平和1丁目 ~牧師室より~

福岡市南区平和にあるキリスト教の平尾バプテスト教会の週報に載せている牧師の雑感

2010年10月3日 故郷、そして帰郷・・

2010年10月03日 18時37分41秒 | Weblog
    故郷、そして帰郷・・

 魯迅の「故郷」という短編小説がある。私の好きな作品だ。現在住んでいる都市部へ転居するために、故郷の我が家を売り払い、整理しに帰郷した主人公。そこで、少年時代は輝いていたが、大人になり、日々の暮らしに疲れ果て、木偶の棒のようになってしまった農夫の友人と再会する。
 その彼に、必要なものは何でもあげようと言って、希望したものをあげたが、藁灰まで欲しいというから、そのつもりでいたら、翌日、その灰の中から茶碗などがでてきた。口の悪い近所の婦人は、それは、その友人が隠しておいて、藁灰と一緒に持ち帰ろうとしていたものだろう、というのだった。
 主人公にとって、この友人は、少年時代の英雄だったのだが、その影は薄ぼんやりとなり、失意の中で故郷を後にするのだった。故郷は遠くにありて思うもの、とはよく言ったものだ。私にとっても少年時代の故郷の風景は、懐かしく、美しい。引退したら、故郷へ戻って伝道・・否、まず近くの海釣り公園かな。
 しかし、その懐かしさは、おそらく風景もだが、両親や兄弟たち、友人たちといった人々がいたからなのだろう。さて、私たちキリスト者の故郷は天にある。いったい何が懐かしいのだろうか。既に召された方々との再会もあろう。神様の御元に戻るといった感覚はあるだろうか。まさか、行ってみて、やはり遠くにありて思うもの、でしかなかったなどということはないだろう。当然、天国に行けるものと思って語っている。


平良師