晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

於見のこと-6 9/20

2018-09-20 | 上林地名考

2018.9.20(木)雨

 箕は不思議な道具である。縄文時代から存在するとしたら、何に使っていたのだろう。穀物は別としても、豆類や栗などを栽培していたことは実証されているので、おそらくそういった作物の選別や運搬に使っていたのだろう。ムイ、ミーと呼ばれて全国的に使われていたと想像してみよう。稲作が大陸や半島から伝わると、それに伴う道具類も入ってくるようになる。その中に箕(キ)もあったのではないだろうか。しかし日本列島には従来からムイが存在し、慣れ親しんだムイはキとは呼ばれなくてミーとなった。と大胆に想像すればこの奇妙な呼び名「みー」が納得できる。
 十日戎の縁起物の中に居るのは恵比寿さんと大黒さんだろうか、箕の中におられるのはどうしてだろう。箕には霊力、呪力があるとする民俗的な信仰があるようだ。子供が一歳の誕生を迎えたときに箕の中に入れて祝うという行事が薩摩にあるそうだ。他の地方でもあるのかと調べていると長野県佐久地方にもあるという。これって縄文の匂いがするのだけど、いかがだろう。

箕そのものより竹に呪力があると考えられたのだろうか。
 唐箕(とうみ)という農業用の用具がある。箕と同じように穀物などの殻や塵をより分ける用具なのだが、こちらは大がかりで、大変進んだ用具である。唐箕の名のとおり中国発祥の用具で、近世に日本に入ってきたようだ。随分優れもので、大量の穀物を少ない労力で処理でき、現在でも使われている用具である。形状は箕とはまるで違うものだが用途が同じなので唐箕と呼ばれているのだろう。

唐箕、右手にある風車を回し流れ落ちる穀物から殻や塵を吹き飛ばす。
 箕が縄文時代からの用具であると仮定して、於見やミノ田の地名を縄文人が付けたのかというとそう言うことではない。箕という農具の形状から後世の人が付けたものと考えるのが妥当だろう。於見にしてもミノ田にしても、口伝の地名が漢字に置き換えられるとき、恐らく中世から近世と思うのだが、もう箕の意味は解っていなかったのだろうと想像する。解っていれば大箕とか箕野田とかの名になっていたかもしれない。
 【今日のじょん】涼しくなってワンコも来じょんするようになってきた。

はれひちゃん10才、グリちゃん2才よいこデスねー。

コメント
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