麻痺の時代
何を聞いても感じなくなる。何を見ても感じなくなる。かなり危ないと思うけれど、声を上げることをしない。どう考えてもおかしいと思う出来事が見過ごされていく。今は、麻痺の時代である。悪事を働いても、知らぬ存ぜぬでしらを切れば、それがまかりとおる。情報を開示せよというと、ほとんど真っ黒の印刷物が提示される。
それじゃ、情報開示になっていないと思うが、それ以上の追及も断ち切れとなる。どこにどのような力が働くからだろうか、今は、麻痺の時代である。痛みを痛みとして感じない時代である。おかしいと主張する者が支持されない時代である。不正や忖度なるものが、堂々とできる時代である。世の中、そんなものだよ、と多くが心の中で正義を主張する者たちに舌を出す時代である。
表よりも裏がものを言う時代である。疲れ過ぎて物言えぬ人々が大勢作られていく時代である。若者たちが非行に走らないようにするために、部活に一所懸命取り組ませ、くたくたにして、余計なことを考えなくするのも一種の麻痺状態の創出かもしれない。
共謀罪などができて、あちこちと自由な領域が狭められていくけれど、互いに監視し合うような世の中にもなっていくかもしれないけれど、そして、盗聴器も溢れんばかりにあちこちに仕掛けられるかもしれないけれど、それでも自分にはきっと関係ないはずだからいいんじゃない、などと他人ごととしてしか考えられないのも麻痺のなせる業だ。
平良 師