晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

美馬温泉保養センター 5/10

2016-05-10 | 日記・エッセイ・コラム

2016.5.10(火)曇り

 美馬市の市長さんが交通事故を起こされて2名の死者が出たという報道が数日前にあった。事故内容は明らかではないが、市長を辞任する意向だと聞く。何でも高松市からの帰りで、国道438号線三頭トンネル内での事故と言うことだったが、美馬-高松間なら10年前に自転車で越えた道ではないだろうか。「ずいぶん狭い曲がりくねった道路だったが、400番台ならあり得るなあ、それにしてもトンネルなんてあったかな-」と確かめてみる。自転車旅行の記録をたどるとなんと10年前の今日、5月10日なのだ(2007.5.10参照)やっぱり道路は違った、わたしの通ったのは県道7号線で438号線より一本東の道路である。日本中走り回った中でも最高に狭い道路で、つづら折りで延々と続きなんとも心細い道だった。

それでも四国特有の高地集落の家が峠まであり、「どうしてここに住むかなあ」と考えさせられる土地だった。峠はトンネルなどなく相栗峠という風情のある峠だった。
 事故のあった国道438号線も過去にはこのような道だったのだろうがずいぶん整備され、トンネルがいくつも掘られ、快適そうな道路である。わたしはなぜ厳しく、さびしい道を選んだのだろうか?よーく思い出してみると、トンネルが嫌だったのだ。荷物を持って自転車を走るものにとってトンネルほど嫌なものは無い。二本の道が並んでいれば、いかに長くてつらい道中でも、トンネルの無い方を選んでしまうのだ。
 地図や航空写真で探っていると、9日の夜に泊まった美馬温泉が気にかかる。あの日も泊まり客はわたし一人だった。ストリートビューで県道7号線をたどる。車の旅と違って10年前の旅でも、あちこちの景色を憶えているものだ。ところがいくらたどっても美馬温泉の建物が出てこないのだ。鉄筋の三階建てだったからよく目立つ建物である。たまらず検索してみると、閉鎖したという記事は無く案内があり、航空写真の地図にもしっかり写っている。その位置をしっかり憶えていて、グーグルで見るとそこにはコンクリートブロックの側壁に急な階段が残っており、周囲は草ぼうぼうになっている。10年前の写真を撮りだしよく見ると、屋根を取り外した階段はどうもあの側壁の階段みたいだ。長くて急な階段で自転車を担ぎ上げるのに苦労したあの階段である。

イヤー淋しいねえ。おいしい夕食をいただき、温泉に何度も入って疲れを癒やしたあの宿、向かいの谷には何十匹の鯉のぼりが踊っていた。10年もたてばここだけじゃなく、多くの宿が閉鎖してしまった。どんぐり畑さんもやめちゃったし、断られた毛越寺YHも営業しなくなったと聞く。生きている間にもう一度訪ねたい宿がいくつかある。でも美馬温泉のように原野に戻っちゃったらどうしようもない。同じ5月10日に記事にした偶然に驚いている。

【今日のじょん】雨の季節にはまだ早いのだが、じょんのびでは色やいだ花が終わり、白い花が咲いてきた、オオデマリ、ヤマボウシ、白花タニウツギ。

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