縄の民間人が隠れていた壕から追い出し、泣く赤子を殺した筆舌に尽くしがたい話も書かれている。
だから今でも、沖縄県民を無差別空襲や艦砲攻撃で殺戮し、約20万人以上殺した(軍人含む)アメリカ軍よりも、日本軍の方が嫌われている事実は、同胞として辛い・・・。
この本は、決して偏った戦争批判ではなく、島田叡知事の生き方から、リーダーとは何か、どうあるべきかを学べる良書です。